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12月に読んでいる本

今年ももう12月😳
読書納め📖

🎃教養🎃🎃

先々月のファスト教養で紹介されていた本📖
以来、「自分がその人であった可能性に思いを馳せる」というのが自分の中での流行語で。
「思いがけず利他」に続き、こちらの本も借りました。

著者は
マイケル・サンデル - Wikipedia

サンデル氏は学生との対話による授業「ハーバード白熱教室」で知られ、多数の著書が日本でも刊行されているということです

こちらは来月に

🎄🎄🎄🎄🎄🎄


Wikipediaに掲載されている本書の結論
「能力主義においては、『われわれはどれほど頑張ったとしても、自分だけの力で身を立て、生きているのではないこと。才能を認めてくれる社会に生まれたのは幸運のおかげで、自分の手柄ではないことを認めなくてはならない』と結論付けている」
ともあるように、民主的なコミュニティを通じた「共通善」の追求を掲げる立場から、能力主義(メリトクラシー)や功利主義、市場主義を厳しく批判する特徴があるということ

解説によれば、
結論として、消費者的共通善ではなく市民的共通善、機会の平等ではなく条件の平等が、「メリット」の専制を超えていくためには必要である


まずは「共通善」の解説をAIにやってもらいました👩‍💻
「マイケル・サンデル(Michael Sandel)は政治哲学者であり、彼の「共通善(common good)」の概念は特に著作『正義: いかにして行うべきか What is Justice?』などで詳述されています。共通善とは、個人の利益を超えて社会全体の福祉や幸福を目指す考え方です。サンデルは、共通善の追求が社会の倫理的基盤を強化し、個々人が自分の生活や選択の中で他者とつながることの重要性を強調しています。

彼の主張の中心は次のような点です:

  1. 共通の目的:人々が共同体として共有する目的や価値観が重要であり、これが社会の結束力を高める。

  2. 倫理的議論:私たちの行動や政策決定において倫理的な議論を取り入れることが必要であり、個人の自由や市場の論理だけでは社会の問題を解決できない。

  3. 参加型民主主義:市民の積極的な参加と対話を通じて、より公正で包摂的な社会を築くことができる。

サンデルの思想は、多くの現代の社会問題に対する一つの解答として注目されており、人々がより善い社会を目指して協力し合う重要性を再認識させます」

そして
メリトクラシー - Wikipedia
イギリスのマイケル・ヤングが提唱した言葉

メリトクラシーは、前近代的なアリストクラシー(属性主義):家柄など本人が変えることができない属性により生涯が決まってしまう仕組みよりもはるかに公正かつ望ましいものであると考えられてきたが、それがいかなる弊害をもつに至っているかをサンデルが論じている(解説より)

その中でもとくに学歴ーー威信の高い有名大学の学歴ーーがもっとも典型的・中核的な事象だとみなしている
・アメリカにおける学歴獲得競争の熾烈化とその問題点
・バラク・オバマ大統領がいか高学歴者を優遇し、テクノクラート*的な主張を繰り広げてきたか
*テクノクラート:技術専門家が政策決定や行政において重要な役割を果たす状況
・大学進学適性試験(SAT)という選別装置が、当初の理念であった社会的流動性とは異なる事態を生み出してきたか

メリトクラシーの建前を掲げる社会において、実際には這い上がる手段をもたず、侮蔑され忘れられた人々の怒りを、サンデルは繰り返し述べている


☆プロローグ
新型コロナのパンデミック
物資供給の面だけではなく、アメリカは道徳的な面でも備えが足りなかった
党派的な憎悪と不信が渦巻くなかで到来した感染症が最も重くのしかかったのは、有色人種の人々だった
彼らは、労働者を最大のリスクにさらす仕事に不釣り合いに多く就いていた
ラテンアメリカ系住民の死亡率は白人より22%高かった
コロナの感染症による黒人のアメリカ人の死亡率は、白人のアメリカ人よりも40%高かった
→不平等が深刻化し、きわめて多くの労働者が仕事や社会的敬意を奪われていた

Copilotも
「このような差異は、医療アクセスの不平等や社会経済的な要因、基礎疾患の有無などが影響していると考えられています。COVID-19の影響を受けやすいコミュニティに対する支援や対策が重要であることが改めて浮き彫りになりました」と言っています

教えてくれた出典:
COVID-19の感染者数と死亡者数:人種/民族別:現在のデータと経時的な変化 |KFFの
COVID-19が死亡率に与える影響:人種/民族別、性別別

「Shrink」のヨワイ先生も言っていました

「精神科の入院患者の新型コロナウイルス感染率・死亡率はともにその他患者と比べ、約4倍と言われる。
 COVID-19は『精神病患者が一般患者と同レベルの医療をうけられていない』という現実をーーーこの社会のおおきなひずみをまたひとつ明らかにしたのだ」

出典:Shrink~精神科医ヨワイ~ 9 (ヤングジャンプコミックス) | 月子, 七海 仁 |本 | 通販 | Amazon

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現代政治における学歴偏重主義の衝動を最も率直に批判したのは
ジム・クライバーン - Wikipedia
(ジェームズ・クライバーン)

Copilotによれば
「James Enos Clyburnは、アメリカの著名な政治家であり、アメリカ合衆国下院の議員です。彼は学歴偏重主義に対して批判的な立場を取っています。Clyburnは、すべての学生がその背景や社会経済的地位に関係なく、質の高い教育を平等に受けられることの重要性を強調しています。彼は、教育機会と成果の格差を減らすことを目指す政策を支持しており、より包括的で公平な教育システムの必要性を訴えています。

Clyburnは、教育の平等に関するさまざまな取り組みを行っています。彼は特に、教育の質を向上させるための予算増加や、低所得家庭の学生が大学に進学できるようにするための奨学金制度の拡充を支持しています。また、彼は学歴偏重主義に反対し、すべての学生が平等な機会を持つことの重要性を強調しています。

Clyburnは、教育の不平等が社会全体の不平等を助長すると考えており、特にマイノリティや低所得家庭の学生が直面する障害を取り除くための政策を推進しています。彼の主張は、教育が社会的・経済的な成功の鍵であるという信念に基づいています」
ということです。

地方や労働者階級の有権者は、トランプの怒りの政治に引きつけられていた
政治的・文化的エリートに対するトランプの敵意が、彼らの憤まん、屈辱感に訴えた
トランプの政策が彼らの助けになることはほとんどなかったにもかかわらず、彼らはトランプを自分たちの味方だと感じていた
トランプの怒りの政治は、人種を超えた理由によって共感を呼んだのだ
数十年にわたり、勝者と敗者の溝は深まり、われわれを分断している

本書は、共通善の政治への道を見出すにはどうすればいいかを考えようとするもの


☆序論―入学すること

ウィリアム・シンガーという悪辣受験コンサルタントによる不正入学事件👩‍🎓

大学入試では富や特権が物を言う
巨額の寄付をすれば、入学資格を満たさない志願者でも裏口入学できる場合があるが、入学が保証されるわけではなかった:合法?
シンガーのやり方では、違法だが入学が保証される

