日本髪やちょんまげなどを結うのになくてはならないもののひとつ。 それは、元結。 読み方は、もとゆい。それを略して、もっとい。と言っています。 現代では、ヘアセットではゴムを使いますよね。昔はゴムはありませんから、この元結で髪を束ねたのです。 元結の原料は和紙と糊。 幅1センチほどの髪に糊をつけてこよったものです。なので、ピンとしたハリがあります。 でも、伸縮性はありません。ゴムに慣れた方だと練習が必要です。髪を縛っているうちに緩んでくるから。 これは力任せじゃないのです。口
最近、どうやったら結髪師になれますか? とのお問い合わせが立て続けにありました。それもとくに高校生の女子たち。美容学校へ通うつもりでもあるのだけれど、日本髪にとても興味があり将来はそちらの道に進みたい。どうすればよいのかが皆目わからないとのことで、私のTwitterやInstagramをご覧になって連絡してみたとのことでした。 そのお話を聞いて、このニッチな職業に興味をもって勇気を出して聞きにきてくださることにとても嬉しい気持ちになりました。 私は、もともとは幼稚園ぐらいの
今日のお昼のニュース。 「ビルのお掃除ロボットが、自動でエレベーターに乗り、別の階へ行ってお掃除もできるようになりました」 ぼんやり見ていたけれど、今後AIに取って代わられない仕事は何。自分がしたいことは何。と誰でも咄嗟に想像してしまうことだと思う。 巷ではやれベーシックインカムがとか、メタバースとか普通に言われ出してきた。今のうちにじっくり自分のしたいことを再確認しておかなければならないのだろうと思った。 ニュースをみてからふと思い出したのが、 人が泣く、という現
日本髪を結ったら、一日で解くのはもったいないですよね。 昔の人々も、一度結ったら何日か保たせていました。だって、元結(ゴムの役割)は消耗品だし、結うのだって時間と手間がかかるから毎日してらんないし…。 なので、庶民のほとんどの人は結ったまま寝ていたのです。 どうしたらきれいにもたせられるのか。 そこでどうしても必要になるのが高枕。主に箱枕とよばれるものです。 箱枕は、写真のように船底型のものも多く、身体の傾きに合わせて多少角度の融通をきかせてくれます。 中には、箱枕の中
これからの着物ってどう進化していくのでしょうね。 クールに着こなしたり、豪華な現代着物もとても素敵だなと思うけれど、なんだか自分には華美すぎて落ち着かない時もあるんです。 私の友人もそうです。日常をしみじみ楽しみたい派。 歌舞伎の舞台のお仕事中に衣装さんの衣装を拝見して、庶民の着物にものすごく心ひかれましてね…あんな風に仕立てたら素敵だなと随分前から素人なりに自分で仕立てるようになりました。だって、売ってないのですもん…。 日常を非日常として自分らしく過ごすには木綿の庶
日本髪の髪型って何百種類もあるのですが、いくつかの統計に分けますと、ある程度のグループには振り分けられます。 例えば島田系ですとか、輪物系ですとか…。ちょっと飾りや布を変えるだけで別名がついたりするので、膨大な種類になるのでしょう。 そんな髪型の中でも、結手が難しい髪型って何ですか?とよく聞かれることがあります。 まあみんなそこそこ気を抜けないので大変なのですが…。 とりあえず銀杏返し…と私は答えます。 丸髷を崩したところからはじまったという説もあり、素人でも割と簡単に
昔、住み込みで髪結いの弟子入りをしていた時のことです。 そこは古い長屋でした。京都は百年近い長屋はまだまだ残っていて、祇園町の一角の長細い路地の奥にその髪結いさんはありました。 弟子入りしてから数年経った頃、ある日2階へ上がる階段箪笥の壁のほんの僅かな隙間から、白いものを見つけたのです。 紙かな…? 取り出してみると、それは畳まれた小さな和紙で、筆文字で書かれた 恋文でありました。 階段箪笥は普段から私ぐらいしか使わなかったから、本当に長いこと誰も気が付かなかったので
だいたいどんな着物でも日本髪は似合うのです。 古典柄はもちろん、現代的なモード系のお着物でも。少し形を工夫したり髪飾りをリボンや造花やアクセサリーを使えば、壁を作らず楽しめてしまうのです。 ただ日本髪好きさんて、浮世絵のような姿というものに一度は憧れるのでは?着付けもゆったりとしてグサグサ感のあるあの姿…。 あれはさすがに自分で誂えないと手に入らない着物です。庶民であっても家の中は引き摺って着ていたことがわりと多かったようですし、外出はお端折りは後からたくし上げる着付けをし
