第九回 未来のまちづくりミーティング
令和5年1月28日(土)に『第9回 未来のまちづくりミーティング』を開催しました。
ワークショップ形式での開催となりますので、当日の様子とワークショップで出た意見や感想をご紹介します。
今年度の『未来のまちづくりミーティング』は今回が最後となり、ここまでのミーティングで出た意見を踏まえて、今後は「跡地活用に向けて地域型の意見書(仮)」を作成し、4月ごろに「跡地活用に向けて地域からの意見書(仮)」を再検討する会を予定しています。
今回のテーマ
-ワークショップ-
「まちの玄関ゾーン」とされる跡地の活用について語る
令和5年1月28日(土)午後2時~
@ 左京西部いきいき市民活動センター サロン
主催:かもがわデルタフェスティバル実行委員会・養正学区各種団体連絡協議会
開会の挨拶:
養正学区各種連絡協議会・かもがわデルタフェスティバル実行委員会委員長 浅井吉弘
皆さんこんにちは。寒波襲来の中、たくさんお集まりいただき、ありがとうございます。
今回が本年度の最後ですけども、来年度も何らかの形で、どうやってまちづくりしていったらいいのかということを継続で話をしていけるように準備をしております。
あと、下鴨警察署と川端警察署を統合して左京警察署にするという話があって、耐震の問題もあって建て替える予定にはなっているんですけども、それが遅れていて、先延ばしにされています。ただ、川端署と下鴨署を統合するという話は前からあるので、そうなって下鴨警察署の場所が空くことになれば、活用予定エリアを大きくできるということも考えています。
今回は、「まちの玄関ゾーン」とされる南のほうのエリアをなんとか提案して、来年度にまた集まってもらって、中央の一番大きなエリアはまた話していこうと思っております。
ファシリテーター(進行役):江藤慎介さん
皆さんこんにちは。前回、前々回もファシリテーターをさせていただきました江藤と申します。下鴨学区のほうに住んでいて、自治体向けのコンサルや、左京朝カフェという場づくりの活動などをしています。今日もよろしくお願いいたします。
今日のテーマは、「まちの玄関ゾーン」とされるまちの南側の一番出町柳駅に近い跡地の活用について語るとなっておりますので、みなさまにご意見を出していただいて、やっていきたいと思っております。
今後は、今日まで含めて、ここまでのミーティングで話し合ってきたことを、かもがわデルタフェスティバル実行委員会のほうで、まとめるというよりかは、整理をするぐらいの内容で、「跡地活用に向けての地域からの意見書(仮)」を作成して、京都市と共有する予定になっています。そして先ほど浅井会長からもありましたが、来年度も、跡地活用をどうするかの話し合いを続けていきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
ここで、この『未来のまちづくりミーティング』に今日初めてご参加の方もいらっしゃると思いますので、あらためて、これまでのミーティングの内容の振り返りを簡単にしたいと思います。
これまでのミーティングの内容の振り返り
養正市営住宅団地の再生計画というのが去年3月に出されました。市営住宅の老朽化や耐震の問題があって、どうにかしていかないといけないということで、養正だけではなくて、京都市内の他の地域でも同じような計画があるんですが、この住宅団地をどう再生していくかという計画です。京都市のホームページにも、いろいろなことが書かれています。
団地再生のコンセプトは、「子どもからお年寄りまで安心して暮らし集える養正の未来へつなぐまちづくり」となっていて、そのためにいろいろ変えていきたいということが、まちづくりのテーマとして挙げられています。まちのゾーニングもいくつかの整理がされております。住宅棟は一番新しい21棟だけを残して、他の老朽化した棟はどんどん撤去になり、代わりに新しく更新棟が全部で3つ建ちます。もともと棟が建っていたところの跡地を跡地活用エリアといい、団地南側の3・4・5棟が建っていた場所が一つ目の活用予定エリアです。そして、今の12棟や11棟が建っているあたりのところも活用予定エリアになります。それ以外に、公共施設等が建っているところは公共施設エリアとして指定されています。