能力の尺度を経済的有意性から切り離すのは難しい
SATの得点は、家計所得とほぼ軌を一にする
裕福であればあるほど、得点は高くなりやすい
アイビーリーグの学生の2/3あまりが、所得規模で上位20%の家庭の出身

Copilot👩‍💻
「この問題にはいくつかの側面があります。

教育機会の不平等

アイビーリーグのような名門大学に入学するためには、多くの資源が必要です。経済的に恵まれた家庭は、子供に高品質な教育を提供できるため、これが教育の不平等を助長することがあります。

社会の多様性の欠如

経済的に恵まれた学生が多いと、キャンパスの多様性が不足し、異なる背景を持つ学生同士の交流が減少します。これにより、異なる視点やアイデアの交換が制限される可能性があります。

格差の固定化

名門大学の卒業生は通常、高収入の職業に就く傾向があり、これがさらに経済格差を広げる要因となります。結果として、経済的な不平等が次世代に引き継がれることになります。

精神的・感情的な負担

学生が過度のプレッシャーを感じることがあります。特に、経済的に恵まれた家庭の学生が過剰な期待や競争にさらされることがあり、これが精神的・感情的なストレスを引き起こすことがあります。

これらの問題に対する対策や解決策についても考えることが重要です。たとえば、奨学金や助成金の提供、入試制度の改善、多様性を促進するプログラムの実施などが挙げられます。あなたはどう思いますか?」

OH、問いを投げかけてきた!


学生は自分でコントロールできない要因ではなく、自分自身の力量や才能に基づいて入学すべきという前提を共有している
大学への入学は能力に基づいて認められるべきだという点に異論はない
問題なのは、不正行為を突き動かした考え方
名門大学への入学は、喉から手が出るほど欲しがられている褒章だということ
大学入試への執着は、この数十年の不平等の拡大に端を発している
誰がどこに入るかにかかるものが一層、大きくなっているという事実の反映
大学の学位を持つ者と持たない者の所得格差が広がるにつれ、大学の重要性は高まった
→支配的で過干渉な子育ての流行
高まる不平等への気がかり
無理もない反応
中流階級の生活の不安定さを子どもに味合せたくないという親の願い

☆能力への入札
競争の激しい能力主義社会で努力と才能によって勝利を収める人々は、さまざまな恩恵を被っているにもかかわらず、競争のせいでそれを忘れてしまいがち
➡️自分1人の力で成功したのだと間違った印象が植え付けられる
自分のことは自分でできるという考え方が強くなればなるほど、感謝の気持ちや謙虚さを身につけるのはますます難しくなる

第1章 
勝者と敗者

☆ポピュリストの不満
・エリートに対するポピュリストの怒りは、主として人種的・民族的・性的な多様性の高まりへの反発
・労働者階級の憤懣の根底には、グローバリゼーションとテクノロジー時代の急速な変化がもたらした困惑と混乱がある

☆出世のレトリック
現代の経済において、社会的に上昇するのは容易ではない
貧しい親のもとに生まれたアメリカ人は、大人になっても貧しいままであることが多い
ハーバード大学やスタンフォード大学の学生の2/3は、所得規模で上位1/5に当たる家庭の出身
➡️勤勉で才能があれば誰でも出世できるというアメリカ人の信念は、もはや現場の事実にそぐわない
社会的流動性によって不平等を埋め合わせることはもはや不可能

☆能力主義の倫理
才能を持っていることは、本当に自身の手柄だろうか?
勝者は成功へと至る途中で助けとなってくれた幸運を忘れてしまう、共通の運命を分かち合っていることを理解する能力を損ねてしまう
運命の偶然性を理解することは一定の謙虚さをもたらすが、その偶然性に思いを巡らすことで生じうる連帯の余地はほとんど残らない


第2章
「偉大なのは善良だから」
能力の道徳の簡単な歴史

能力主義の理想は個人の責任という概念をきわめて重視する
市民として道徳的に行動する責任を負わせることと、われわれ一人ひとりが自部の運命に全責任を負っていると想定することはまったく別
くじ引きの結果は、われわれ自身の努力によって決まるのではない

しかし、現代的見解では
富は才能と努力のしるしであり
貧困は怠惰のしるしである
人間の主体性を強調し、不運に見舞われた人に対する厳しい態度
苦難が深刻であればあるほど、犠牲者が自らそれを招いたのではないかという疑いが深まる

第3章
出世のレトリック

能力主義は共感性をむしばむ
自分自身を自立的・自足的な存在だと考えれば考えるほど、われわれは自分よりも恵まれない人々の運命を気にかけなくなりがち
私の成功が私の手柄だとすれば
→彼らの失敗は彼らの落ち度に違いないという理論
 他人の立場で考えることが難しくなってしまう

☆努力と正当な報い
著者が能力主義的な機運の高まりについて気づいたのは、学生の声を通じてのこと
「自分の成功は自分の手柄、自分の努力の成果、自分が勝ち取った何かである」という信念に魅力を感じる学生がますます増えてきているようだ
自分はハーバード大学への入学資格を手にするために懸命に努力したのであり、したがって、現在の地位を得たのは当然
彼らに制御できない幸運、その他の要因のおかげではないかとほのめかされると、激しく反発する

著者が中国での講義で取り上げた事例

学生たちの反応
「裕福な人々は自分で富を築いたのだから、報酬を受ける資格があり、長生きに値する」
「腎臓の売却に自由意志で同意したのであれば、腎臓を売る権利がある」

☆才能の許すかぎり
出世のレトリックがアメリカの政治的言説の中で目につくようになったのはこの40年のことにすぎない
オバマの信念の土台:妻のミシェルが労働者階級の家庭で育ったが、プリンストン大学とハーバード大学ロースクールで学び、世に出ることができた
→オバマの出世のレトリックは能力主義を指向
 差別がないことを強調し、努力を求め、自ら「責任を負う」ように国民を戒めた

出世のレトリックと能力主義の倫理が結びつき、機会が真に平等ならば、人々は才能と努力の許す限り出世できるだけでなく、その成功は彼ら自身の手柄なのであり、彼らは人生において手にする報酬に値する


☆ポピュリストの反発
底辺から浮かび上がれなかったり、沈まないようもがいている人々にとって、出世のレトリックは将来を約束するどころか自分たちをあざ笑うものだった
彼らにとって、出世のレトリックは激励というより侮辱だった

☆やればできる?
アメリカ人は人間の支配力に対してより大きな信頼を表明する
アメリカ人の多くは「人生の成功は自分の支配できない力によってほぼ決定される」という言説に同意しないが、
対照的に、ヨーロッパ諸国を含むほとんどの他国では、多くの人々が、成功は主に自分の支配できない力によって決定されると考えている

しかし実のところ、アメリカの経済的流動性はほかの多くの国々よりも低い
=経済的な優劣が、次の世代への引き継がれる頻度が高い
 カナダ、北欧諸国の子どもは、アメリカの子どもと比べ、貧困を脱して裕福になれる可能性がはるかに高い
 アメリカン・ドリームが無事に生き残っているのはコペンハーゲンなのだ

