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#59 I Loves You, Porgyと文法と

今週はニーナ・シモンのLittle Girl Blueを何回も聴いていた。

“I Loves You, Porgy”というスタンダード曲があり、なぜ”I”なのにlovesとsがついているのかずっと謎だった。

ググってみると、アフリカ系アメリカ人が使う文法や、南部の方言を反映したものだろうという説明が多い。同曲はもともとガーシュウィンによるオペラ「ポーギーとベス」の中の一曲だ。1920年代の南部の町で暮らす貧しい人々が主人公の物語である。

なんだけど、ある日本語のページに「わざと三人称的に言っているのではないか」という見解が書かれていた。

つまり「私はあなたが好き」とはっきり言うのではなく、「私ってあなたが好きみたいなの」と客観視して遠回しに言っているのではないかという説だ。

残念ながら、私が英語のページでググってみた限りだとこの解釈は見つからなかった。

けれど、そっちの方がすてきな見解だ。なんだか夏目漱石がI love youを「月がきれいですね」と訳したのと同じように、文化的な解釈を、いい意味で勝手に加えているように思える。創造って、意図的または無意識の「誤変換」から生まれるのかも。

*折坂悠太の「平成」はニーナ・シモンのI Loves You, Porgyに合わせて口ずさんだフレーズをきっかけに生まれたらしい

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