シニア技術者 再生の手引書
まえがき
人生100年時代と言われるようになり、シニア世代の人たちにとっても、定年後の生き方をこれまで以上に真剣に考えるようになってきているのではないでしょうか。
60歳で楽隠居しようと決めている人(そう出来る人)はともかく、身体的にも頭の働きもまだまだピンピンしているし、金銭的にももっと余裕を持ちたいと思っている人は実はとても多いと思います。
現実に、60歳を過ぎても活躍している人はたくさんいます。
逆に、本来もっと活躍できるはずなのに、企業の5年間の雇用延長に甘んじている人、あきらめて引退生活を始めている人、人材会社の顧問登録はしたけど、結局声がかからずに実質なにもしていない人なども多いのではないでしょうか。
筆者自身は、製品開発技術者としてのバックグラウンドを活用して、定年後に独立起業して、技術コンサルタントとして製造業企業の改革支援、技術者の育成支援活動をしていますが、おかげさまでとても充実した日々を過ごさせていただいています。
筆者は、日本人にしては珍しく、生涯で5回の転職をしてきています。終身雇用が中心の日本ではネガティブに見られることもありましたが、技術者として、あるいはビジネスマンとして逆に幅広い経験、知識を得ることができたし、人的ネットワークも広げることができ、それが功を奏したところもあって、周りの人に助けられながら、起業を成功させることができたような気もします。
振り返ってみると、自分がどれだけのことが出来るのか最初はとても不安でしたし、小さな失敗をしたこともありましたが、やればやるほど、自分の中に埋もれていた経験やノウハウが、外の世界で意外な形で必要とされるのだとわかることも多く、日々自信を深めていくことが出来ているように思います。
起業をすると、これまでの企業内での人とのお付き合いから、起業仲間とのネットワーク、クライアント企業の方たちとのお付き合いなど交流範囲も大きく変わり、広がった交流を通して、自分の中にあった知識や経験がさらに膨らんでいったりもします。
今、自分が考える私のミッションは、「技術者の育成を通して、日本の製造業を再び世界で注目される企業へ変革させる。」ことだと思っています。
いくつかのクライアント企業で若手技術者の育成支援をしていると、企業内でベテラン技術者やベテランマネージャから、若手へのノウハウ伝承があまりうまくいっていないように見えます。
つまり、ベテラン技術者が暗黙知を抱えたまま企業からいなくなって、その知識や経験が企業に残っていない現実があることに気づかされます。
言い方を変えると、ベテラン技術者、つまりシニア技術者の活躍の場は、無限にあるのではないかということです。
多くのシニア技術者がそのことに気づいていないのではないか、というのが私の今の想いであって、自分自身が歩んできた独立起業のやり方や、私の周りの起業家たちの事例を紹介することで、たくさんのシニア技術者の方がもっと世の中に貢献することが出来るようになるのではないかと考えたわけです。
そして、その結果、技術者の育成が進み、私のミッションの達成が加速されるということです。
多くのシニア技術者が、ベテランの暗黙知、すなわち自分で気づいていない自分の能力を見直してみて欲しいと思っています。そして、自分で可能性に気づいたら、一歩前に進んでみましょう。
目次
・まえがき
・技術コンサルタントとして独立するということ
・起業に向く人と向かない人
・自分の棚卸し
<本当の自分を見つける25の質問>
・準備を始めてみる
・個人事業か会社設立か
・コンテンツと場数
・あとがき
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