世銀によれば、中国における所得格差のレベルはアメリカとほぼ同じで、そのうえ、中国における世代間移動はいまやアメリカを上回っている
=「チャンスの国」と言われるアメリカの方が、中国よりも、
「どれだけ成功するのかがどこから人生を始めるかに強く結びついている」

立身出世への信念は、不平等に対するアメリカの伝統的回答
自分の出身階級に閉じ込められている人はいないので、不平等はさほど問題にならないと論じる
富者と貧者のあいだにきわめて大きな格差があるものの、底辺にいる人々でさえ、やればできるのだ、と

第4章
学歴偏重主義
ー何より受け入れがたい偏見

驚かされるのは、バイデンなど政治家たちが学歴を粉飾していることではなく、そうする必要があると思っていること

真の機会の平等を実現するには差別の根絶だけでは不十分で、競争の場を公平にする必要がある
さまざまな社会的・経済的背景を持つ人々が、知識を基盤とするグローバル経済において効率的に競争できる素養を身につけられるようにするため

ビル・クリントンが用いた対句
「何を手にできるか(earn)は、何を学べるか(learn)にかかっている」

グローバル経済をいかに変革するかではなく、いかにしてそれに適応するかが政治の中心問題になり、労働者の学歴を向上させ、グローバル経済の中で競争させるようにする

Thomas Frank(ポピュリスト的感性をもつ作家)
「成功している側が申し渡す道徳的判決」:重要な何かに触れている
不平等の原因は主として教育の失敗だとする見方に疑問を呈す
「真の問題は、労働者の権力が足りないということで、労働者の知性が足りないということではなかった。生産していた人々は、自分がつくったものの分け前を要求する力を失っていった。所有する人々は、ますます多くのものを手に入れていった」
この点を見誤ったせいで、民主党員は
「実体経済で起こっていることを無視し、誰とも対立せずにすむ道徳的幻想にふける」ことになったという

著者によれば、
より多くの人に大学へ行くよう勧めるのは善いこと
だが不平等や労働者の窮状の解決策として、ひたすら教育に焦点を合わせることには有害な副作用
すなわち、大学へ行かなかった人々が受けるべき社会的敬意をむしばんでしまった
<副作用の二つの形>
①多くのアメリカ人は大学の学位を持っていない
 成人のうち、四年生大学を卒業している者は1/3程度
②成功や失敗を道徳的に解釈し、学歴偏重主義を無意識に助長

いかに善意からであろうと、労働者に大学の学位を得て暮らし向きをよくするよう絶えず求めることは、結果として学歴偏重主義の妥当性を高め、体制が付与する経歴を持たない人々に対する社会的な評価や敬意を損ねてしまう


第5章
成功の倫理学

人は、自分がどれだけ金持ちかに関心があるだけではない
裕福さや貧しさが自分の社会的地位や自尊心にどんな意味を持つかも気にしている
→能力主義社会と貴族社会では、自力で地位を手にしたという達成感がもたらされることから、能力主義社会において裕福である方が好ましい

同じ理由で、能力主義社会において貧しいことは、自信喪失につながる
貴族社会では、運のいい・悪いに過ぎないことがわかっているため、自分の責任を悩み苦しむことはないだろうから

こうした不安の影のもと、「能力主義」メリトクラシーという用語が生み出された
マイケル・ヤング (社会学者) - Wikipedia
ヤングにとって、能力主義は理想ではなくディストピア(暗黒郷)を表す言葉
階級に縛られた秩序の道徳的恣意性や明白な不公正には、労働者階級が自らの従属的立場を「個人的な失敗」と考えずにすむようにしていたという効果はあった
体制が不正に仕組まれたものだと知ることで、労働者階級はその体制に政治的な闘いを挑む力を手にした
同じく重要なのは、階級制度の恣意性のおかげで、労働者は社会が彼らに割り当てた低い身分を基に自分を評価せずにすんだ

能力にしたがって仕事や機会を分配しても、不平等が緩和されるわけではない
能力に見合うよう不平等が再構成されることになる
だが、こうした再構成は、「人は自分が値するものを手に入れる」という想定を生み出し、これが富者と貧者の溝を深める

ヤングはまるで2033に生きているかのように「観察」し、
「現代に特徴的な問題の一つは、能力主義社会のメンバーの中に、自分自身の価値に陶酔するあまり、彼らが統治する人々への共感を失ってしまう者がいることだ」と述べている
エリートに対する怒りは、出世できない人々が能力主義のせいで抱える自己不信のためにさらに大きくなった
ヤングはこうしたおごりと怒りが政治的反動を招くことを予期していた
→2016年、イギリスのEU脱退とアメリカのトランプ大統領の当選で、予言が現実となった

☆能力主義再考
能力主義の真の問題はそれを実現できないことではなく、その理想に欠陥があることだとしたら?
①能力主義が十分に実現しさえすれば(=仕事や賃金が、努力と才能をきちんと反映すれば)、正義にかなう社会になるという考え方に疑問を投げかける
②能力主義社会が公正であっても、それは善い社会ではないのではないかと懸念する…人類の繁栄と対立し、共通善を腐食するから

☆完全な能力主義は正義にかなうか
完全な能力主義社会を実現できるものと仮定して(実現するのはきわめて難しく、差別が完全に克服されることはないのだが)、成功のために競い合う平等な機会をすべての子どもに与えるという約束を果たせるものと考えてみよう
その場合、正義にかなう社会が成立するのだろうか?
完全な能力主義社会はとても魅力的だが、その社会は正義にかなうという主張はいささか疑わしい
①能力主義の理想にとって重要なのは流動性であり、平等ではないことに注意すべき。大きな格差が悪いとは言っていないのだ
はしごの踏み板の間隔がどれくらいであるべきかについては、何も言わない
能力主義の理想は不平等の解決ではなく、不平等の正当化なのだ

☆われわれは自分の才能に値するか
政治家たちは「出自がどんなに卑しくても、われわれは誰もが、才能と努力の許す限り出世できなければならない」と公言するが、そもそも才能と努力の許す限りであるのはなぜだろうか?
自分の才能が自分の運命を決めるのであり、人は自分の才能がもたらす褒章に値するのだと仮定するのはなぜだろうか?