ミーティングでは、主に跡地活用予定エリアを具体的にどうしていきたいかという意見を出し合おうということになっています。ただ住宅のことなどについて意見を言ってはいけないということではなく、そのような話をしていただいてもいいんですけれども、跡地活用予定エリアについて主に話をしていこうということになっています。
この『未来のまちづくりミーティング』は去年の3月から始まって、今回で第9回まで迎えました。この団地再生計画の説明会や、団地住民の方、子育て中の方、20代の若い方とかの跡地活用への思いを伺ったり、まちづくりを専門にされている先生をお招きしてお話を伺ったりしてきました。その中でいろいろ知識とかも深めたうえで、第7回からは集まった人みんなで意見を出し合って、ワークショップをさせていただいています。
11月の第7回のときにこの場所をみんなでまちあるきをして、どんな場所なのかをあらためて確認して、全体的にフリーでいろいろとご意見を出していただきました。前回12月の第8回目はそこで出た意見についてもう少し具体的に話し合いをして、そして本日となっております。
第8回の振り返りですが、第7回にフリーで出していただいた意見を一旦7つのテーマに分けて話をしました。
ワークショップ開始
ワークショップを始めていきます。今日話し合いたいことが3つありまして、最初のテーマは、出町柳駅に一番近いところの活用エリア「まちの玄関ゾーン」についてです。(団地再生計画の中に)活用予定エリアという場所が2つあり、そのうち3・4・5棟の跡地のところが、早ければ次年度の令和5年度から活用の検討を始めていくということになっています。まず(活用の)スタートをするのが、まちの入口のところになってくるので、このエリアについて、こんなものがあったらいいんじゃないか、ぜひこれは言っておきたいということを、今日はみんなで話し合いたいと思っております。
ここで、「まちの玄関ゾーン」について、グループに分かれて話し合いを行いました。そこで出た意見をご紹介します。
人が交わったり、自由に利用できるような場所
・ キッチン付きなど、食を通じたコミュニティスペース(大宮交通公園のような広い場)
・ コミュニティスペースのような場
・ まちの入口になるので、カフェやお店などの人が集まりやすい場所が欲しい。
・ 多様な人が集まりやすい場所として、公園を中心にカフェやコミュニティスペースなどがある場所
・ 住民が管理するコミュニティ広場、公園のような場所で、地域外の人が菜園やガーデニングなどができる場所。
・ 月替わりのカフェなど、やわらかなイメージのお店
・ 東京や大阪などの大資本ではなく、地元の住民によるお店
・ 誰でも気軽に仕事や勉強に使えるようなスペース
・ 学生も大人も使えるレンタルアトリエスペース
・ 絵画などの発表の場として飾れるような壁面
・ 電動のこぎりなどを使って工芸体験をできるような施設
・ 賑わいの見える、(ガラス張りの)オープンな会議室
・ 芝居小屋
・ 思わず寄っていきたくなる居心地のいい図書館
・ 地域のそととなかが交わる銭湯
・ 体の不自由な方でも入れるリフト付きのお風呂やスーパー銭湯
・ 学生が学べて、企業などの取り組みもできるような場
・ 大学のキャンパス(排他性や地域とのかかわりの観点から)
・ フランスをテーマにしたカルチャーゾーン(居住・展示・アートスペース)
・ お金を生む場にするのではなく、人がコミュニティを育むことを大事にする場
・ 大資本に頼らず、住民の力で人を呼び込み、人が交流する場をつくる。
・ 学生や地域住民、外国籍の人など、多様な人が交われる場や機能が欲しい。
・ 観光客向けよりも、住民向け
・ 観光客、若者向けなど、地域外の人に向けた施設
・ 地域のイメージをもっともっと上げていくために、若い人が集まるような場所
