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ビデオに映るあの場所に

私は行きたい場所が二ヶ所ある。それは、埼玉県にある熊谷市。そしてタイだ。


なぜ国外と国内なのか? 
私は1歳になる少し前から4歳まで、父の出張に家族でついて行き、タイに住んでいた。そして、その1歳になる少し前で過ごしたのが熊谷である。


熊谷の記憶はビデオで見ていたらなんとなくこういう川に行ったな〜とか、サンリオピューロランドに行って着ぐるみの怖さ(キティちゃんはあんなに大きくないという子供心が現実を受け入れられなかった)にギャン泣きしたなぁという記憶がある。
その程度。
多分ビデオを見なかったら何も思い出せなかったんじゃないかとすら思う。
夏によく最高気温に到達した場所としてよく熊谷の文字を見かけては、昔あそこに居たんだなぁと懐かしむ。


タイでは味覚や多様性が育てられた。
最近インスタント食品やコンビニなどで、グリーンカレーやトムヤムクンが増えている。幼い頃その味で育った私にとって、タイ料理が気軽に食べられるのは嬉しい。やっぱこの味が好きだなぁと食べるたびに感じてしまう。
タイにいた時は、父の会社の持つ80階?ぐらいあるマンションに住んでいたのだが、そこにはたくさんの女性の清掃員さんがいた。私の家族の部屋の担当になった清掃員さんとはなんとなく仲が良かった記憶がある。
母と姉vs私で喧嘩になった時、なぜか私は部屋を飛び出した。広い廊下、いくつも並ぶ扉の前で私は一人で泣いていた。
その時に声をかけてもらってからだ。
彼女は日本語が話せず、私もタイ語なんて話せなかった。それでも隣に座って頭を撫でて私に笑いかけてくれた。
そういう…言葉は通じないけれど、仕草だとか表情で伝わるものがあることを私はあの時実感した。今でもあの時のことが頭から離れない。



今、熊谷にもタイにも行けないけれど、もう一度記憶が朧気な時に過ごした故郷に。
味覚や感性の形成の期間。過ごしたタイに。
私は行きたいと思う。



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