この過程を疑うのには2つの理由
①自分が才能を持っているのは、自分の手柄ではなく、幸運かどうかの問題であり、運から生じる恩恵(あるいは重荷)を受けるに値するわけではない
②自分がたまたま持っている才能を高く評価してくれる社会に暮らしていることも、自分の手柄だとは言えない。これもまた運がいいかどうかの問題
自分の才能が評価されない時代に生きていることは、自分の責任ではない

☆努力する人は価値があるか
努力と勤勉
努力が大切であるとはいえ、勤勉なだけで成功が手に入ることはめったにない
努力がすべてではない
生まれつきの才能やそれがもたらす有意性は、能力主義的信念に揺さぶりをかける
称賛や褒章をもたらすのは努力だけだという確信に疑義が生じる
こうした歪曲は、圧倒的多数のアメリカ人(約8割)にも見られる
出世が難しいにもかかわらず、彼らは「懸命に働く気があれば、ほとんどの人は成功できる」と信じている

☆能力主義に代わる二つの考え方
①自由市場リベラリズム
②福祉国家リベラリズム(あるいは「平等主義リベラリズム」)

①自由市場リベラリズム
フリードリヒ・ハイエク - Wikipedia ノーベル経済学賞の受賞者
サッチャーをはじめとする自由放任資本主義の擁護者にインスピレーションを与える
著書 自由の条件 - Wikipedia にて、
「自由と両立しうる唯一の平等は、法の下における純粋に形式的な全国民の平等」と主張
職業は誰に対しても開かれていなければならないが、国家は平等あるいは補償的な教育の機会を提供することによって、公平な競争の場をつくろうとすべきでない
そうしたプロジェクトは非現実的で、結局は強制的なものにあるとみなした
家族が廃止されないかぎり、子どもはいやおうなく家庭の中で成長するが、各家庭が提供する利益はさまざま
→特定の個人の可能性に関わるあらゆる条件を国家がコントロールするのは、自由の対極にある

市場の結果は、売り手が提供する財やサービスに消費者が見いだす価値を能わしているにすぎず、ハイエクは功績と価値をはっきり区別している
価値:消費者が支払おうとする代価の尺度にすぎない
需要と供給の偶発的な状態によって決まる
=それは、自分の功績や美徳、つまり私がなす貢献の道徳的重要性とは何も関係もない
たまたま社会が評価してくれる才能を持っていることは、自分の手柄ではなく、道徳的には偶然のことであり、運の問題

賃金は善良な気質や立派な業績に対する賞金ではなく、市場参加者が提供する財やサービスの経済的価値を反映した支払金にすぎない

②福祉国家リベラリズム
ジョン・ロールズ - Wikipedia
正義論 (ロールズ) - Wikipedia
公正な機会均等のための精度、つまり、階級の違いの影響を完全に埋め合わせる制度でさえ、正義にかなう社会を生み出すことはないと主張

公正な能力主義は「社会的な偶発性の影響を取り去るうえで完璧に機能する場合でも」
「依然として、力量と才能の生来の配分によって財産や所得の配分が決定されることを許容している」
生来の才能による所得の不平等は、正義にもとるという点で、階級の違いから生じる不平等と何ら変わらない
「道徳の観点からは、両者とも同じくらい恣意的に思える」

格差原理
またここでCopilotに聞きました👩‍💻
「ジョン・ロールズの『格差原理』(Difference Principle)は、彼の著書『正義論』(A Theory of Justice)で提唱されたものです。この原理は、社会や経済における不平等が許容されるべきかどうかを決定するための基準を提供します。

格差原理の主なポイントは以下の通りです:

  • 最も不利な者の利益:社会や経済における不平等は、最も不利な立場にある人々にとって利益をもたらす場合にのみ許容されるべきである。

  • 公平な機会の提供:不平等が許容される場合でも、それが最も不利な者の機会を制限することはない。

ロールズの理論は、社会の基本的な構造が公平であることを目指し、個人の自由と平等を両立させることを重視しています」

サンデル先生の著書によれば、
才能ある者がその才能を発揮できないようにする(カート・ヴォネガット・ジュニアによる「ハリスン・バージロン」の分析と要約。 - 人文科学 2024)のではなく、彼らは自らの才能によって市場社会で獲得する報酬に値するという見方を否定することによって、能力主義と決別する

社会は「偶発的事態が最も恵まれない人々に役立つよう」構築されるべき
ロールズによれば、
「努力しよう、やってみよう、そして通常の意味で称賛に値する存在になろうという意欲さえ、それ自体が恵まれた家庭や社会環境に左右される
→努力でさえ、市場での報酬は道徳的な手柄を反映するはずだという考え方を救えないのだ

「自分の才能を磨くために努力できる優れた気質というのは、大部分、当人が自分の手柄にはできない幸福な家庭や社会環境に依存している」

われわれは成功を可能にしてくれるコミュニティからさまざまな面で恩恵を受けており、したがって、コミュニティの共通善に貢献する義務を負っていることが示せるかどうか
成功者は独力で成功を収めたわけではなく、それを可能にしてくれたコミュニティに恩義があるということ
コミュニティはわれわれの才能を育み、われわれの貢献を評価してくれるから

福祉国家リベラリズムの弱点:
それが必要とする連帯を形づくるのにふさわしい共同体意識を生み出せない

☆功績(merit)を拒否する
ロールズの正義の原理は功績や美徳に報いようとはしない
多元的社会では、功績があるとみなされるものは何かという点で、人々の意見は一致しない
こうした判断は、最善の生き方に関する論争的な概念に依存しているから
こうした概念の一つを正義の原理の基盤とすれば、自由を掘り崩すことになる
それは、ある人に他人の価値観を押しつけ、「各人が自分の考える善き生を選び、追求する権利」を尊重しないことになるから

☆才能の価値を守る
自由市場リベラリズムと平等主義(福祉国家)リベラリズムはともに、功績を正義の第一原理とすることを拒否するものの、結局のところ能力主義的傾向を共有している
能力主義のおかげで人々が「神から与えられた才能の許す限り」出世できるとすれば、最も成功を収めた者は最も才能のある者だと考えたくなるが、これは間違い
金儲けでの成功は、生来の知性にはほとんど関係ない
そういうもの(生来の知識)があるとすればの話だが

所得の不平等の主因として生来の才能に固執することで、平等主義的リベラル派はその役割を誇張し、無意識のうちにその威信を増幅している


第6章
選別装置

高等教育がいかにして選別装置と化したか
この選別装置は、能力に基づく社会的流動性を約束するいっぽう、特権を固定化し、成功に対する一つの態度を助長する

1940年代 ハーバード大学学長 ジェイムス・コナント - Wikipedia
ハーバード大学とアメリカ社会全般に世襲の上流階級が生まれていたことを懸念

ニコラス・レマン - Wikipedia

「使用人を従えた金持ちで思慮に欠ける若者が、勉強はそっちのけでパーティとスポーツに明け暮れ、学生生活の気風を定めていた」
こうした若者がやがて、一流法律事務所、ウォール街の銀行等の主流を占めることになる

コナントの願いは、こうした世襲エリートを打ち倒し、能力主義エリートに置き換えることだった
→奨学金を創設し、どれほど貧しい家庭の出身であろうと前途有望な高校生を見つけ、名門大学の教育を受けさせるための手段
彼はSAT(WWIに陸軍で使われたIQテスト)を選択
その後、SATは全米でアメリカ人全体を選別する基本的な仕組みとなった

コナントは所得と資産のより平等な分配をめざしているわけではないことを認めている
才能による選別と平等の追求は、二つの異なる企て
コナントは高等教育の間口を広げることには無関心だった
大学生を増やしたかったわけではなく、真に優秀な生徒が進学するようにしたかったにすぎなかった
コナントが20年間、学長を務めたあいだに、彼の主張に達することはなかった
=1950年代前半当時、ハーバード大学は相変わらず卒業生の子息をほとんど不合格にせず、87%以上を入学させていた
「上流階級」の血統が、アイビーリーグの大学が以前として重んじる文化的威信をもたらしてくれるから
ユダヤ人が多すぎると「ハーバードが最も歓迎するプロテスタント上流階級の男子」が寄りつかなくなってしまうという強い懸念から、ユダヤ人学生の入学制限は全廃に至らなかったし、女子学生や人種的・民族的マイノリティの生徒を募集しようとするのはまだ先のことだった

SATの得点は富に比例し、能力主義が不平等を固定する
ほとんどの大学が、機会の拡大よりも特権の強化に加担している
多くの難関大学は卒業生の子どもを優遇している
彼らを入学させれば、共同体意識が育まれ、寄付も入ってくるから
ハーバード大学の場合、合格率は1/20人だが、卒業生の子どもの場合は1/3人が合格している
能力主義の軍拡競争は富裕層に有利になりがちで、裕福な親は自らの特権を子どもに異常できる
→過干渉なヘリコプター・ペアレンティングの台頭
 最も目立つのはアメリカや韓国など不平等の大きい社会
 スウェーデンや日本ではあまり高じていない!

