見出し画像

10月に読んだ本②独学の思考法

前回の投稿から

ファスト教養の次は
独学の思考法😳

答え、正解のない時代に求められる「独学」の力
独学(すぐには答えの出ない問いについての学習)こそ「自ら思考する力」が本質的に試される
独学を深めるコツ=考える技術。自ら思考する力が問われる
思考力・知性は一朝一夕に磨くことはできない

☆単に本に書かれている内容を片っ端から受容していく結果、思考力自体が失われる
読書は思索の代用品
読書は他人の思索の痕跡をなぞっているだけ
多読で出来上がるのは「他人から得た寄せ集めの材料からできた自動人形」
極めて従属的で、知識によって思考が支配されている状態
➡️「問い」を持ちながら読書をする姿勢が必要。双方向的な読書法こそが求められる
著者の思考の流れの妥当性を一つずつ確かめながら読書をすることで、かつての思索の痕跡と並走することができる

知識を収集することが本質的なのではなく、そうした知識を生み出す「思索」を自ら行うことこそが最も本質的
↔️日本の学校教育は知識を獲得するプロセスに終始してしまっている

☆第一部:原理編
五つの「考える技術」
①問いを立てる力
・事例の普遍性をめぐる問い➡️思考の抜け漏れ防止「本当に全ての事柄に当てはまるのか?」
・根拠の普遍性をめぐる問い➡️主張と根拠の間の飛躍を点検「なぜそう言えるのか?」
自らの主張内容を批判的に吟味する必要がある
・定義の普遍性をめぐる問い➡️物事の本質を捉える。そもそも論を正しく問う
・事例の具体性をめぐる問い➡️お互いの持つイメージのすり合わせ「例えばどのような事態を想定しているのか?」
・定義の具体性をめぐる問い➡️お互いの主張の具体化、不一致の原因のあぶり出し「◯◯という言葉で、何を意味しているのか?」
・根拠の具体性をめぐる問い➡️理解のズレが生じる理由を検討し合う「何がきっかけで、そのように考えるようになったのか?」
私たちの思考は、それまでの経験によって規定されている。相手が経験できなかった経験が存在するということを、具体的なエピソードと一緒に共有する必要がある
➡️「そういう経験を自分もしていたら、同じような主張をしていたかもしれない」という相互理解や共感の余地を獲得できる
その「余地」こそが、思考の幅を広げる

(アラレ)
前回の「ファスト教養」で出てきた、こちらと同じ!😳
自分が「その人であった可能性」について思いを馳せること

☆最後に価値観をめぐる問い
判断の普遍性、具体性をめぐる問いの次は、判断の前提となる価値観をめぐる問い
人間はロジックだけで動いているわけではない
理性レベルでは妥当性を理解できるのに、感情のレベルでは納得することができない場合、価値観が私たちの心を規定しているのかも🤔

ものの見方、ものの感じ方を規定する判断基準の集まりである価値観を吟味・検討することができないと、私たちは感情の波にからめとられてしまう
感情のノイズの中でもぶれない判断能力を獲得することで、自ら思考する力を鍛えられる
⬇️
Q.なぜ相手の主張に共感できないのか
➡️価値観の隔たりをめぐる問い。既存の価値観から抜け出す
Q.なぜ相手の主張に共感できてしまうのか
➡️価値観の重なりをめぐる問い。価値観は視野狭窄に追い込むので、自分の価値観を一度捉え直す
Q.相手の主張と自らの主張との間に共存可能性があるのではないか
➡️価値観の交わりをめぐる問い。主張を「事実」のレベルから「信念」のレベルへと移行することで、排除し合うことがなくなる



②分節する力
論証にまず必要なのは「他者の話に耳を傾けること」
今、世の中ではどのようなことが言われているのか?という情報をしっかり収集する

OH、多読も間違ってはいなかったようですね(アラレ)

論証する=根拠が何かという質問に漏れなく応えていくこと
根拠は、自分の頭で勝手に作り出せるものではない
大切なのは、重要な情報かどうかを見極めること
情報の質や重要性を節目に応じて分けていく力が分節力
分節力の訓練には、教養書を思考のトレーニング場として活用する
本は、書かれている内容を一気にパラパラ見通すことができ、最高のコーチになりうる

