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鳥Aves note I-xxx

空と雲の写真とともに、断章詩篇『鳥Aves note I』をお届けします。


2024年11月9日(土)、朝6時2分、東北東の空。


鳥Aves note I-xxx


鳥、鳥たちは一時の空の擦り傷など参照しない。飛べないわたし、私たちが無残に噴く白墨の粉の薄ぼけてゆく止まれない真っ直ぐな限界の筋など参照しない。



2024年11月9日(土)、朝6時4分、東上空。


2024年11月9日(土)、朝6時5分、東南東上空。


今朝は偶然、飛行機雲を見た。はじめ、東北東の空にほとんど動かない変な雲があるな、と見ているうちにゆっくりと動き出し、見る見るうちにすぅーっと南上空へ。一瞬、黒い鳥影も画面を素迅く横切ったが、撮らえられなかった。この飛行機雲は、尾を長く曳いていないので、しばらくは好天が続くだろうか。


▼世界が第一次世界大戦に向けて助走しだした時代に生まれた飛行機雲は、高高度を飛ぶ飛行機の航跡にできる直線状の人工的な雲だ。(……)飛行機雲は、エンジン燃焼の副産物である排出ガス中の水蒸気から生まれる。自然の雲の混沌とした有機的な形とは違って、科学進歩によるくっきりとしたシャープな軌跡が現代的な直線で空を切り裂く。(……)飛行機雲ができる原理は、寒い日に吐く生きが白くなるのと同じだ。ほとんどの雲は湿った空気が上昇して冷えることでできるが、飛行機の熱い排出ガスは高高度の非常に冷たい空気と混ざって冷える。(……)飛行機の巡航高度は8500~12000メートルで、そのあたりの気温はマイナス30℃~マイナス60℃だ。熱く湿った排出ガスはこの冷たい空気に混ざって急速に冷やされ、それによって機体から翼の長さほど後方で水蒸気が凝結し、その水滴がたちまち氷晶になる。(……)温帯地域で高高度を飛ぶ飛行機のうしろに飛行機雲が現れないときや、現れてもすぐに消えるときは、対流圏上層の空気が下降しているか乾いていることが多く、好天がつづく徴候だ。
——ギャヴィン・プレイター=ピニー『「雲」の楽しみ方』桃井緑美子(るみこ)訳、河出文庫、2017年1月20日 初版発行




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