Eczema:アトピーの話【5】一旦終了
さて、アトピー話。いただいたコメントなどのお返事で書いているのだけど、アトピー対策話、闘病日記なぞは本当に沢山あって、私はこれを書くにあたり、「私が書く意味」……などというと何様よ!って感じだけれども……「私だから書けること」を書こうと思っていた。だから気が付けば、あれも、これもとずいぶん長くなってしまった。
とはいえ、人生のほぼすべてをこのアトピーに悩まされている上に、死にかけているのだから、そら語ることもいっぱいあるわ!ということで。お付き合いくださってありがとうございます。ここでアトピコの話は一旦、終了なのでまとめ的な。
正直なところ、肌の状態は改善したとはいえ、私はこの治療とかもろもろの副作用で大腿骨が腐り、魔改造をした。両方の股関節が金属なのである。ロボじゃん。最新ニュースは緑内障になるという、本当になんなのさ!って感じのロクでもないことばっかりだけど、ひねりにひねって「よかったこと」を書いてみようと思う。
メンタル面の改善・向上そんなことが本当に一番、良かったことであるが、メンタル面については3と4にて暑苦しく語ったのでその辺は省く。
よかったこと1。炎症と痒みが収まるまでにすごく時間がかかったので、私は基本、今でも日々をすっぴんで過ごしている。致し方なく化粧をするのは、結婚式だとかそういう時のみ。なので、同世代の女性たちに比べて、化粧品にかける費用が圧倒的に安い。多分、月額にすると300円くらいのもんだ。なので夫アルゴによく『私が安い女でよかったな!』と恩着せがましく言っている。
よかったこと2。なんせ普段化粧をせず、基礎化粧品(ローション、乳液等)も肌に優しいものしか使えない。それをもう10年以上やっているため、結果的に、肌断食のような状態になった。炎症が収まり、再生した皮膚は非常にキメが細かい。相変わらず乾燥はするものの、皺などが少ない。
これは!日本に帰った時に美容師さんに言われたのよ!こっちの美容師さんにも!自己マンセーじゃないから!ちなみに肌断食とは、肌がもともと持っているバリア機能などを引き出すという美容法で、基本的には化粧水やクリームなどのスキンケアやメイクをしないことをいいます。詳しくはこちらのサイト。
よかったこと3.髪の毛がちょっと強くなった。頭のアトピコが治った後に生えてきた髪の毛は、もともとのより健康的な感じ。あと、長い間、染めたりとか、パーマとかできなかったから、全体的に髪の質が向上した。
そもそも毛の量が少ない上に、私はバンギャであったので、若い頃はものすごい色に染めたり、アフロみたいなパーマとかしてかしていたので髪は結構、ひどかったのである。
よかったこと4.望んでそうなったわけではないが、これも肌断食と同じで、シャンプーやコンディショナーが使えない時期が長く。その時はいわゆる湯シャン的なものであったため、再生した頭皮は非常に健康なものである。痒みが起こりにくくなった。薄毛も少しばかりは改善された。
よかったこと5.何故かわからんが再生した皮膚は、足や腕など毛が生えていない。うっすらと産毛的なものはあるけど。なので手足の脱毛とか除毛をしなくてよい。これは女性にのみの良かっただけど、脱毛・除毛ってダルイのだ。
ひねりにひねってこれだけしか出ないけれど。しかも化粧品うんぬんってさ、考えてみればこれまで治療に費やした金額を考えれば、別に節約ってわけでもないと今、気づいた。だめじゃん。
なんというか。治療の最中とか終わりが見えなくて、今だって落ち着いているだけで、すぐにぶわっと炎症が出たり、アレルギーでぼっこぼこになったりする。喘息が併発したり、体中がオレンジの皮みたいになって発熱することもある。
そういうことを涙ながらにつらい、つらいとしか言っていないと、なんかもう自分がものすごく可哀そうなものでしかなくなるので、ありゃりゃ、また出ちまった、仕方ねぇな!と受け入れるためには、無理くりにでもよかった点を探さねばならないのである。どんなにささやかなことでも、よくよく考えたら別に良いってわけでもなくても。
あと、声を大にしてお伝えしたいあれこれ。
まず、シロウト判断で、「ステロイド=絶対悪」と思い込むのをやめて欲しい。内服するステロイドは、確かにきつい薬であるし、過剰摂取による副作用だって存在する。それは事実。でも、そんな副作用が出るほどの摂取量というのは、生命の危険があったり、日常生活が送れないほどの重症化した場合においてのみ発生するものであることを知っていて欲しい。ステロイドクリームではそんな副作用は存在しない。大事なことは、シロウト判断ではなく、きちんと医師の指示に従うこと。