☆適格者のくじ引き
毎年、ハーバード大学とスタンフォード大学では、およそ2千人の定員に対して4万人超の高校生からの出願がある
その大多数が、合格レベルに達している適格者
→手あたり次第に合格者を選んでも、真剣に選考しても、遜色ない学年ができあがるだろう(入試委員を長年務めた人物によるため息)
→適格者の中からくじ引きで決めるのと同じ
大学入試という領域では、才能はあいまいでつかみどころのない概念だから
そして、能力の専制に対抗できる
適格性の基準を設けて、あとは偶然に任せれば、競争激化した高校生活は健全さをいくらかは取り戻せるだろう


第7章
労働を承認する

☆絶望死
アメリカの平均寿命が2014年から3年連続で縮んだのは絶望死の増加:自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝臓疾患等
2016年までに、薬物の過剰摂取によってなくなるアメリカ人の年ごとの数が、ヴェトナム戦争によるアメリカ人死者の総数を超えるようになった
絶望死するアメリカ人の「2週間ごと」の人数は、アフガニスタンとイラクにおける18年間の紛争で命を落としたアメリカ人の総数を超える

絶望死の増加の大部分は、学士号を持たない人々のあいだで起きている
四年制大学の学位をもつ人はほぼ無関係であり、最も危険にさらされているのは学位を持たない人
過去20年間で中年の白人男女全体の死亡率はあまり変わっていないが、学歴によって、死亡率に大きな差がある
その大きな原因となってるのが絶望死
それは単純に貧困から生まれる不満や、ひとえに低学歴者がおおむね貧しいせいだろうと考えられがちだが、有意な関連は見つからなかった
「物質的な欠乏」よりも大きな何かが、絶望を掻き立てている

それは、能力主義社会において称えられ報いられるような資格を持たずに悪戦苦闘する人たちの苦境に特有のもの

☆承認としての労働
ヘーゲルの「承認を求める闘い」
Copilot登場👩‍💻
「ヘーゲル哲学における『承認を求める闘い』(Begierde)は、人間の自己実現の過程で重要な概念です。ヘーゲルは、人間は自分自身を認識し、自己の存在を確立するために他者の承認を求めると考えました。この闘いは、自己と他者との関係を通じて自己のアイデンティティを確立しようとするものです。
この「承認を求める闘い」は、人間の社会的な存在と自己の認識の間の緊張関係を表しています。他者からの承認を得ることで、自己の価値や存在意義を確認しようとする心理です」

ヘーゲルに従えば、労働市場は必要性を効率よく満たすシステムである以上に、「承認」のシステム
このシステムは所得によって労働に報いるだけでなく、各人の労働を共通善への貢献として公に承認する
労働を消費のための手段としては見ずに、むしろ、労働は最高の条件が整えば、社会を統合する活動、承認の場、共通善に貢献する義務を称える方法となる
人間が根本的に必要とするのは、生活を共にする人々から必要とされること
労働の尊厳は、そのような必要に応えるために自分の能力を発揮することにある

労働の尊厳は、格好の出発点
労働を承認の場として扱うことは、気まずい問いを投げかける
市場結果は、人々の共通善への貢献の社会的進化を反映するという前提に異議を唱えることになるから
市場主導の社会では、物質的成功を道徳的功績のしるしと解釈する誘惑につきまとわれる


結論
能力と共通善

☆機会の均等を超えて
障壁を破壊するのはいいことだが、善き社会の土台となるのは、難局を乗り越えられるという約束だけではない

機会の平等に代わる唯一の選択肢は、成果の平等(不毛かつ抑圧的な)と考えられがちだが、選択肢はほかにもある

広い意味での「条件の平等」
社会的に評価される仕事の能力を身につけて発揮し、広くいきわたった学びの文化を共有し、仲間の市民と公共の問題について熟議することによって、まともで尊厳ある暮らしができるようにすること

例:アメリカ議会図書館
あらゆるアメリカ人が利用できる公共の学びの場
こうした手本が国民生活のあらゆる領域で実践されれば、アメリカン・ドリームは「ゆるぎない現実」になるだろう
by.ジェームズ・トラスロー・アダムズ 「米國史」
「アメリカン・ドリーム」という言葉をつくり出した人!!😳

共通善に到達する唯一の手段が、われわれの政治共同体にふさわしい目的と目標をめぐる仲間の市民との熟議だとすれば、民主主義は共同生活の性格と無縁であるはずがない
完璧な平等が必要というわけではない、
それでも、多様な職業や地位の市民が共通の空間や公共の場で出会うことは必要
なぜなら、それが互いについており合いをつけ、差異を受容することを学ぶ方法だから


(アラレ)
「意欲さえ、それ自体が恵まれた家庭や社会環境に左右される
本著では、一番刺さった所。
自分が頑張れているのは本当に運による結果で。謙虚さ、足るを知ること、ヘリコプターペアレントにならないこと…
難しい本で、注釈の出典だけでも壮大な物でしたが、それでも自分に落とし込むポイントを見つけるようにしました💦

あと、結論はどうなるのかなと思っていたのですが、すごく身近な話。
やりがいや働きがいを感じるには、人から求められること、自分の貢献が見えること、認められること、信じて任せてもらえること…
というデータに触れていたため、最後の

・労働は承認の場となること
・人間が根本的に必要とするのは、生活を共にする人々から必要とされること
・労働の尊厳は、そのような必要に応えるために自分の能力を発揮することにある

というところが直結して、
教養のために読んだ本がまさか今やっていることに直結してて、驚きました😳

なかなか頭使ったけど、地味に達成感ー😌




🎄🎄🎄🎄🎄🎄

こちら↑ の本で紹介されていた本も借りました🏫

アメリカのポジティブ心理学を、心理学、社会学の観点から批判的に捉えた研究。

「幸せな労働者は、より高い遂行能力をもち、より生産的だ」というポジティブ心理学や個人主義の主張

「ポジティブ度が高く精神疾患の度合いが低い人だけが、機能的で健康で正常で幸せであり、善である」というポジティブ心理学の主張

それらに対し、著者たちは悲しみや怒りが社会を変革する重要な力になりうるとし、これらの感情をスティグマタイズすることに異を唱えます

本書のタイトルはフランス語版のタイトルHappycratieを採用したもの
「Happyによる支配」を意味する造語
上のサンデル教授の本とまた同じ、メリトクラシーが出てきました。
能力に加えて、更には感情の階層化😳