疑問・同意・つながりを示すメモを活用することで、筆者の見ている景色に少しずつ近づくことができる

③要約する力
重要な骨子を抜き出すこと
1年間かけてやってきたことなのでノート割愛📒

④論証する力
論証力とは
構成されたロジックをつなげてアーギュメント(議論)を作る力
レゴブロックでいうと、機能的な空間(リビング、お風呂場など)を組み合わせていくこと、建築物を建てる段階
重要なのは、他者から抽出された要約と、自己の側から抽出された推論をバランス良く組み合わせること。受け売りの議論にならないこと
最も意識しなければならないのは初めに「問い」ありきであること
社会的に意義のある深刻な問いが出発点にあるからこそ、アーギュメントを作ることを求められる
「解決されるべきであるのに、なかなか解決されない問題」は、多くの場合ジレンマを抱えている
そのジレンマを見抜き、解決を阻む問題の難しさを正確に見抜くことがまず必要
「この問題の真の難しさはどこにあるのか?」ということを問わなければならない
問いを立てる力がなければ、論証は達成され得ない
真の問題は別のところにあるかもしれない、既存の問いによって隠されてしまっている未知の問いを探求する思考力が必要になる
「差別意識をなくすためにはどうすればよいのか?」という既存の問いが
「明確な差別意識がないにも関わらず、人々に差別的な言動を取らせるものは何か?」という問いに変わる
→社会に広まっている言葉は、容易に人々のものの見方や考え方を支配してしまう、無意識に影響を与え、旧態依然とした思考を取らせてしまう
問題の深層を理解することで、ようやくアーギュメントを構成するための第一歩を踏み出すことができる
初めの問いが事柄の本質を捉えきれていない場合、いくら時間とエネルギーをかけても説得的なアーギュメントを導き出すことはできない

⑤物語化する力
走ったコースの景色を魅力的な再現VTRにまとめるスキル
「自分が何を考えているのか、実は自分でよくわかっていない」というのが問題の本質
実質的に物事を考えるためには、私たちは必ず具体的な事例を複数念頭に置きながら思考しなければならない
抽象的なことばかりを並べてくる人には、「例えばどういうことですか?」とシンプルに質問してみること
すぐに答えられない人は、知識や専門用語に頼るだけで、自分でその言葉の意味をちゃんと考えてこなかった
擬人化の技法:抽象的な概念を整理するためには、その概念は、①何に対して、②何を行うものとして想定されているかを問うことにより、その概念の「仕事」や「役回り」を明確に理解する(擬人化する)必要がある
さらに、③何によって、④何のために、⑤いつ、⑥どこで、という補足事項を付け加えると、さらに定義を明確化することができる

☆抽象的な文章を「映像化」する
①物語の「掴み」と「オチ」を考え、物語の輪郭をはっきりさせる
相手が興味を持ってくれるような柔らかいエピソードから話始めることが重要
身近なエピソードの共有から入るのは有効な手段
聴衆に共感されやすくなるから
オチ:意外性に多くの聴き手が驚く→高い満足度につながる

②物語の「山場」を考える
③物語の「尺」を考える


物語力には、自己反省的な側面と他者思考的な側面が共に込められている
・話の流れの図解を試みることで、自らの思考の抜け漏れや重複を発見する
・聴き手のことを意識しながら図解のバリエーションを取捨選択する
聴き手の反応を想定しながら擬人化や映像化を行うことは、自らの思考を他者に開くための重要なステップ。他者の特性に合わせた絶えざる言い換えのプロセスが要求されるから

☆第二部:応用編
独学を深める三つの「対話的思考」
対話を重んじたからといって、コミュニケーションが自由闊達で生産的なものになるとは限らない
思っている以上に、他者と対話を行うことは、針の穴に意図を通すように繊細な作業
しかし、先行きの見えない時代だからこそ、他者の視点を包含することで自らの思考を拡張し続けなければならず、柔軟に常識や教養をアップデートすることを求められる時代
→対話を通じて独断的・独善的な思考習慣を打破する。対話は自らの思考の枠組みを更新するために必要な論理的アクティビティに他ならない

①問いによって他者に寄り添う
自分とは異なる意見に遭遇するとき、私たちは相手に対してまず違和感を覚える、だんだんストレスを感じる
負荷ばかりかかる対話の場面において、私たちはどのように振る舞うべきなのか
とっさに相手に否定の感情を伝えてしまいがちだが、それは避けるべき
最初は同意できなかったとしても、だんだん自分の意見が修正される可能性もあり、二つの視点が掛け合わされることで、新しい発想が生まれてくることはよくあるので、そうした生産的な議論の可能性をつぶさないように開口一番の否定文は避けること
「それは、例えばどのような事態を想定しているのか?」事例の具体性
「〇〇という言葉で、何を意味しているのか?」定義の具体性
「何がきっかけで、そのように考えるようになったのか?」根拠の具体性
※「なぜそのように思うのか?」とは聞かないこと
 3つ目の質問のように、「何がそうさせるのか」がベター(アラレ)