・ 駅前のメリットを生かした若者施設
子供向けの施設や福祉施設など
・ 子どもの発達を助けるような住宅の計画
・ 子どもの権利条約を生かしたまちづくり
・ 公園などの子供を通した交流スペースがいいのでは
・ インクルーシブ公園という、障がいがあってもなくても遊べる遊具がある公園など、子どもたちがみんなで遊べるような場所
・ 高齢者の方も集える保育施設
・ 地元の住民も近隣住民も入れる保育所や高齢者、障がい者などの福祉施設
・ 差別、DV、貧困など、サポートが必要なあらゆる人が頼れる場
その他
・ 郵便局、スーパー、病院などの生活に必要な施設が、まちの規模に合うように整ってほしい。
・ 社会的企業
・ 太田川の復元はいいのでは
活用の考え方に関する意見
・ 玄関ゾーンだけをこうしようと先に考えるのではなく、全体を捉えて考えたほうがいい。
・ 再生計画エリア全体のゾーニングが必要
・ 全体ゾーニングで、住棟が隅のほうに全部に追いやられて、真ん中が活用ゾーンになっている。住民は住む場所を隅に散らされる。活用計画の全体像について、もう意見は通らないのか。
・ 新しい住棟を遠くに追いやるような配置で、もともと住んでいた中央の部分を商業化するのは違うと思う。
・ 新しい集合住宅の全体的な配置との関係で活用の内容を検討すべき
・ 住んでいる人の意見が大事
・ このミーティングでの意見が十分反映されるのか。勝手に行政や業者さんなどが決めてしまうのではないか。
・ 住民や市民の意見を十分に反映させてほしい。住民や市民の了解なく土地を売らないでほしい。
・ 大手スーパーなどの大資本が活用するのではなく、定期借地など、住民の意思を反映できる活用方法がいい。
・ 民間業者がすべて運用するのであれば、このミーティングで何のために話しているのか分からない。
・ 養正の人口が増えていくような工夫が必要
・ 現住民も、それ以外の人も一緒に入れる住宅にするべき。分けないでほしい。
・ 今の市営住宅の更新棟以外にも、若者やファミリー向けに住宅を建てて、既存の市営住宅の更新棟と分けるのではなく、それらすべてを市営住宅にする。
・ 住民にも、外部の人たちにも有益な場
・ 場の運営コーディネーターが必要。そのコーディネーターも含め、地元の住民、京都市それぞれの専門家による協議会をつくる。
・ 新しい施設ができた後も住民が関われる場づくり
・ 21棟のベランダが南側(玄関ゾーン側)に向いていて丸見えになるので、そこへの配慮は必要
・ 周辺環境に配慮した活用
・ テーマを決める(崇仁であればアートなど)
・ この場所の活用が出町柳エリア全体のこれからにも関係してくるのではないか。車があまり通らない、歩いて回れるエリアがいい。
・ 玄関ゾーンのエリアの東側の道路沿いの光福寺の高いブロック塀が不細工なので、「玄関ゾーン」の導入部としては、生垣にするとか、屋根付きの塀にするなどきれいにした方がいい。ただし光福寺に言うのは無理なので、京都市がどこまで助成金を出せるか。また、道路が狭く、通学時間帯は歩行者も多いし、通り抜けご遠慮くださいという看板も立っているので、車が通りにくい状況になっていて、まちの玄関ゾーンとしては都市計画的に矛盾している。道幅を広げて車を受け入れたゾーンにする必要がある。
・ まちの真ん中のもう一つの活用エリアも合わせて考えていく必要があるが、現時点ではもう一つの活用エリアを含めた全体像が見えないので、まずは期限付きで一時的に公園として、たとえば、もともとは光福寺の土地だった場所なので、その公園の中に六斎念仏に関わるものや、舞台を設けるなど、いろいろ活用して使っていって、もう一つのエリアの活用が始まる予定の令和9年度以降に、2つのエリアを合わせて、新たな活用を考えていく。
・ この地域の歴史が知れて、いろんな学校の学生が来られて、出会って学べるような歴史館が欲しい。スターハウス(旧7・10棟)を利用したらいい歴史館になると思っていたが、意見も聞かずに壊されてしまった。
・ 「入口ゾーン」とは、何をもって「入口」なのか?
