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【機材レビュー】MONO FLYBY ULTRA 〜2in1機材用バックパック〜
お久しぶりの更新です。
最近、Monoのバックパックとギグバックを買って1ヶ月ほど使ってみたので、それぞれレビューしたいと思います。
今回ご紹介するのはこちら、MONO FLYBY ULTRA。
MONOは楽器ケースでお馴染みですね。
まず最初に、このバックパックは
こんな人におすすめ
・しっかりと機材を保護して持ち歩きたい人
・機材を持ってのハードな移動が多い人
となっています。
反対におすすめしない人は
・機材を持ち運ぶわけではない人
・体格が小さい人
日本語の情報がほとんど出てこない製品なこともあって、かなり長い記事になってしまいました。購入を本気で検討している方向けです。
その分詳細なレビューにはなっていると思いますので、機材を持ち運ぶバックパックを探している方のご参考になれば幸いです。
外観
それではまずは外観から見ていきましょう。
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こちらは旅先で荷物を結構入れた状態ですが、しっかりと自立するので安心です。
全体は1680Dバリスティックナイロンで作られており、耐久性・耐水性が非常に高いです。
デザイン的にはやや無骨で、横から見た場合はややズングリしていますが、縦長なシルエットにしているおかげで背後から見たシルエットはすっきりしています。
メーカーロゴ入りのメタルプレートがワンポイントとしてつけられており、なかなか高級感があってクール。
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各部ジッパーはすべて止水ジッパーになっています。
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また、底面はゴムっぽい質感の素材で補強されていますので、地面が多少濡れていても大丈夫でしょう。
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上部のハンドルは非常に持ちやすく頑丈です。とにかく持ちやすいです。
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ショルダーストラップ、チェストストラップ&背面クッション
背負う際のショルダーストラップも幅広でしっかりしています。
また、背中に当たる面には厚めのクッションが配置されていて、背中のカーブにうまくフィットして重量を分散してくれます。
登山用リュック等で採用されている背中の形にだんだんと馴染むプレートには一歩劣るかもしれませんが、ここは好み次第かと思います。
チェストストラップもいい仕事をしていて、これを締めることで、ブレを抑えつつ、バックパックを背中全体と一体化させて背負うことができます。
これらの要素が組み合わされることで、背負った際には実際の重量よりかなり軽く感じるかと思います。
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また、背面クッションの裏側にはスーツケースの取っ手に取り付けるためのスリーブがあります。
スーツケースに載せて運ぶことで、背負うことなく大量の荷物を運搬できるのは移動が多いミュージシャンにとって非常に有用です。
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一方で、大きさはややアメリカンサイズというか、身長が170センチ以下の人、細身の人は背負いづらいように思います。
筆者は170センチないくらいの身長なのですが、ストラップを一番短くしてギリギリな感触です。
ストラップの肩幅もやや広めに設定されており、チェストストラップのアジャスト範囲もやや高い位置のみ、背面のクッションの位置も固定。
さらに、サイズもワンサイズのみということで、総じて小柄な人には向いていないように思います。
また、ある程度重量のある機材を運ぶ場合にはウエストストラップが欲しくなります。
これは筆者が登山リュックに慣れているせいもあるのですが、一定以上の重量の場合はあると持ちやすさが段違いなんですよね。普段遣いでは邪魔だったり、するんですがなんらかの方法で収納できるものがあると良かったかもしれません。
ショルダーストラップその2
サイドに付いているリングに付属のショルダーストラップを取り付けて、メッセンジャーバッグのように片方の肩にかけることもできます。
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ただし、本体サイズが大きく、中身も重くなりがちなので肩掛けをメインにはしづらいですね。
メーカーとしてもあくまで飛行機の乗り換え時等の一時的な持ち運び用のオプションとしてつけているようです。実際使ってないという方も多いみたいです。
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とはいえ、あると何かと便利なので筆者はつけっぱなしにしています。
長さを調整すれば引っ掛けることもほとんどないし、さほど邪魔にはならないかと思います。
リングはカラビナを引っ掛けたり多少の拡張にも利用できます。
なお、サイドはポケットになっているので、ボトルホルダー等はありません。この点は改善してほしいという熱心なレビュー動画もありました。
実際ボトルや折りたたみ傘を持ち運ぶときには不便なので、あってもいいかなとは思いますが、デザイン上もう足せるところもないような…。
おとなしく外付けの他社製品で拡張するのがよさそうです。
各収納部の説明
それでは各収納部の説明に入っていきましょう。
メインコンパートメント
まずはいちばん大事なメインコンパートメントです。
ジッパーがかなり深くまで開くようになっており、ガバッ!と開くことができます。
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内部は2リットルのペットボトルが2本くらい入る大きさ。ペダルトレインのNano Plusだって入っちゃいます。
