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人生の画角に小さなレンズを。Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Asphericalレビュー

富士フイルムXマウントに長年待ち望んていた仕様の1本がまさかのコシナから「Voigtlander COLOR-SKOPAR 18mm F2.8 Aspherical」として発売になりました。35mm判換算28mmは自分がもっとも慣れ親しんだ画角。そんな画角にもっとも合うであろうコンパクトな鏡筒。そしてシャープな描写。楽しくないはずがありません。レンズレビューは普段やらないんですがこのレンズはちょっと特別。早速外観から見ていきましょう。

LOOK & FEEL

X-T30Ⅱ+オプショングリップとの組み合わせ。センターファインダースタイルも似合いますがレンジファインダースタイルの方が似合いそうなデザインです。カラーはブラック以外にシルバーも用意され選ぶ楽しみも。
とても短い鏡筒。でも意外とピントと絞り環共にコントロールは自然にできます。画像ではレンズプロテクターを装着していますがレンズ本体の短さ故に目立ってしまいがち。
ピントはレバーで操作するタイプ。鏡筒の短さに合わせてレバーも小型で薄い仕様です。この薄さが無限遠のポジションの時ちょっと厄介。レンズ取り外しボタンがちょうど下にくるので両方触ってしまい、ややコントロール性が悪くなってしまいます。このレンズ唯一のウィークポイント。

「パンケーキ」と言われるぐらい薄くコンパクトな鏡筒の全長はマウントから23.5mmという短さ。重量は115gとコンパクトなボディと組み合わせれば抜群に軽くハンドリングしやすいです。専用フードはねじ込み式のフジツボタイプのもの。鏡筒デザインを同じくとするULTRON 27mm F2同様、このフードがデザインのアクセントとなっています。


純正レンズとの比較

XF18mmF2 R + X-E4
F8まで絞って撮影。絞ってもまだ柔らかく、個人的に28mmにはそれなりのシャープネスを求めていたのであえなく手放した1本。
XF18mmF1.4 R LM WR + X-E4
開放のF1.4で撮影。手前の人物にピントを合わせました。ピント面の浮き上がりをこの距離間でも感じ取る事ができます。描写も繊細でどこか上品。こちらは現在も所有。

Xマウントには純正に2本、35mm判換算28mmのレンズがあります。1つがCOLOR-SKOPAR 18mm F2.8と同様のコンパクトなパンケーキレンズのXF18mmF2 R、もう1つが大きく大口径のXF18mmF1.4 R LM WRです。実は両方とも所有した経験があるので軽く比較します。

XF18mmF2はXマウント最初期から存在するレンズ。柔らかい描写で優しい雰囲気作りが得意なタイプ。ちなみに絞ってもまだ柔らかい印象です。XF18mmF1.4は逆にXマウントのレンズの中でも上位の解像性能。シャープネスも高く、開放F値の低さを活かしたボケ表現もできる高性能レンズです。ただしXマウントの単焦点レンズとしてはやや大きめで常用レンズにはしづらい。

COLOR-SKOPAR 18mm F2.8の特徴であるコンパクトでシャープな描写というのは、実は純正の28mmレンズではありそうでなかったんですね。そういう意味でも純正にはない魅力を持ったレンズといえます。


PHOTO GALLERY

F5.6で撮影。とても小さいレンズながら像の厚みを感じる描写です。まず最初このギャップに驚きました。空気感まで写るタイプのレンズではありませんが、絵としての雰囲気が良いです。(当画像から後は全てボディはX-T30Ⅱで撮影)
F5.6で撮影。実にビシッと写るレンズです。歪曲もほとんど感じません。解像性能も20MPクラスのセンサーと組み合わせるなら十分。
開放F2.8で撮影。ちょうど梅が咲き始めていました。F2.8とそこまで明るいレンズではありませんがボケ味は素直で良いですね。開放でもピント面はとてもシャープ。
こちらも開放で撮影。レンズ特性的には自然物より人工物の方が合っていそうですが中々どうして良い具合です。光の捉え方も個人的に好みな印象。
もう一度開放で。白壁に松の枝の影が白浜をイメージさせます。光の捉え方は同じくフォクトレンダーのXマウントレンズであるNOKTON 23mm F1.2にも通じる印象です。
F8で撮影。ここまで絞ればほぼパンフォーカスとなりマニュアルでのピント合わせも必要ありません。鼻先の軽いレンズですからノーファインダーでの撮影もお手の物です。
F5.6で撮影。オレンジの配管が良いアクセントのシーンです。軽い28mmはスナップ用レンズの王道。散歩の途中で気になったものをサクサク撮れます。
F2.8で撮影。ガラス面に写る自転車ベルにピントを合わせました。金属など反射するものの表現が上手いレンズです。
F5.6で撮影。28mmの画角はこういった路地にピッタリ。コンパクトなボディに取り付ければどんどん散歩が捗ります。
F8で撮影。逆光性能は高く、意図しないフレアはほとんど出ません。とても小さいレンズなのに高周波な被写体の潰れもなく見事なものです。
F5.6で撮影。雲から放たれる光がドラマチックなシーンです。最初に感じた像に厚みがあるというのは、つまり絵画的な雰囲気を持った描写なんだなと解釈しました。
F4で撮影。周辺減光はそれなりにありますがレンズ特性からすると好ましいと感じます。画像はレンズプロファイルを切っているので結構盛大に出ていますが、こういった画作りもアリだと思うのがこのレンズの良いところ。


人生の画角に小さなレンズ。

小さくシャープなレンズなのにどこか情緒的、というのがレビュー用の撮影を終えての感想です。それとスナップの喜びに溢れていること。マニュアルレンズなので撮影時のリズムが乗りづらいのではないかという懸念がありましたが絞り込んで撮影すればほぼ気になりません。むしろオートフォーカスより判断しやすいのでリズムとしては乗ってくるのです。

フィルム時代のGR10からスタートした写真の世界。28mmは自分の中で人生の標準レンズとしてあり続けています。今そこに新しい小さなレンズが生まれました。その事に感謝しこれからも使い続けていきたいです。

今回のレビュー記事構成は作例の質はともかくとして全編フォトヨドバシリスペクトでお送りしました。本当あそこの記事上手いんですよね。(そして使いたくなる)というわけで最後はヨドバシのCOLOR-SKOPAR 18mm F2.8のページを貼って終わりたいと思います。
https://www.yodobashi.com/product/100000001008260328/

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