・ 東京の総合不動産ディベロッパーに活用予定地の開発を任せる。
江藤さん
どうもありがとうございました。ここで出た意見がどうなるんだという話もありましたが、意見書については後ほど(主催者から)お伝えしようと思います。
それでは次の話し合いをしていただこうと思います。この養正市営住宅団地の活用を誰がやるのかという話なんですけれども、もっといろんな組み合わせがあるとは思いますが、3つ例を挙げました。
民間に任せるとどうなるか分からないから、京都市が全部やるべき。やってほしい。でも、入札で業者さんを選ぶときに本当に良い業者を選んでいるのかということもあります。いろんなパターンがある中で、これは駄目でしょうとか、これはできないんじゃないかみたいな話もあるかと思います。
団地再生計画の本編に、跡地活用の考え方の事業者ヒアリングの結果、イメージパースが載っていますので、参考的に挙げさせていただいています。
もう一つ、このエリアにお住まいの方も周辺部にお住まいの方も含めて、皆さんがどのように跡地活用に参加するのか。
全く関わらないというのもありますし、説明会や話し合いがあったら必ず参加するというのもありますし、場合によっては民間事業者というのは私たち自身というのも当然あるかと思います。
これはあくまでイメージですが、団地再生の例を2つ挙げさせいただいています。(他の場所で)実現しているから養正ではどうかというのはまた全然違う話ではありますが。
福岡県の北九州市と福岡市の間の宗像市というところで、日の里団地再生プロジェクトというのが行われています。ここの団地の中に保育園とか、ブリュワリーとか、いろんな施設が入っています。ここで何をやっているかというと、このエリアは48棟あったんですけれども、ここが老朽化していて、何とかしなきゃいけない。老朽化している団地は解体して、戸建て住宅として開発していって、団地を1棟だけ残して、コミュニティ施設の機能を入れ込んでいくことを始めているというところです。団地の横には子供たちと一緒に遊べるようなボルダリング施設などをつくって運営をされたりもしています。ここは、東邦レオという会社と西部ガスという地元のガス会社が共同出資をして会社をつくり、ここの団地を持っていたURと話をして、コミュニティ機能を維持しています。このような団地が成り立った背景として、日の里団地のある宗像市は、北九州市と福岡市のちょうど間にあり、都市部からアクセスが悪いのです。このため、交通利便性とは異なる売りを作らなければ入居者が集まらない状況にありました。このため、最近の若い世代の関心が高いコミュニティ機能に着目し、このようなプロジェクトが実施されています。
もう一つが、大阪府の大東市というところの、北条まちづくりプロジェクト「morineki」というのがあります。市営住宅があったんですけれども、老朽化してきたので再生しなきゃいけない。ただ、なかなか魅力的なものにならない。そこで元市職員が大東市公民連携まちづくり事業株式会社(現 株式会社コーミン)を立ち上げ、市や企業の出資を受けて、団地再生に取り組みました。株式会社コーミンは団地再生だけなく、ズンチャッチャ夜市など、イベントやまちづくりにも取り組んでおり、ウェブサイトを見ると、今後もこの地域のまちづくりに関わっていく将来像が描かれています。
このように、周辺も含めて公民連携でいろいろ地元と一緒にやっていくということで、本も出ています。
これらの事例も参考にしていただいて、京都市に対していろんなご意見を出していただけたらと思います。
参加者A
養正は改良住宅の建て替え事業です。それなのに、大東市と宗像市の二つの事例をなぜ挙げられたのかが分からない。ここは全然事情が違うのではないか。議論を育てるためにぜひ提供した方がいいとお考えになって出された二つの事例だと思いますが、事務局はなぜこの事例を出されたのか。
江藤さん
この事例は私、江藤が、こんなご意見が出たらいいんじゃないかと思って用意した事例なので、まず、事務局の考えではありません。ここは改良住宅なので、この事例とは違うという話もあると思いますので、であればそこを含めてご意見を出していただければと思います。
来年度から「まちの玄関ゾーン」の再生計画が始まるとなっているので、このミーティングとしては、このエリアの活用の進め方についての意見もきちんと市に対して出したいと考えているので、この場所をどうした方がいいとか、もしくは何をしてはいけないというご意見をぜひ出していただきたいと思って、参考になればと思いこの事例を用意しました。
