どーして、和装の花嫁さんでも日本髪しなくなっちゃったのー⁉︎
和装の花嫁さんが、打掛やお着物姿なのに洋髪のフンワリしたセットにお花をつけて…というスタイルが流行りだして、ざっと10年にはなりますでしょうか。洋髪の花嫁さんもたしかに、たしかに、可愛いんですけど…。
私も一度結婚式場で働いていた身なので、花嫁さんに日本髪はなさらないですか?と尋ねてみたことがあります。そのご回答で一番多かったのが、
①おでこ全開なのが、顔が大きくみえそうで恥ずかしい…。
②鬢付け油つけたら、お色直し大変そうだから。
③そもそも、日本髪を結える人がいないから。
④なんか、日本髪って定番すぎて古くさいイメージ。
こんな感じのお答えが返ってきました。
①と②なのですが、おでこを出すのが嫌!と仰っている方はのほとんどの方は、実際日本髪を結い上げてしまいますと、何も仰らなくなります。というのは、髪の毛を全てひっつめにくくって、おでこも出せばお顔だけが目立つのですが、日本髪の場合は、鬢(ビン)というお顔の左右の部分が張り出しておりますので、おでこを上げて、前髪をとりますとバランスが良くなるからです。さらに花嫁用の豪華なかんざしが沢山付きまして、ボリュームのある打掛や引きずりのお着物などお召しになると…。自ずと全体のバランスもとれて。あら、素敵!となるのです。古風な感じに少しでも興味をおもちの方はぜひお写真撮りだけでも残して頂きたいと思います。
②びんつけ油をしたら、お色直し大変そう。
ごもっともです。本格的な日本髪にしてしまうと洋髪へのお色直しは大変です。披露宴も和装一貫で通される花嫁さんは、お着物のお色直しとともに、綿帽子や角隠しを取ったり、かんざしを変えるなどして、髪型は日本髪のままの場合が多いので大丈夫なのですが、ドレスチェンジになると、鬢付け油が付いたままでは少し難しいかもしれません。その場合は、半かつら(生え際だけご自身の髪の毛を使用し、自然に見えるかつら)で、鬢付け油を使わないという手もありますし、新日本髪(逆毛をたてたり、ゴムやピンを使って日本髪風にするという手もあります。
③日本髪を結える人がいない。
確かに、新日本髪でさえ結う方を探すのが大変かもです。結婚式場では全かつらか洋髪を勧めてしまうことが多いのです。
④日本髪の花嫁さんて、定番すぎて古くさいイメージ。
そうかもしれません。これだけはどんなにお勧めしてもご本人様がそういうイメージでいらっしゃることと、お着物なのに洋髪が定番化してしまっている現在、くるべき時期を待たねばならないのかもしれません。
日本髪の結い手である、私も諦めている部分があります。日本髪の花嫁なんてね…そんな諦めムードになってからもうどれだけの年月が流れたことでしょう。
そんな思いの中、友達に勧められてツイッターを本格的にはじめて数ヶ月経つのですが、先日知り合いの方にモデルさんになって頂き、大正時代の花嫁さんを再現した投稿をしました。
諦め気味の投稿だったのですが、意外にも予想以上の反応があり、驚いてしまったことがあります。
こういう花嫁姿になりたい!とか、結婚式は挙げたけど和装写真撮ってなかったから、こんな風になるなら日本髪にしてみたい!というコメントを読んだ時は涙が出るほど嬉しいかったです。
やっぱり、日本髪してみたいと思っていらっしゃる方は沢山いらっしゃるんだ…。希望の光が射した気持ちになりました。
この写真を撮影しておりました時、通りすがりのおばあちゃんたちが「ああ、懐かしいねぇ。うちのお母さんの時もこんな花嫁姿でね、写真残ってるわ…。」と仰ってました。花嫁さんの日本髪を通して、ご両親やご先祖様を想うきっかけにもなるのだと、あらためて感動したのでした。
日本髪を結うことは、単に時代劇や舞妓さんなどの疑似体験をする。ということもあるでしょうし、それにとどまらずうちのご先祖様もこんなのだったかなぁと、自分の中にいらっしゃるご先祖に想いを馳せたり、先人の美意識の再認識をしたり…。
単なる変身の域でとどまらない沢山の発見があるかもしれませんね。