(テーマ選書)読書好きの成人男性がこれから読書を始める人にオススメの本を5冊選書する。
「秋といえば?」
この時期になると、こんな会話のきっかけがよく聞かれます。
自分が聞かれたら、間違いなく「読書の秋」と答えるでしょう(若干「食欲の秋」と迷いますが)。
何をするにもいい時期、ということで、色々な「○○の秋」があるわけですが、読書好きとしては、ぜひ読書が好きな人が増えるといいなぁと思っています。
でも、普段本を読まない人が「秋だから本を読んでみるか!」と思っても、なかなか何を読んだらいいか悩みますよね。
悩んだ末に手に取った本が、難解な文章だったり、期待外れだったりすると「もう本なんて読むのはやめよう」と思ってしまう可能性も。
それはいくらなんでも、もったいない。
ということで、今回は、これから読書を始めようと考えている人にオススメの本を選書してみました。面白くて、気軽に読める、そしてもっと本が読みたくなるがテーマです。
「面白かった!」と思ってくれた方に向けて、次の1冊も選んでいます。
「読書の秋」をきっかけに、読書に興味を持つ人が増えるといいなぁと思います。
(これから読書を始める人にオススメの本5選)
・氷菓
米澤穂信(著) 224ページ
(おすすめポイント)
・青春ミステリといえばコレ!ミステリと言っても殺人事件ではないので、ミステリが苦手な人でも安心して読める1冊。
・圧倒的読みやすさを誇る米澤穂信さんの文章が魅力。難解な表現はないのに、主人公の高校生達の心情が色鮮やかに描かれる。
・オチの付け方に定評がある米澤作品。初めての小説でも必ず楽しめるオチは秀逸。
(面白いと思った時の次の1冊)
「麦酒の家の冒険」 西澤保彦(著)368ページ
「ミステリって面白いかも」「でもエグい描写は苦手」という方にオススメ。「多重解決」と呼ばれる、1つの事件に対して、次々と仮説を作っては壊していく解決までの過程を楽しむミステリです。シリーズものの2作品目ですが、問題なく読めますよ。名前のとおり、大量の麦酒(ビール)が出て来ますので、お好きな方はぜひビールを片手に読んでみてはいかがでしょうか。
・キッチン
吉本ばなな(著) 200ページ
(おすすめポイント)
・「大事な人との死別」がテーマですが、著者独特の軽やかな文章で「重さ」を感じずに読めます。一見、淡白な人間関係と感じる人間関係の描写ですが、そこには深い思いやりや人との繋がりが描かれています。
・「食」による人との繋がりも本作のテーマの1つ。読んだらきっと誰かとご飯を食べたくなります。
・本編に収録されている短編「ムーンライト・シャドウ」は今年(2021年)に映画化もされました。原作を読んで、映画を見ると「読書の秋」だけでなく「芸術の秋」も!
(面白いと思った時の次の1冊)
「敬語で旅する四人の男」 麻宮ゆり子(著) 354ページ
ある意味タイトルどおりの内容です。短編になっていて、4人それぞれが主人公になり、旅をとおして、主人公達の「これまで」と「これから」が描かれます。遠くもなく、近くもない人間関係の描写が心地よい作品です。旅には自分の思考・感情を整理してくれる力がありますよね。なかなかすぐには難しいかもしれませんが、「読書の秋」から「行楽の秋」にも手を出してみてはいかがでしょうか。
・コンビニ人間
村田沙耶香(著) 168ページ
(おすすめポイント)
・「芥川賞が読みたいけど難しそう」というあなたにオススメの1冊!読みやすいけど深みのある読書体験をあなたに!
・取り扱っているテーマが「非現実」ではなく、「現実」なので、読みやすくサラサラと読んでいけます。
・現代の人間関係に何となく生きづらさを感じている方なら、刺さるものがあるかも。
(面白いと思った時の次の1冊)
「むらさきのスカートの女」 今村夏子(著) 160ページ
同じく、読みやすい芥川賞として有名な本作。この作品も日常が描かれているのですが、「ちょっと不気味でなんか変」と感じるはず。サラッと読めるのに、なんか不思議。きっとあなたは読み終わった後、この作品について誰かと話してみたくなるはず!そんな時には是非読書会へ!
・そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー(著) 387ページ
(おすすめポイント)
・誰も聞いたことがある有名著者が送る、古典ミステリーの名作。ミステリの原点。
・結末に向かっていく収束感と読後感が本作の魅力。僕は思わず一気読みしました。
・「孤島」「殺人」「犯人当て」とミステリの魅力が詰まった本作。普段、ミステリに触れない方にこそ読んでほしい。
(面白いと思った時の次の1冊)
「オリエント急行殺人事件」 アガサ・クリスティー(著)429ページ
こちらも同じ著者の有名作です。名探偵ポアロといえば、誰もが聞いたことはあるのではないでしょうか。その名探偵ポアロシリーズの中でも飛び抜けて有名な代表作です。何度も映画化もされていて、直近では2017年に映画化されています。あのジョニーデップも出演していますよ。近々、同じく名探偵ポアロシリーズの有名作「ナイルに死す(映画では「ナイル殺人事件」)」が映画化される予定ですので、これを機に原作から読んでみてはいかがでしょうか。
・わかりあえないことから
平田オリザ(著) 232ページ
(おすすめポイント)
・劇作家である著者が、演劇という切り口からコミュニケーションについて解説するのが新鮮!
・「コミュニケーション疲れ」のあなたに向けた、励ましの1冊。
・「そもそもコミュニケーションって?」を考える、ハウツーではないコミュニケーション論が面白い!
(面白いと思った時の次の1冊)
「改訂版アサーション・トレーニングーさわやかな〈自己表現〉」
平木典子(著) 190ページ
アサーションって聞いたことがありますか?「自分も相手も大事にする自己表現」のことです。色々な本が出ていますが、平木典子先生はアサーション分野で有名な心理学者です。この本は平木先生の代表作で、心理学を学んだことがない方でも、わかりやすく読めますよ。家族や友人、職場での人間関係に悩んでる方も多いはず。読むと「なるほど!」と新しい気づきがあるかもしれません。
今回は、これから読書を始めたい方に向けたおすすめの本を選書してみました。
これからも色々なテーマで選書して、皆さんと共有していきたいと思っています。
皆さんの、読書を始める方へのおすすめ本も是非教えてくださいね。