参加者B
江藤さんの考えということなんですけど、京都市が全部やるとか、そこに民間事業者が入るとかというところに、住民がどのように関わっていくのか?という議論の前提がそもそも違うと思います。住民の意向に沿って進めるというのを計画の段階から一番真ん中に置くべきで、そこに行政なりがどこら辺で関わってくるのかという話だと思っています。
第1回のミーティングのときからずっと、市役所の人、公社の人に、どういう計画で進んでいるのかとか、いろんな説明をしてほしいと言ってきて、私達はもっと積極的に話し合いと思っていたのに、何も伝えてくださらなかったのは京都市だし、ここは京都市が私達の意見を聞く場であるべきだと思うし、京都市がやることに私たちがどのように関わっていくのかというのはちょっと違うと思っています。
参加者C
江藤さんは、ここの市営住宅が建てられるまでの流れとか、歴史を踏まえていらっしゃる方でしょうか。歴史を度外視にして、跡地の問題のみを取り上げて、どうのこうの言いますけど、ここの今までの流れを知っている者としては、江藤さんが個人的に考えた案にはあてはまらないと思います。歴史的なところを江藤さんがもう少し理解をしていただかないといけないと思います。
もう一つ言いたいのは、今日ここにいらっしゃる方で、ここの市営住宅に住んでおられた方や住んでおられる方はほんの数名しかいらっしゃらなくて、他のほとんどの方は学生さんや近隣の地域の方が見えているので、ここで意見を出してもこの地域の住民の声は集められないわけですよ。住民の人が集まって、聞きに行って希望(の意見を)を出そうという気持ちになるような(ミーティングの)広報の仕方を考えてもらいたい。(住民も)再生計画のことは知っているはずでは済まないと思います。
杉山準(かもがわデルタフェスティバル実行委員会 事務局長)
この後に私から説明をしようと思っていたことを先に申し上げます。この会は多様な意見を聞く会です。だから、今おっしゃられた意見も多様な意見の一つだと思います。一部の方の意見ではなく、多くの住民の方が話をしたから出てきた意見を、ワークショップという形で整理しようとしています。矛盾する意見もあります。ですけれども、整理をして京都市に意見書として出したいと思います。皆さんにぜひ来てくださいと言っているのは、そういう多様な意見を出していただきたいからです。
ただ、市営住宅の参加者の方が少ないということがあります。ですので、この後、私達で(出た意見の)整理をします。それをバージョン1として京都市に提出しようと思います。それを住民の皆さんに、こういう話し合いが行われて、こういう発言が出ましたということを共有する機会を、4月あたりを目途にまた持ちたいと思っています。そこで出てきたものに対しての提案を聞いて、それをもとにしてバージョン2の冊子を作って、また京都市に提出したいと思っています。
多様な意見の中でも、どうしてもここはポイントとして言っておきたいということを出していただきたいと考えています。何でもかんでも合意できるということはないかもしれないですけども、これだけの意見を聞いた京都市は、それは無下にすることはできないんじゃないかということです。お分かりいただけましたでしょうか。
ここで、「活用予定エリア」の活用の進め方について、グループに分かれて話し合いを行いました。そこで出た意見をご紹介します。
すべて京都市が取り組むことについての意見
・ すべて市が取り組むとした場合、市長に変なことをされるのではないか。
・ 京都市の財政難があるので、すべて京都市で取り組むのは、できないことが多いのではないか。
民間事業者との連携や共創についての意見
・ 民間事業者でも、ホテルや商業施設などではなく、住民の意見を聞いてくれるディベロッパーを探す。
・ この地域の住民、このまちづくりミーティングに関わりのある組織など、この地域にもともと理解のある組織が市と連携するのが理想
・ 公民で企業を起こせれば一番いい。
・ この地域はもともと住んでいた人たちが土地を提供してきたという歴史があるので、それを踏まえない業者は入れない。その歴史をどういう形で踏まえて、残していくのか、どういうふうにリスペクトしていくのかという、いろんな議論が必要だろう。地域教育に取り入れることも必要では。
・ 「民間」と「民間の活用」をはき違えないでほしい。この地域で福祉や市民のための活動をしている人となら一緒にやることができるが、大手や儲け重視のところは絶対にNG
定期借地や売却についての意見