つまり楽器はホイール付きのVertigo Ultraで転がしつつ、Flyby Ultraに必要な機材を入れて持ち運ぶ、なんて運用も可能です。というか筆者はこの運用を前提に購入しました(Vertigo Ultraについては別記事でレビュー予定)。
内部には他に、PCや書類を入れるのに便利そうなスリーブと大きなポケットが2つ、さらにファスナー付きのメッシュポケットが付いています。
筆者はスリーブにはiPadや書類を、2つのポケットにはアンシミュ兼オーディオインターフェイスのDarkglass/ElementとCIOのコンセント付き電源アダプターをそれぞれ入れています。
また、中央上部にはヘッドホンやケーブルをまとめて掛けられるホルダーストラップがついています。筆者はここにモニター用のヘッドホンを掛けています。
このホルダーはなかなか便利ではありますが、もう少し高い位置につけるか、Vertigo Ultraのように取り外しができると、さらによかったですね。ここにものを吊るした状態だと他のモノが取り出しづらいし、そもそも高さを最大限に活かせなくなってしまっています。この点はマイナスです。
バックパックのサイドにはマグネット式のコンプレッションベルトが付いてはいます。
ただし、これはコンプレッション用には機能せず、あくまでメインコンパートメントの開き具合をセーブするためのもののようです。あんまり意味がないような…。
というか、横から見ていただくと分かるのですが、Flyby Ultraはトップに進むにつれて絞られる構造になっています。見た目はシュッとしていいのですが、その分容量が活かせなくなっている面もあるので、この部分を絞れたり拡張できるような仕組みがあったらもっとよかったのにな〜と思います。
なお、サイドサクセスと階層分け機能はないので、この点も好みによるところですね。
小型〜中型機材中心に持ち歩く方、必要なものにだけサッとアクセスしたい方は不便に感じるかもしれません。
サイドポケット
両サイドには薄型のポケットがついています。
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このサイドポケットはジッパーが内向きに付いているのが素晴らしい。
財布やカードケース、パスポート等の貴重品を入れるのにもってこいです。
海外だとスリや防犯に気を遣いますからね。
さすがに関節がよほど柔らかくない限り背負ったままでは取り出しづらいですが、片方のストラップを外せば簡単に取り出せます。
筆者は片方に財布、反対側にはモバイルバッテリーを入れていることが多いです。
もう少しポケットのサイズが大きい方が使いやすい気もしますが、ここはデザイン優先だったのかもしれません。
とはいえ、ここにもある程度のクッション性を感じる点には気合を感じます。
外側ポケット
外側には3つのポケットがついています。
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まずは上段ポケット。
ここには普段使う小物類や鍵を入れています。名刺入れなんかにもちょうどいいですね。筆者はここには手巻き煙草セットとAirPodsを入れています。
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次に中段ポケット。
このポケット、外から見ると一見小さいですが、実は下段ポケットの底までの深さがあり、相当な収納力があります。
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筆者はメガネケースとレインカバーを収納しています。
ちなみにSDカードとか小物を入れられる仕分けポケットもついています。
最後に下段ポケット。
この部分にはマチがついており、取り出しやすく、見た目よりも多くのものを収納できます。
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筆者の場合はここにコード類をまとめています。
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各ジッパーの持ち手は南京錠を通せるようになっていて、ダブルジップのメインコンパートメントはそれ自体で、中段と下段はそれぞれを組み合わせればロックすることが一応可能です。
上段ポケットについては、持ち手がひとつだけで、他とも距離があるので残念ながら無理ですが、それでもある程度のセキュリティを確保することができるでしょう。上段ポケットには名刺等の盗られても困らない、さっと取り出したいものを中心に入れましょう。
PCポケット
背中側に一番近いこの部分は本製品のウリのひとつになっていますね。
なんとジッパーを一周することで取り外し、この部分だけで持ち運ぶことができます。これにより遠征先のホテル等にメイン部分を残し、PC部分だけ持ち運ぶといった運用が可能になります。つまり実質2つのバックパックを持っているようなもの、ということです。
ちなみにPCバッグ側のジッパーも防水仕様になっており、二重に安心。
さらに、本体とは別に小さい取っ手がつけられています。ちょっと薄いですが、PCだけなので十分です。
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容量もなかなか大きく、筆者はこの部分にPC以外にAkai MPK mini plusを入れています。MPK Miniは大抵のバックパックに入りますが、37鍵のMini plusは横幅が大きく、入れられるバックパックが限られます。その点、Flyby UltraのPCポケットはこれがギリギリおさまる高さになっています。
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さらに、PCとMPK Mini Plusを入れても電源アダプタを入れる余裕もまだあるうえ、外側にもジッパー付きポケットがあるので、そこに必要なケーブル類もある程度収納できます。
旅先でもこのサブバック部分だけを持ってカフェなどでDAWを含めた作業ができるのは非常にうれしいですね。
MPK Mini Plusはメインポケットにも入りますが、その場合はストラップをヘッドホン用としては使えなくなります。
この点については、きちんと両方どちらでも入るレイアウトにしてほしかったところです。Vertigo Ultraのシールドストラップのように、取り外し式のものが天井部にあったらよかったかも?