網かつらや丸かつらとよばれるような、フルにすっぽり被ってしまうかつらは、わりと鬢付け油をたっぷりつけてカチッと仕上げることが多いのですが、地髪や半かつら(生え際はご自身の髪をはわせるもの)は、私はびんつけ油を控えるようにしています。 というのは、やはり半かつらはより自然に見えなければなりませんし、地髪は何日か保たせる場合が多いので、はじめからむやみやたらに油をつけすぎてしまうと、かえって保ちが悪くなってしまうのです。 実物をご覧になった方の中には、あれ?こんなにサラっとし
毛をコロセ…!の回でも綴ったのですが、かつらでも地髪でも、結う前に髪の毛を結いやすいように、コントロールすることがまず大事なのです。 女性で、お着物やパーティーで髪をセットアップなさったことがある方も多いと思います。結う前に、ホットカーラーを巻かれませんでしたか?あれで髪の毛をセットしやすくするのです。巻くと巻かないでは大違い。 日本髪でも同じです。 昔は髪を洗うのが月イチぐらいで、髪を解いて細かい櫛で埃などを取り、熱いお湯を含ませて絞った布で元結で縛っていた跡を消すぐら
(すみません。江戸っ子じゃないです。) かつら屋にいた時に師匠に言われたことです。 無いもの(道具)は、作るんだよ。 日本髪を結うには櫛をはじめ、様々な道具が必要になります。櫛はさすがに買いますが、ここで言う道具とは日本髪を美しく形作る江戸期から使われていたような"型"と呼んでいるものなどです。 例えば、丸髷の髷のあのふっくらとした形は丸髷専用の"丸髷の型"が入っています。一昔前は京都のかんざし屋さんでも、売られていたのです。年齢に応じて丸髷の型のサイズも大中小などがあっ
家に来た友人が庭に行きました。 ぎゃっ…!という声が聞こえました。 なにごと…? 庭に出た瞬間に髪の毛干されているのを目の当たりにして叫んだらしいです。 ああ、そんなことか…。 すまないねぇ。ここじゃ、当たり前の光景で。 友人がお部屋に戻ってきました。 私は使い古したアンティークの引き出しを開けて仕事をはじめました。 そうか、タンスから櫛やかんざし出てくるのなー! 髪結いさんの家は、ワンダーランドらしいです。
日本髪は長くないとできないと思われている方が結構いらっしゃいます。 腰の下まで伸ばしに伸ばして来てくださる方もちらほらいらっしゃいまして。 私としては長い髪を見た瞬間、むーん。となってしまいます。(申し訳ありません。) 実は髪の毛が長すぎると、しまうところがない!しまうのが大変!ってなります。 江戸時代の浮世絵をみてますと、皆さんセルフで結っているからか、まあ長さはおありなのですが、人に結ってもらう場合はそんなに長くなくても大丈夫です。 せいぜい背中の真ん中辺りか、ベスト
昔、歯磨きのCMで聞いたような…。 はい。髪結師も歯が大事なんです。 仕事中に歯を使うからです。 片手で髪を束ねて持ち(だいたい利き手でない方)、利き手で元結(もとゆい→もっといと呼ぶ。髪を結う水引のような紐)をぐるぐる巻いて結ぶのですが、この元結は紙ですからゴムのような伸縮性は全くありません。なので、緩まないように、ぐるぐる巻いている方ではない方の元結をピンと張っている状態にしておきたいのです。そのために噛むのです。 両手が塞がっているので、使えるものは使え。それで噛
日本髪で、どう寝るのん? 日本髪を結ったら、何日か保たせたいんです というお客様が多いです。 わかります。私も日本髪に憧れていた頃、やっと結ってもらえた時はそれはそれは嬉しくて。保たせるだけ保たせたい!と思いましたもん。 でもこれって、なかなか努力が必要なんです…。そう。とくに寝る時ですよね。 ご存知の方多いと思いますが、日本髪で寝る時には高枕というものがあると便利です。(写真のもの)土台に細長い枕がセットになったものです。 この枕を使って、左右のどちらか側面向きで寝
私、言われたんです。 毛をコロせって。 地髪結いの美容室にいた時にではなく、かつら業界に入ってから聞いた言葉です。 かつらは業界では、かつらを作るかつら師と、私たちのような結髪師や床山のように結い専門の分業制になります。 出来上がったばかりのかつらをかつら師さんから、ホイ。っと渡された時点では、かつらの髪はサラッサラの女子のような髪で、髪の流れはかつらのパーツに準じてあっちこっちになっております。この状態では結い込むことはできません。 まずはじめに、きちんと日本髪なら日