・ 元々は土地を京都市が買い上げて市営住宅が建っていて、京都市が所有しているという経緯があるので、まず京都市が全て所有をして、最低でも定期借地を進めていくべき。売却するのであれば、元々住んでいた人にその土地を払い戻して、その上で住民の意見が通っての売却をしていくべきだが、現実的には最低でも定期借地が大前提だと思う。
・ もし民間に売り払われたら住民の意見は通らない。
住民主体や住民参加についての意見
・ 再生計画の主体はこの地区の住民の皆さん。周りの人たちはその取り組みを支援する市民で、互いに連携すべき。
・ 住民が主体的に関わりながら、行政と民間と連携、共創していくのがいい。行政だけで進めると住民の意見が反映されにくく、とても堅苦しい印象のまちになりそうだと感じるので、民間の力をほどよく借りていったほうがいい。
・ 京都市は養正・田中地域の歴史の総括をしっかりと出すべき。その上で、行政が勝手に進めないで計画策定に市民を入れてほしい。
・ 江藤さんが作成した資料の「住民がどう関わっていくのか?」という前提がそもそもおかしいので、資料を削除すべきだ。住民、市民を蚊帳の外に出さないで、住民を主体においてほしい。計画策定の段階から住民が参加できることが住民主体。それを行政がどうサポートするか。
・ 地域の窓口になる団体をつくって市と連携する。
・ 住民参加での活用を進めるにあたって、しっかり関わりたい住民と、あまり関わりたくない住民がいることをまず前提に、住民が関わっていくためにはまずしっかりとした核をつくって、相当しっかりとした強固な仕組みをつくらないといけない。また、そこ(核の組織)だけで進めてしまうとまた信頼できないし、それもちょっと難しい。だから、住民の声を聞く姿勢のある、理解のある民間事業者がかなりしっかりとした核をつくって、その周りに住民参加として、緩やかな取り組みとか、月に1回住民が参加できるイベントなどをするとか、公園を作るとか、そういういろんな住民参加の形を、他の事例も参考にしながら、核を中心にグラデーションで考えたほうがいいのではないか。
・ ミーティングのまとめ(市への要望書)は、市民と行政の共通のまちづくりの構想の柱を示すものであるべき。
具体的な活用方法に関する意見
・ この知識の歴史を学べ、人と出会うこともできる資料館
・ いろんな大学の学生が多様性を学んだり、サポートできる場所
・ 誰もが利用できるオープンな図書館
・ 若い家族が住むことができる集合住宅
・ 若い人たちが発表できる芝居小屋
・ 高齢者が利用できる入浴施設
その他の意見
・ 元々ここに暮らしてきた人々の土地を強制的に買い取り、改良住宅にしたという歴史があるので、元々のまちが継続できるようなまちづくりを考えてほしい。
・ 多様な意見と言うのであれば、この会場に来られなかった方にも、まちづくりミーティングとして、お一人お一人のところに、お気持ちやお話を聞いてこそ、多様な意見と言える。このままでは、居住の権利や自由に生きる権利が無視されていて、人権侵害そのものであり、差別の再生産である。
・ たとえば10年後に空き家が出たとき、追加で募集しようとしても応募がないとか、狭いから誰も入らないとならないように、部屋を大きくして家族でも入れるようにリノベーションしながら使える部屋をつくって、この土地にこれからも市営住宅が存在し続けてほしい。
参加者D
(参加者の)皆さんがせっかくいろんな意見やアイディアを出されているにもかかわらず、京都市が勝手にこうやりましたという(事後報告の)やり方をするのではないかと懸念している。こことは全く別の話だが、左京区の宝ヶ池に5年ほど前に新しくできた体育館の名称や形について住民の意見を聞くよう京都市に申し入れをしたが、全く耳を傾ける様子もなく、こうなりました、こうしますということがあった。名称に住民の意見を取り入れるように京都市に言って、やっと名前は付いたが、地元の住民が優先して使用できるというわけではない。私達が一生懸命(意見を)言っているにもかかわらず、京都市はそういうやり方をする。養正の地域住民のために最初建てられた養正体育館も、いつの間にか左京地域体育館になって、よその(地域の)人も来られているが、駐車場がないので車はどこかに停めないいといけない。そういうところを左京区の地域体育館にしたから、(人口に対してキャパシティが)狭すぎて使えないし、養正の人が優先的に使えるわけでもない。そういうことを京都市は今までやってきているので、どれだけ頑張って意見を出しても、どこまで取り入れてくれるかがすごく心配。