・アリストクラシー
身分や家柄によって所属階級が固定される属性主義

・メリトクラシー
本人の努力や能力によって階層移動が可能な業績主義

今や幸せがニューノーマルとなる社会では、「感情の階層」が制度化される
問題解決を常に自己の内面に求めさせ、社会構造的な問題から目を逸らさせる装置としても働く

☆マタイ効果
ロバート・キング・マートン - Wikipedia による造語
マタイ効果 - Wikipedia

条件に恵まれた研究者は優れた業績を挙げることでさらに条件に恵まれるという現象のこと
→構造的なGapに目を向けず、結果は全て、本人の努力に帰するとする個人主義の考え方は、恵まれた人が逆境・困難な状況にある人に対し、「自分がその人だったかもしれない」可能性に思いを馳せず、恩恵を受け続ける仕組み

本書の冒頭で挙げられていた映画
クリス・ガードナー - Wikipedia の自伝的映画
実際にはガードナーのような例は、アメリカでも世界のほかの場所と同じくらい稀
アメリカはは世界でも所得格差および社会的排除の出現率の大きい国
つまり、人口の大部分にとっては裕福にあることも階級上昇も現実には非常に難しい
アメリカは、勝者でも敗者でも、人の成功や不幸の責任はひとえに個人にあるという考えが文化的国民意識に深く根付いている国

→人が置かれた状況を、構造的なプロセスのせいではなく、その人自身が招いたことだという観点で見るようになっている
粘り強さと個人の努力はつねに報われるから能力主義は機能するというメッセージで映画は終わる


☆自律性のパラドックス
自律性:
労働者が手にする結果はーー成功するしないにかかわらずーー完全に彼ら自身の努力にかかっているという考えが前提
個性と独立心と個人の責任を強調する企業文化

企業は労働者に自律を求めるが、それでいて企業文化には同調してほしいと思っている
=独立では全くなく、おとなしく従ってほしいということ
本当の目的は、組織の失敗と責任を労働者に転嫁すること

☆結論
・ポジティブ心理学者たちは結局、ただビジネスに勤しんでいるに過ぎない
・幸せの唱道者らが描き、市場を通して広める幸せな人の心理的プロフィールが、新自由主義が考える理想的市民とぴったり合致しているのは、なんと都合がいいことだろう
・幸せの追求ではなく、知識と社会正義、批判的な分析こそが今後も道徳的目的であり続ける

(アラレ)
頑張れるのも環境に恵まれた運、
ここでも1冊目と同じような流れ。
この2冊はそれぞれ、別の本の中で紹介されていたのに、見事につながりました🧙‍♀️



🎃子育て🎃🎃

義実家帰省中のお供にします📖
図書館の本は持っていけないので🚢


脳科学で有名な、東北大学/川島教授の著書

川島教授は「囲碁教室に通った児童たちの成績の有意な変化は囲碁を学んだ事に起因するものと推測する」という調査研究も行っています。

☆才能を伸ばすには習慣が9割
先の読めない時代だから、知識が多いだけでは足りない
脳の中に高速ネットワークをたくさん持っている状態が頭がよい
認知症の脳でも機能性が向上する

頭をよくするには前頭前野を活性化した上で鍛えること
前頭前野自体の性能を高めると、前頭前野が持つすべての能力が底上げされる可能性が高い
→計算、音読、暗記を続けると、計算能力や記憶力が向上するだけでなく、創造力や論理的思考力、注意力や感情コントロール能力までもが高まる現象が起こる

☆脳によい習慣
黙読するだけでも脳の広範囲が働くが、音読になると働く範囲はさらに広がる、前頭前野が特に強く反応する
黙読であっても、脳にとてもよい影響があると科学的に解明されている
読書は脳の構造自体を変化させる
読書習慣のある子どもは、読書習慣がなく勉強時間がより長い子どもより、成績が良い調査結果
漫画も何も読まないよりはマシなので、取り上げないこと

☆読書で「クリエイティブ脳」が育つ
創造力を育むために脳科学的な知見から言えばもっとも効果的と著者が考えているのが「読書」
読書をするときに働く脳の部位は、創造力を発揮するときに働く部位でもある
=語彙や言葉の力こそ、創造力の源泉
 新しいアイディアを生み出す能力は、読書で鍛えられる

☆目と目を合わせた親子の会話で「共感脳」を育てる
人形遊びで「他者になりきる」ことで、自分以外のだれかの感情や考えをくみ取るための「共感脳」をトレーニングしている

ピーター・サロベイ - Wikipedia
EQの研究
「社会的成功者はほぼ例外なく、対人関係能力に優れている」という傾向に着目
・他者の感情に気づき、適切な配慮ができる
・相手の感情に配慮しながら、働きかけることができる
・自分の感情に気づき、それをコントロールすることができる
・相手や自分の感情を言葉で言い表すことができる
これらは全て「感情の知性」であり、その源泉こそが「共感脳」

「顔を見て話す習慣」も、EQ向上にポジティブな影響を与える
脳内の「顔神経」と呼ばれる神経回路で、相手の顔から得られた情報をものすごい速さで処理して、最適な反応を導き出している
顔神経は相手の目から情報を収集しようとする特性があるため、「目を合わせない」=「相手の感情がつかめない」ということになってしまう
親子で会話するときには目と目をしっかり合わせること
その習慣の積み重ねが、子どもの「共感脳」を鍛え、人の気持ちがわかる子に成長させる

☆早寝、早起き、睡眠時間が長い子どもは、様々な認知機能が高くなって頭がよくなる
理由1:ミトコンドリアは睡眠が不足すると、発電所としての働きを低下させてしまう=脳のエネルギー不足
理由2:海馬が十分に発達しなくなる
理由3:記憶を定着させるためにはレム睡眠が必須だが、睡眠時間が6時間になるとレム睡眠の回数は4回程度になってしまう→最低8時間の睡眠は必要

☆外遊びが脳の神経細胞を増やす
子どもの認知機能は、外遊びによって大きく向上する
体を活発に動かすことは、必須要素

☆「モノのごほうび」より「速攻ほめる」で脳のやる気が燃え上がる
目的意識をもって自主的に学習する子どもほど学力が高くなる傾向
①家族にしっかり話を聴いてもらえる環境をつくる
 家族とのコミュニケーションが多い子ほど、目的意識や探究心が高まる傾向がある
②親子で一緒に過ごす時間を長くする
 コミュニケーション時間の長さも、子どもの脳に非常に大きな影響を与える
→親子でたくさん会話することが子どもたちの言語能力を飛躍的に向上させる
③その場で「すぐに」ほめる
子どもにポジティブな言葉をかけると、前頭前野が非常に強く反応する
→ほめ言葉こそが、子どものやる気に火をつける効果が高い
コツは「その場ですぐにほめること」、即時性が非常に重要
④結果ではなく、プロセスをほめる
子どもがやるべきことを行ったプロセスに絞って、具体的にほめる

