#70 神と人と

引き続きトニ・モリスン「青い眼がほしい」。

終盤に、ある登場人物が神に対して書いた手紙が出てくる。

簡単に言うと「こんなひどい世界をあなたはなぜ放置しているのか」「私が罪深い行動を取っているのはあなたのせいだ」という内容だ。

小説の中のこういう「絶対者との対話」みたいなシーンが大好きだ。ハクスレーの「すばらしき新世界」の終盤もそういうシーンだったと思う。

全能で誤りのない絶対者に対して、無力で愚かな人間が語りかけ、やがて逆ギレする。それは不完全な人間の悲しさであるけれど、同時に自立でもある。教師のミスを指摘したり、上司に意見を言えるようになってはじめて人間は一人前になるのだ。

いいなと思ったら応援しよう!