参加者E
市営住宅に住まわれている地元の方の意見を一本化して吸い上げるべき。あわせて、未来のまちづくりミーティングに参加している、ここのまちに関わりたいと思っている人たちの意見と二本立てにして、京都市に投げかければ何か聞いてもらえるのではないか。私達も大切な時間を使ってこの意見を出しているので、しっかり聞いてもらえないと意味がないと思うので、京都市にしっかり聞いてもらえるように整理してほしい。
参加者F
市営住宅の方も地域住民も入った住民説明会を開催されて、ものすごく紛糾したと思います。またやりますと京都市の方が言われたが、それから開催されていない。やっぱり住民説明会をしていただかないといけない。この、未来のまちづくりミーティングがその代替えだとおっしゃるのであれば、提言では弱い。位置づけをしっかりしてほしい。住民説明会がいつ開催されるのかも、京都市の方から聞いている方がいたら教えてほしい。
参加者G
最初の頃は、ここの市営住宅の方がたくさん見えていたと思う。(第1回のミーティングで)住民説明会があって、結構長引いて、みんながいろんな意見を言っていて、もう一回すると言っていたと思う。住民にとっては家を移動するのはすごく大変なことで、結構高齢者が多いので、すごく不安。先ほどの方の意見をきちんと受け止めて、個別じゃなくて、住民の意見を聞く会を持っていただきたい。
参加者H
一度養正小学校の体育館で説明会が開催された後に、10月に11棟のほうで団地住民向けの説明会が開かれています。自分も住民の家族なので、参加しました。その時は紛糾していません。なので、住民の方は理解をされているということだけは言っておきたい。
前半のワークショップで、住棟がバラバラになるのが住民の意見を反映していないんじゃないかという意見もあったんですけど、4~5年後には高齢の自分の親が引っ越さなければいけないことを考えると、今の住棟の配置を維持する場合、一旦移動してから、建て直した後にまた移動しないといけない。高齢の住民が多いので、移動は一回で済ませたい。その結果の今の計画の住棟配置でもあるので、自分も長年住んでいて、今も住民の家族である身としては、決して住民の意見を無視している計画だとは思っていないし、そういう意見もあるということだけは言っておきたい。
江藤さん
ありがとうございました。
最後に皆様から一言、これだけは言っておきたい、最も大事にしてほしいことを言っていただきたいと思います。
参加者の皆さんからの「これだけは言っておきたい!」
・ さっき10月に住民説明会があったとおっしゃったが、京都市が説明会をやったとは私は思いません。(再生計画全体ではなく)建て替えだけの説明だし、住んでいらっしゃる方だけと言って、バリケードを張って住民以外は入れないようにしていた。だからこれは説明会という位置づけにはなりません。京都市は第1回のミーティングのときに、もう一回説明会をやるとおっしゃったので、その約束は果たしてほしい。
・ 単なる市営住宅の建て替えの話になりがちだが、もともと、まちがあったところの改良住宅が改変していくという視点で考えられたらと思う。
・ 私は少し南側のところで小規模保育園を運営しています。前回は養正地区がこんなふうになったらいいなという前向きなお話だったのに、今日は現実を見させられたというか、課題がたくさんあるということが分かりました。でも近くで事業をしている者として、民間の力も時々は必要だと思うので、また今後とも、近隣住民の皆さんとも、行政とも一緒に考えていきたいと思います。
・ ワークショップに入るまでずっと参加させてもらっていて、今日すごく久しぶりに参加しましたが、第8回の振り返りを見て、結構愕然としました。地域のイメージを向上すると(第8回の振り返りに)書いてあるんですけど、向上するということは、イメージが良くないということなのかなと思います。そういうイメージをつくってきたのは日本の国だと思うんですけども、そのことも含めて、なぜイメージを向上しないといけなくなったのか、京都市からきちっと総括をしてほしいと第1回のミーティングのときに言いましたが、それがありきだと思っています。この土地も市に買い上げられて成り立っている土地だから、安易にこうしたほうがいいとか言えないと思うので、京都市と過去の総括を一度共有したい。
・ 私は元々この地域に全く関わりがなくて、ポスターを見て興味を持って参加しました。ワークショップにちらほら参加したんですけど、この地域に関わりがなかったのに、本当にみんなすごく優しくしてくださって、参加して良かったと思いました。この地域はとても素敵なまちなので、これからももっと素敵なまちであってほしいなと思います。暖かな空気で学ばせていただけたので、ありがたい気持ちです。