☆侮蔑ワードは厳禁!脳への「平手打ち」のダメージを与える
言葉の暴力は心と記憶に刻まれて、自尊心や自己肯定感を損なうことにもつながり、子どもの成長にとって何もよいことがない
ネガティブワードをぶつけることはタブーとすること

☆親の過度なスマホ使用は、子どもの情動に悪影響
長時間のスマホ使用は確実に学力に悪影響を及ぼすことが証明されている
脳はひとつの作業に集中したときに、そのパフォーマンスを最大限に発揮するようにできている
スマホを使用している間、子どもの前頭前野の脳血流は低下し、働きが抑制され続ける
親が、子どもと一緒にいるときに長時間、スマホに夢中になっていたら、親子のコミュニケーションの中で成長したり、愛着を形成したり、情動に関わる脳の働きを発達させている子どもの脳発達を止めてしまう
子どもは、親と築いた愛着形成が土台となって、人間関係をうまく構築できるようになったり、情愛を司る脳を発達させて、優しさや共感を備えた人間へと成長することができる
社会的動物である人間は、人と会話することで脳が大いに活性化するようにできている
→家庭内での対話の時間を豊かにすれば、子どもだけでなく、親の脳も生き生きと活気づくはず

☆目標までのステップを小さく刻むと「やり抜く脳」になる
目標の細分化は脳構造の変化を促進し、目標達成を支援することが判明
最終的なゴールだけでなく、その手前に「サブ・ゴール」を複数設定し、ゴールを細分化することで、最後まで「やり抜く脳」に生まれ変わる
小さなゴールをいくつも作れば、終わらせるたびに小さな達成感が報酬になる
ちょっとやるだけで脳は報酬がもらえて嬉しくなり、どんどんやる気が出てくるという好循環に




🎃ビジネス🎃🎃

⬆️12月に読めず、来月にスライドします🙇‍♀️



中原先生の夏の新著です📖

「人事パーソン」という個人の学びやキャリアの実態を体系的に論じた研究はこれまでなかった
人事パーソンの学びとキャリアの実態を解き明かすために、「日本の人事部」の協力を得て、共同研究を実施
時代の変化に伴う新たな課題に対応するには、専門性を高める学びが不可欠
人事パーソン自身の学びやキャリア形成について考え、行動しなければならない

本書は即効性のあるハウツーではなく、未来のビジョンを考えるきっかけを提供するもの

☆高度化する人事の役割

ミシガン大学教授 デイビッド・ウルリッチ

人事は「経営と事業の成長に貢献する」ものという考え方
→HRBP(事業部人事):事業部門における人と組織の課題解決をミッションとする人事プロフェッショナルチーム。経営と現場を橋渡ししながら価値を提供する役割
→リーマンショックとともに「従業員チャンピオン」として従業員の声に耳を傾けるように
→コロナ禍では「変革エージェント」の役割が求めらるように

人事の仕事は総合格闘技で、そこにはたくさんのステークホルダーが関与してくる
「有限なリソース」と「無限に生じる課題」のジレンマ
→何をやめるか、やらないかを意思決定する必要がある
 取捨選択が必要
 一度始めたことをやめないまま、新しい課題に対処しようとし続ければ、いつかパンクしてしまう

☆社内VoCの活用
「エンドレスワーク」「社内ぼっち」という課題の解決糸口として、サイバーエージェントの曽山さんが提唱する「セリフ・メソッド」を活用する

定性的なものであっても目標を設定できるようになる
ターゲットとなる社員を決めて、その人からこんなセリフを引き出せたらOK
自ら現場に出向き、顧客である従業員の声を集めること

☆人事施策の取捨選択
人事部門が単独で業務を取捨選択するのではなく、経営層を巻き込みながら人事業務の優先順位づけを行い、取捨選択を意思決定する
経営層と打ち手を握ることが極めて重要


☆人事パーソンの専門性は「汎用的」ではなく、「不変的」でもない
国や会社にはそれぞれに固有の文化や文脈があり、それらと「切り離して」人事の専門性を発揮することはできない
他社や大手企業の成功理論や施策をそのまま持ってきて適用しても、うまく機能しないことの方が多い
社会や会社の状況も、文化も、文脈も違うので、そのまま適用することはできない
自社の文化や文脈に合せてカスタマイズしなければ機能しないし、成果も上げられない

学んだ知識やスキルの有効性はあくまで時限的なもの
「一度修めればよい」というものではなく、常にアップデートし続ける必要がある
人事の専門性は、学び続けることで立ち現れてくれる

☆人事パーソンの専門性は「職場の外だけで学べる」ものではない
いくら外で知識を得たり、ネットワークを作ったりしても、それが現場の実践に活かされなければ意味がない
理解していることと実際にできることの間に大きな隔たりがあり、このギャップを埋めるためには経験学習が必要
職場外での学習によって得られた知識・スキルはその時点では「ただのツール」に過ぎない
経験学習のサイクルを回すことで、少しずつ「使える武器」になっていく

経験学習:挑戦を含むような経験(背伸びの経験)を積み重ね、そこで起こった出来事を内省すること(振り返り)を通して、自分の能力・スキルを高めることができると考える理論

ジョン・デューイ - Wikipedia
人間を「能動的に環境に働きかける存在」として捉え、私たちはその働きかけにより「経験」を積むことを通して、自ら能力を高めていけるとした
 ↓
デイビッド・コルブがビジネス界に普及させる
「経験学習サイクル」

 ↓
経験学習の実践として爆発的に普及したのが「1on1」
ヤフー時代に「1on1」を日本に普及させたの本間 浩輔さん

経験学習、1on1、FBシーキング(FBを周囲に求める行動)を行っている人事パーソンがハイパフォーマーであることが調査で判明

☆重要なのは「学習」ではなく「学習転移」
「活かす」「共に学ぶ」「最先端に触れる」
→学んだことを現場で実践すること
学んだ知識やスキルを、自身の仕事や職場に還元してこそ、成長実感が高まる

「人事に求められる専門性は、常にオープンマインドであること」
by北山 剛さん(SMBC)
一次情報に触れること
さまざまな立場の人から直接、人事の仕事に対する意見を聴くこと
外部から自分たちを眺める視点を持つ


☆人事パーソンのキャリア論
中堅期の課題を乗り越えるために
①評価やFBを「自分から取りに行く」
②知識やスキルを積極的に「アウトプット」する
③セーフティーゾーンに安住せずに「越境」する

中原先生と言えばこちらも読んだので再掲

⛵対話の要素
①対話とは「ケリのついていないテーマ」のもとでの話し合い
②対話とは「人が向き合って言葉を交わす風景」
③対話には「フラットな関係」がよく似合う
④対話では「自分」を持ち寄る
⑤対話では「お互いのズレ」を探り合う
⑥対話とは「今、ここ」を生きること
⑦対話では「自分を疑い、他者に気づく」
⑧対話は「共通理解」をつくりあげる

