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南禅寺水路閣と琵琶湖疏水のレンガ積みについて

突然ですが、全ての土木構造物の中でアーチ橋が一番好きです。

圧縮に強く、引っ張りに弱い石という素材の弱点を克服するため、アーチ状に積み込む事で、各部にかかる力を全て圧縮力に変換して受け止めます。

九州地方整備局作成「①道路橋石橋の構造特性と現状」

上記資料は、日本の石橋の9割が集中するとも言われる九州の整備局が作った資料で、石橋に関する愛と知見が凄いです。是非一度ご覧あれ。<4D6963726F736F667420506F776572506F696E74202D2030315F93B998488BB490CE8BB482CC8CBB8FF382C68D5C91A293C190AB816D8E5294F690E690B6816E8D758F4B89EF939693FA82C98F4390B395AA2E70707478>

合理的な物は美しいのです。
ラファウ君も言っています。

羂索さんも言っています。

もとい、水路閣に戻ります。

建設当時は景観破壊だ!と福沢諭吉に猛烈に批判された水路閣ですが、現在は南禅寺の境内となじみ紅葉と美しいコントラストを見せています。

アーチ部分に着目すると、4重にレンガを巻いています。
 実は、琵琶湖疏水のトンネルは全てレンガ巻きされており、地質により3重~5重のレンガアーチで固められています。
 見ることも出来ず、人に意識される事もありませんが、第1トンネルなら、このアーチが2.4km延々と続いているのです。

水路閣の施工は工事のかなり後半になります。
 地下空間の施工性の悪い人目にも付かない闇の中で、延々とレンガを積み続けたレンガ職人が、広々とした地上で、何世紀も観光に人が訪れる場所で施工する事になったのです。

職人達がどれだけの意気込みをもって施工したのかは想像に難くない。

水路閣を見るとき、トンネルの闇の中で延々とレンガを積み続けた職人達の事を想うと一層感慨深く思えます。

小説本編で一部紹介していますが、田辺朔郎著「とんねる」によるトンネル内のレンガ積み施工の方法です。(出典:土木学会デジタルアーカイブ:着色させていただいております。)

レンガ積み用型枠「セントル」取り外して数回使用する
セントルの外側にEを並べ、外側にレンガを積んでいく、Dは上部アーチの底面を支える板。
ベルギー式掘削では、下部の掘削前に上部アーチを形成する事で、安全に施工する事ができます。
頂上部のレンガ積み施工の様子
頂上部のセントル外周板はFの上に直交します。
上部レンガ巻き完成!
赤丸の支えを外してセントルを取り外します
支保工を入れながら下部の掘削をします。
上のレンガが落ちるのでは?と思って悩みましたが、よく考えたらセメントで一体化してるので、支えが入っていれば大丈夫ですね(苦笑)
こまめに支保工で支えながら側面のレンガ積みを行います
ピンクの板は切断しながら施工したのでしょうかね?

琵琶湖疏水に使われたレンガは約1450万個
当時最大の堺のレンガ工場の年間生産量が200万個程度で とても間に合わず山科に年間生産量1000万個規模のレンガ工場を作り自給したそうです。

写真に残るレンガ積み施工

全て京の記憶アーカイブの写真です。「琵琶湖疏水工事写真帳」

うず高く積まれたレンガと支保工用丸太
第二トンネル東口洞門の構築に使用されているセントル
第一トンネル西口横に仮置きされているセントル
これから洞門の構築作業に使うものと思われます
100人乗ってもダイジョウブ状態のセントル
柳山トンネル東口

本日はここまでです。
所々訳の分からない事を書いているところがありますが、深く追求しないでください。m(_ _)m

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