☆対話の条件
・お互いの間に信頼関係があること
信頼関係をどのように維持できるのかが肝心
最も重要なのはまずもって「心理的安全性」
・お互いが忍耐力を有していること
対話の道筋を慎重にたどれるような忍耐力が双方に求められる
気持ちの問題だけで解決できるものではない
対話とは、共同で行うロジカル・シンキング
「対話の仕方」を学んでいる子どもたちは、じっくり相手の意見に耳を傾けつつ、そこに自分の経験や考えを付け加えることで、最初には良そうもつかなかったような考え方に出会うことができる、そうした実体験を積んでいると、他者と対話をするアクティビティを自然に行えるようになる。それは、偏差値では測れないような対話的な知性の現れ。知的忍耐力を養うこと
・第三者の目が入るような対話の環境を整えること
1対1の状況で対話する場合、お互いのパワーバランスが露骨に反映されてしまうことがある(忖度が起こるような状況)
対話を通して、これまで見えてこなかった構造的な問題が可視化されることもある、現在の構造自体を変えていく方向で対話することで、不適切な言動や行動を取ってきた人も、自らのふるまいを正すようになるかもしれない

②チャリタブル(寛大な)・リーディング

定義:
田中一孝先生
(京都大学高等教育研究開発推進センター)
哲学教育における 学習成果とは何か
-哲学分野におけるチューニングの可能性-
より

「よくテキストを批判的に読むといいますけれども、まさに批判をするために読むわけではありません。そうではなくて、相手の欠点があったらその欠点を補ってあげる。長所があったらその長所を伸ばすように読んであげる。相手の議論がより完全なものになるように、サポートするように読むというのがチャリタブル・リーディングです」

・相手が「一面の真理」を突いていると仮定する
・チャリタブル・リーディングとクリティカル・シンキングは相互に両立する思考法
・チャリタブル・リーディングにおける対話者同士の関係性は「相互補助」的なもの

相手の主張が正しいと仮定:あくまで仮定に留まっている、全面的な肯定ではない
「相手の主張が正しいと仮定すると、かえって説明できなくなる箇所が出てくるのではないか?」

お互いに補助し合う関係✨

相手の主張を頭から否定しているわけではないことが大事
単にクリティカル・シンキングを実践する以上にクリティカルに問いを発することができるが、相手を圧倒するために行われるわけではないというのが最重要
相手の意見を潰してしまうのではなく、より論理的に抜け漏れの少ない議論を作る補助をするために行われる
※相手の話に要約を行う時は、言い方に注意。上から目線の印象を与えてしまうと心理的安全性が脅かされる
「あなたの話からこんなことを学ぶことができた」
「こういうことに気づくことができた」と、高圧的な印象を下げること

➡️自分だけではたどり着けない思考を生み出すことができる



③他者に合わせた「イメージ」を用いる

🎃メタファー
より説得的な説明を行うために必要な技術
認知心理学では、「隠喩」よりも大きな意味
「メタファー的思考」という時には、直喩と隠喩の区別は重要なものとされていない

人生は、チョコレート箱のようなものである
(何が起こるか、何が入っているかわからない)

哲学を研究するとは、洞窟探検のようなものである
(一寸先は闇だが、光を灯し見取り図を作成することで時折、資源を探り当てることができる)
➡️「ストイックだけど、やりがいもある」という点を具体的なイメージと共に伝えることができる
メタファーを用いることで、ギャップを埋めながら他者と対話を行えるようになる

🎃アナロジー
相手の感情を自分事として共有するために必要な技術

全てのメタファーはアナロジー(類比、類推)の関係を見つけることによって発明される

アナロジーを共感の手段として用いる
私たちの間には乗り越えることのできない考え方、感じ方などの大きな隔たりが存在する。この状況で、他者に対する無理解を示してしまうことが多々ある
⬅️他者に共感する想像力の欠如に起因する

他者を追い詰めるような状況を理解するために、「自分であれば、それはどういう状況に相当するのか?」を考える
それが他者に共感するためにアナロジーを用いるということ

他者に共感を示すということは、
隔たりのある他者たちと対話をする際に最も重要な条件の一つ
誤った類推により不適切なアナロジーの使用に常に注意しなければならない
他者に共感する感性や他者に対する想像力を、私たちは決して手放してはいけない

☆おわりに
探究のための独学は、
人生全体を生きる力にもなる
実り豊かな人生を送るために必要な根本問題に立ち向かう術を与えてくれるから


🎃感想🎃
独学の思考法というタイトルで、勉強とか本の読み方についての本かと思って読んだらびっくり、「対話」と「共感」、「相手の話を否定せずに最後までまずはちゃんと聴く」など、普段から勉強していた内容が本の後半には盛りだくさんでした😳

そう考えると、哲学の研究者である著者(私より10歳くらい若い方)が、学んだことをいかにアウトプットするか、分かりやすく他者に伝えるかという点をたくさん解説されていて、なんもビジネスシーンでも超実践的な内容だったなぁと思いました。読んで良かった😌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?