対話だけでは終わらない、決断と実践が常にセット
「誰が決めるか」を決める
「いつ決めるか」を決める
「どのように決めるか」を決める

決めた後は「自発的フォロー」が不可欠:「自分たちで決めたことには、自分たちで従う」こと。自分と違う意見が結論になったとしても、納得して、自発的に貢献することが必要
実際は、みんなで決めたことなのに、決定に従わずに協力しようとしない人が少なくない!=ルール違反

「やってよかった!」を早く経験すること
手ごたえを感じられれば、決断したことに納得感が生まれ、他のことについても対話と決断のプロセスを踏む気になる
ポイントは「Small start, quick win!!」
なるべくクイックに成果を実感すること

常に変化している世の中で、いったん話し合って決めて行動し、「はい、おわり」というわけにはならない
変化を察知して再び対話をして、決めて実践する
またズレが生じて、そのズレについて対話して、また決めて実践するの繰り返し
その連鎖の中にいるという意識を持ち、根気よく対話・決断・実践のサイクルを回していくことが重要




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法政大学、プロティアン協会のタナケン先生!
秋の新著📖
本書は、法政大学キャリアデザイン学部に在籍する教員の共同プロジェクトの成果ということで、多くの教授による執筆がまとめられています。
キャリアデザイン学部 :: 法政大学

読者それぞれの「人生の物語」を心豊かに紡いでいかれることを願ってということで刊行にあたっての「はじめに」が書かれれています

気になる章をピックアップ
1-2.キャリア教育の実践と社会的不平等
今月の最初の2冊に通じる!
(1)社会構造と個人
社会的不平等:人種、性別、生まれた家庭環境などの属性によって個人の職業やキャリアが決定し、それによって社会へのかかわり方や参加の仕方に違いが生じる状態
現代の日本では、社会構造の影響を大なり小なり受けた個人の選択によって、職業が選択される

(2)キャリア教育の社会政治的性格
キャリア教育、指導について、実際には実践の在り方は社会全体の規範や制度や政策の社会的性格と深い関係がある
職業に貴賤はなくても、職業によって社会的資源の獲得とそのチャンスに差異が生じていることは事実で、人々も職業威信の高低や所得額の差異を認識している
実際の労働市場の仕組みとしてはすべての選択に対して同等の報酬が与えられるわけではなく、市場において価値が認められるものにだけ工法周が与えられる
また、個人がどの程度の教育達成を果たすことができるかは、社会構造の影響を受けている

個人は規範的構造へと社会化されており※
(おおお、難しい表現だ、Copilotに聞いてみた→

「個人が社会の中で成長し、社会のルールや価値観、行動規範を学び、それに適応する過程を指しています。具体的には以下のような意味があります:

  • 社会化の過程:個人が幼少期から成人期にかけて、家族、学校、職場、友人関係などを通じて社会のルールや価値観を学び、内面化していくプロセスです。

  • 規範的構造:社会全体で共有されるルールや期待、価値観、行動基準などのことを指します。これには法律、道徳、文化、習慣などが含まれます。

  • 適応と統合:個人がこれらの規範を理解し、自らの行動や思考をこれに合わせることで、社会の一員としての役割を果たすようになることです。

このプロセスを通じて、個人は社会の一部として機能し、他者との協調や共存が可能になります。同時に、社会も個人を通じて規範や文化を維持・発展させることができます」

(なるほど)
その構造が、個人の選好だけでなく、何が可能な選択肢であるかについての認知をも形成するからである
→特定の社会的立場に置かれている集団が、その集団内において望ましいとされる価値観や行動様式を内面化して特定のキャリアを選択し、結果として再生産していくことが明らかになっている

(そういうことね!)

「それぞれがキャリアを通じた自己実現に向けて努力することが大事!」
「個々人の選択を等しく尊重する!」
といった教育言説は、現実の社会構造から目を背けさせ、不平等を隠蔽する言説であるばかりか、置かれた状況を自己責任とみなす言説として機能している!

わぁー、サンデル先生やハッピークラシ―に通ずる…!!

このパラグラフの結論としては、
「キャリア教育の実践のあり方は、社会全体の規範や制度、政策のありようから、決して中立ではない」ということでした

(3)不平等に対峙するキャリア教育の実践
社会的流動性は可能性があるが、ジェンダーやエスニシティはなんらかの「指導」の結果、社会構造のなかを移動することができるというわけではない
とくにジェンダーに関しては、あからさまな差別は改善されているものの、キャリア教育の現場でゃ、保守的で現状適応的な指導をする傾向が残っている
とはいえ、何を「理想の状態」とするかということ自体も、特定の政治的立場や価値観に基づいていることに自覚的でなければならない

(4)キャリア教育と社会
個人にとっての職業選択/キャリア形成は、社会移動の問題であり、同時に個人の社会参加の方法を規定する重要な意味を持っている
現代では、社会的に厳しい状況に置かれた人々を、自らの選択の結果であり自己責任であるとみなす傾向が強まっている
キャリア教育の実践が不平等を助長するのか、軽減するのかについて帰り密態度を持つことが求められている


4-5.モザイクアートとしてのキャリア
越境学習の石山教授の章
(1)ワークキャリアが暗黙の前提
ライフキャリア>ワークキャリアという関係なのに、日本社会ではキャリアといえばワークキャリアを暗黙の前提にしてしまっていたのではないか

(2)日本的雇用と無限定性
正社員における無限定総合職は、職種・勤務地・時間の3つに無限定性を有する存在
→会社命令に従うことが大前提で、全国転勤・単身赴任・休日出勤を含む時間外勤務も受け入れること
=私生活も制約されてしまう
実質的なワークキャリア>ライフキャリアという関係性
性別役割分業観が強く、その担い手を男性にしてしまう傾向

(3)限定性を尊重する社会へ
無限定性を前提とした働き方にはひずみが生じるようになってきている
→超少子高齢化による人手不足
構造的な人手不足という状況下においては、多様な働き手が包摂されていかなければ、社会が維持できない

(4)モザイクアートとしてのキャリア
個人のキャリアの変化のヒントは「サステナブルキャリア」
個人がキャリアの長期性と複数の社会空間(家庭、仕事、友人、余暇など)の中でどのように生きていくかについての考え方
=ライフキャリアの持続性を考察した概念

個人が限定性の尊重を前提としつつ、自分自身の限りある資源を大切にしながら、その資源をどう配分していくかに関心を持つキャリア

4つのワークの視点を持つことにより、仕事だけに偏重することなく、バランスよくライフキャリアの諸要素を考慮することができるようになる

→仕事、家庭、社会活動、学習活動などのライフキャリアの諸要素を限定性のあるモザイクとみなし、それを組み合わせて有機的なアートとして表現することの比喩が、モザイクアートとしてのキャリア

個人のライフキャリアとしてモザイクアートを想像する落ちう視点を重視していくべきではないだろうか


🎃エンタメ🎃🎃

森見さん月間はまだ続いており、

続きも借りた🥰

朝井リョウさん、一晩で一気に読んだ



🎃図書館で予約中の本🎃🎃


以下、秋の新著が早くも図書館に来たー!!速攻、予約した

沢渡 あまねさん、法政大の石山 恒貴教授、伊達 洋駆さんという「越境学習三銃士」による新著、こちらも図書館に入ることを期待…!←買いなさいね

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