そしてたかがアトピー、たかがアレルギーと思う人は、その「たかが」で命を落とす人がいることを知ってほしい。症状的な意味であったり、精神的に追い詰められての意味であったり。まぁ、アレルギーだし、などと軽視しないでいただきたい。
今、アトピーが原因でいじめられていたり、つらい思いをしている人たちへは、治療というのは非常につらい。でも、私の主治医が言ってくれたように「必ず原因はある」だから、根気強く、色々なことを試して、本当に自分にあった治療法を探すというするしかない。しんどいし、気が遠くなる。心が折れる時だっていっぱいある。そういう時は、無理やり前に進むことはない。ただ立ち止まって、休憩すればいい。で、ちょっと元気がチャージされたら前に進むといい。焦ることは無い。なんせ現状では、アトピーに完治はないのだ。自分の中で折り合いをつけながら、自分のペースで付き合っていくしかない。周りの目とか、周りの意見に振り回されることはない。だって、それがたとえ親でも、伴侶でも、誰もあなたの代わりにはなれない。だから自分が、自分の中でペースだとか折り合いを見つけるしかないのだ。
見た目のことで傷ついているかもしれない。私は、髪の毛が半分くらいなくなったし、長らく赤黒い肌で、そうでなければ、魚の鱗みたいな肌がボロボロ落ちてくるような状態だった。洋服も着ることができない。全身から汁がにじみでて、24時間、ずっとずっと痒くて気が狂いそうだったし、多分、狂ってた。なんせ鼻の穴とか、耳の穴まで痒いのである。それが10年近く続いた。そんなんでも、なんとかなったし、主治医にポスターガール(使用前・使用後的な)になってくれと言われるほどには回復した。
焦ったところで、何かがすぐに変わることはないし、ストレスはアトピーの大敵なのである。こんな風に言葉にすると気休めのように響いてしまうかもしれない。でもそうとしか言いようがない。
そしてお子さんがアレルギー、アトピー、喘息もちなどで大変な思いをしていらっしゃる親御さんたちに伝えたい。確かに遺伝的な要素はあるけれど、そうなってしまったのはあなたのせいではない。私達は遺伝子の仕組みをほんのちょっと分かっているだけで、実際のとこ、真実はなんなのか、なんて知らないのである。だから、誰のせいとか、そんなことを言葉にしてはいけない。
ごめんね、かわいそうねなんて言われるよりは、大丈夫よ、私がいるからねって抱きしめてもらう方がうんといい。周囲に沢山いるモブの反応より、絶対的な1人が寄り添ってくれることで、前を向いていられるし、強くなれる。
同時に。延々と続く病院通いや、症状に苦しむお子さんの姿をみることもきっと辛いと思う。何が効くかわからないなんて、博打と同じようなものである。頑張りすぎないこともまた大事。私が子供の頃の母の心情を思えば、彼女がなりふり構わず色んな治療を受けさせた理由もわかる。でも子供は親の知らないレベルでストレスを感じるし、それがまた極悪メビウスの輪になっていくこともある。
特に症状のひどいお子さんをお持ちの方。何を試してもちっとも効果がでないと焦ったり、苛立ちを感じている方。ゆっくりでも、少しずつ、少しずつ、歩調を合わせて一緒に歩いていくことで、子供・大事な人は安心するし、そういう状態が皮膚の状態を軽減することだってあるので。
私は、頑張れ、とか、頑張ろう!という言葉があまり好きではない。自分が言われたら、うるせぇ。頑張ってるし!やってんのよ!色々さ!(大声)と思う。だからせめて、自分の経験から学んだことや、その間に感じたこと、そんなことをこういう風に綴ることで、何かの、誰かのお力になれればいいなぁってそんなことを思うのです。
本当に長々となってしまい、読んでくださった方々には感謝の気持ちばかりが溢れます。頂いたコメントに泣いたり、励まされたりもしました。私もそうです、そうでした、とか、子供がアトピーです、というお言葉には、ややっ!おそろいですね(にやにや)などと思いながら、同士というか。1人だけじゃない、なんて心強い想いも持ちました。喜ばしい共通点ではないけれど、だからこそ情報を共有できたり、励ましたり、励まされたりできることはとてもうれしいです。
だから、最後の「よかったこと」は、ここにこうして文章として残せたこと。それを読んでくださった方々がいることです。と、そんな風に〆たいと思います。
そして今後もやってみてよかったことや、別の角度から(その4で触れた学術論文とか研究の紹介とか)のアトピーの話などを時々、書いていこうと思います。
終
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