・ 田中が大好きなので、まちの人がみんな納得できるようになってくれればいいと思います。
・ ここの市営住宅に住んでいます。これからもずっと住み続けたいと思っています。何ができても、住民がずっと住み続けられるようになってほしいと思います。人権、文化を大事するまちになってほしいなと思います。
・ 以前、1回目のミーティングで説明会としてやったときに、地域の住民についてはまた2回目の説明をやりますという話をされていたんですけれども、されていないので、今現在、自主防災会を中心に署名を回しています。説明会をお願いするものとあわせて、京都市と住民との対話をして、それに基づく同意を計画に反映させてくださいという署名など、二つぐらいあるんですけども、よろしければその署名にまたご協力ください。
・ 本当はこのまちの人が主体になってこういう場を開ければいいんですけど、なかなかそういうわけにもいかないので、こうやってこの場を開いていただいてありがたいと思っています。来年度以降も何らかの形で話し合いの場が開催されていくと思うんですけども、前向きに話をしたいと思っています。このやり方は間違ってるとかじゃなくて、私はそう思うとか、私は違うと思いますけどというように、他の意見を否定せずに前向きに話し合っていければと思っています。
・ 私は市民グループとしてインクルーシブ公園をつくる活動をしていて、まちづくりに興味があって参加しました。最初は公園のことをイメージして参加してたんですけど、本当に様々な意見があると思いました。このまちをより良いものにしようと思って皆さん意見を出されていると思うので、この意見が伝わって、進めていってもらえたらと思います。
・ こういう会があって、いろんな世代の人たちに地域のことを考えてもらえるというのはいいことだと思います。ただ、私が一番懸念しているのは、他の地域の人たちが関わることによって、この地域の中の問題を見えにくくしようという考えが京都市にあるのではないかと思っています。差別や今までの歴史的なものを踏まえて、みんなでここを再計画してどんなふうに変えていくかというのを話し合って、京都市はその意見に計画をできるだけ反映してほしい。こんなふうにしたのでもうそれは聞けませんじゃなくて、私達が出した意見をできるだけ踏まえて、京都市がようにしていきたいと思いますので、ちゃんとそういうことを頑張らせていただきたいと思います。
・ この地域がどういうふうな場所なのかとか、差別の歴史などを大事にしながら考えていくっていうのが大事だと思います。
・ この地域を京都市の資金稼ぎのための手段にしないでほしい。ここは様々な歴史があり、そこで生活をしてきた住民の方、またこの場所を使って、様々な人間関係を築いてきた周辺住民の方々の場所であるということが大事。もう一つは、この話し合いの過程がとても大切。再開発された後のまちの仕組みがもう既にここにあるかのように話し合うことが何よりも重要。
・ 本当に想いがあって、大切にしていきたいというものが皆さんあるので、言っても反映されないと諦めるのではなく、言い続けるということがすごく大切だと思います。実行委員会の方も大変だと思いますが、継続してこれからもしっかり意見を言っていくことが本当に大切だと思います。
浅井会長より最後の挨拶
京都市の担当者がいかに頼りになる存在であってくれるか。住民の声を聞いてくれるように、よろしくお願いしたいと思います。
来年度もまたやりますので、よろしくお願いします。
編集・文章構成:南 知明
かもがわデルタフェスティバル実行委員会 参加団体
(50音順)
京都学生演劇祭実行委員会
京都TeraCoya
左京西部いきいき市民活動センター(指定管理者:特定非営利活動法人劇研)
人権連
田中神輿会
特定非営利活動法人YTまちづくりの会
部落解放同盟田中支部
養正学区各種団体連絡協議会
養正学区社会福祉協議会
養正たすけあいの会
<オブザーバー>
鈴木暁子(京都地域未来創造センター)、吉田泰基(京都市まちづくりアドバイザー左京区担当)、京都市住宅室すまいまちづくり課
未来のまちづくりミーティング今後の予定
第10回 2023年4月22日(土)14時から
会場
左京西部いきいき市民活動センター サロン(養正保育所向かい)
テーマ・内容
団地再生に向けた「意見書」への提案や質疑応答を行います。