とはいえケーブル類をまとめるには便利です。
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また、このPCポケット部分には他にもやや残念な点もあり、この分割機能のせいで、バックパック全体の容量が少なからず無駄になってしまっています。
接合部の隙間に無理やり入れられなくもないでしょうけど、ちょっとおさまりが悪いですね。
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それから、PCバッグを開くのに接合部のジッパーと二重になってしまっていて手間だということ。隙間が狭く開けづらいということ。
まあこれは内部のジッパーは開けっぱなしにしておくという手もあります。
保護力
各部にクッションが入っていてギアをしっかり保護保護してくれそうです。
特にメインコンパートメント周辺はフレームがしっかりして安心感があります。
ポケット等やフレーム外の部分にはさすがに限界があるとは思います。
ジッパーにも防水カバーがつけられており万全です。ただ、筆者は念の為と加水分解等は流石に避けられないのではないかと思い、長持ちさせる意味でもレインカバーを常備しています(外側2つめのポケットに収納)。
微妙なところも
これまでに指摘した以外にも、気になる点・改善できるであろう細かい点がいくつかあります。
値段
まずは値段です。
作りからすれば妥当な気もしますが、やはりバックパックとしてはちょっとお高いですね。
とはいえ、中に入れる機材がそれ以上に高いのであれば、やはりある程度のバックパックを買うことに意味はあるよう思います。
大切な機材を保護して長く使うという意味では検討に値する投資ではないでしょうか。
予想以上に入るが、思ったほどは入らない
Flyby Ultraは収納が豊富で必要なギアを十分に収納することができます。
背負心地や取り回しも、大きさや中身の重さに対してかなり快適です。
ただし、あくまで機材用のバックパックであり、2泊程度の着替えであればなんとか入りますが、これだけで長期旅行というのは難しいですね。
その場合はスーツケースと併用がいいでしょう。取手に手軽に取り付けることもできますので、スーツケースと併用する際の取り回しは良好です。
旅行用のバックパックとしてのみ使うには用途外で、登山用や旅行向けバックパックにどうしても劣ります。
やはりあくまで、機材を持ち運ぶためのバックパックであり、日常品や着替え等は別に持つ、というのが最適解でしょう。
日常的なノマドワークには、フルサイズならやや大きすぎる感もあるものの、それだけに十分すぎるほど対応できるし、分割してPC部分だけを使うという選択も可能です。
この使い方は荷物の入れ替えをしなくて良いので忘れ物防止にもなります。
運用の選択肢が多くなるのが最大のメリットとも言えます。
その他の改善してほしい点
もしメーカーや代理店の方が読んでいたらと期待を込めて、一応要望を書いてみます笑
バージョンアップ版を出す際には期待したいですね!
ポケット内にペンホルダーがほしい。
これはあると地味に便利だったと思います。ペンケースを入れるほど筆記用具がいらない場合も多いのではないでしょうか。PCバッグ側にも薄型の財布を入れられるスペースがあるとよかった。
PCバッグだけを持ち歩く時にいちいち入れ替えないとならず、ポケットが外側にしかないので防犯的にもやや不安です。一応、外側ポケットはジッパーもありデザイン的に隠れているので、ある程度、盗みづらくはありますが…。
本体サイドポケット自体も小さめなので、入れられるのは薄型の財布のみになります。やはりペットボトルホルダー等の水ものを収納できる要素がほしい。
最初からついててもいいんですが、デザインが損なわれるというのもわかるので、外付けで対応かなという気はします。折り畳み傘を機材の入っている内部に入れたくないとか細々とあるので、そのへんの選択肢が欲しいところです。ギグバッグと連動する機能があると面白かったかも?
例えば、ギグバッグと共通で使えるTickの新製品のようなものがあったら、より取り回しが良くなる気がします。特に欲しかったのが、財布+αだけ持っていけるようなボディバッグにもなるようなパーツがあれば、ツアーバッグとしてさらに完璧だったと思います。まあこれはちょっと求めすぎな気もしますけどね。国内在庫がほとんどないらしく納期が長い。
あんまり需要がないのか、サウンドハウスさんで注文して1ヶ月ほどかかりました。それでも当初の予定よりはだいぶ早く、ほぼ同時に買って本来もっと先の納期だったVertigo Ultraと同時に到着したので、がんばってくれたのだと思います。ありがとうございます!
まとめ
というわけで。
気になる点はそれなりにあるものの、実際に使ってみると全体的な満足度が高く、フラッグシップの名に恥じない良い製品だと思います。
「こうだったらもっと良かったのに!」というのは、良くできているが故にさらに上を求めてしまうということでもあるわけです。
機材バッグを新調したい方、気になっていたけど情報が少なくて悩んでいた方の参考になれば幸いです。
同社製のギグバッグVertigo Ultraのレビューも近日中にあげますので、そちらもぜひ。
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