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献本するべきかしないべきか?

 半熟新米作家の深夜のたわごと「作家のぶっちゃけ話」を投稿します。
 第1回は「献本するべきかしないべきか?」です。

 まあ、ぶっちゃけ話と書いてますが、ぶっちゃけできる性格でもないので、お茶を濁したようなことを、だらだらと書くことになりそうです。

 また、あくまで私の思っていることについて述べています。作家の手法に正解なんてないので、ああ、神家はそう思っているんだな、と生暖かい目で見守ってください。
(物を投げないでください。笑)

 今回は献本について!

 デビューが決まった後、最初の本が刊行されます。正直むちゃくちゃ嬉しいです。その際、担当編集者さんに聞かれました。
「ご献本はどうされますか?」

 はたと考えました。そう著作を出すと献本と称して本を送ることがあるのです。
 もちろん人生初です。デビュー前はまだ作家の知り合いなどおらず、相談することもできず、一人で悩みました。

第13回『このミステリーがすごい!』大賞の授賞式のスピーチ

 出版社によって違いますが、基本的に書評家や新聞、雑誌など本を紹介してくれそうな所には、出版社から送ってくれます。まあどの程度まで送ってくれるかは差異(出版社の期待度とも言います)がありますが……。
 著者が送ることは、あまりありません。

 また家族や親族、友人にも配りますが、それは献本とは少し違うような気がします。まあ生存確認のようなものです!

 参考文献の著者には送った方がいいらしいと伺ったので、私のデビュー作『深山の桜』ではお三方にお送りしました。
『深山の桜』は、実はほとんど参考文献がありません。情報は公開されているウェブサイトから集めたものが多かったのです。

『深山の桜』の参考文献

『七四』の際には、5名の方にお送りしました。

『七四』の参考文献

 結局、他に知り合いもおらず、『深山の桜』の単行本の刊行時には、献本は参考文献の方だけに送ったという結果になりました。

 あ、ちなみに献本分は著者が買っています。新刊刊行時には、見本誌としてだいたい5部くらいはただでもらえるのですが、それ以外は自腹で購入することになります。
 ちなみに重版すると新しい刷りの分を1冊はもらえます。5回重版すると、初刷、2刷……5刷と5冊、刷り数が違うものが集まります。
 これが嬉しいんですよね!

 著者買取という仕組みがあり、作者は定価の八掛け程度(出版社によって違います)、かつ印税相殺(刊行から数か月後に振り込まれる印税分から、著者買取分を引いてくれます)で購入できるのです。

『七四』単行本は10部近くまだ余っております(泣)……。

『深山の桜』の文庫化(宝島社は早くて、約1年後です)の時や、『七四』の刊行時には、出版界に知り合いができました。他社の授賞式や贈呈式に参加していたので、多くの作家や編集者と名刺交換をしていました。

憧れの宮部みゆきさんとのツーショット!

 そこでまた違う献本の問題に直面しました。

 知り合いの作家や編集者に、献本すべきか否か?

 これは、作家によって考え方が全く違うと思います。また作品によっても当然変わると思いますが、私の出した結論は「献本しない」でした。

 何度も言いますが、そうでない方をどうこうという気持ちはありませんよ。作家の手法は作家それぞれなのですから……。

 まあメリットもデメリットも当然あるのですが、一番の決め手は、「あの人に送ってこの人には送らないの?」と言われる(思われる)のを避けたいからです。

 献本されたら人情としてSNSをやっていれば紹介せざるを得ないでしょう。そうすると貰わなかった方は、「何だよ、俺にはくれねーのかよ」となります。

 無限に献本できればいいのですが、まあそれはありません。また献本を頂くと、当然返礼としてこちらからも献本をしないわけにはいかなくなるので、ちと大変です。

 ということで、ヘタレな私は今のところ「献本しない派」です。

 将来的に作品や状況によって変わるかもしれませんが……。
 個人的に調べたところですが、この理由の方は多そうですよ。

 献本を頂いた場合は、直近(または次作)の著作をお返しするようにしております。

 また、作家への献本とは違うのですが、仕事をした&する予定のある編集者さんには献本しています。
「何だよ、それ、ヘタレやな~。日和りやがって」と言う声が聞こえてきますが、これは仕事上の付き合いとして、やはり自分を知ってほしいので、多少無理をしても献本しています。

 でも献本の話は悩ましい問題なんですよね。今の時代、著作が読まれることは奇跡です。やはり書いた物は読んでいただきたいし、広めてほしいと思います。
 献本がそのきっかけになるのであれば、投資と思うべきですよね……。

 何度も私は言っていますが、「認知の壁」って、むちゃくちゃ高いんですよ(写真はイメージ)。献本することにより、今までご縁のなかった方に届く可能性があると思うと、悩ましいですよね……。

 これは次回書く予定の「読書感想を呟くべきか呟かないべきか?」にも繋がる問題なので、うかつには断定できないのですが、ここで少しぶっちゃけました(笑)。

「作家のぶっちゃけ話」次回は、某作家さんから物言いがつきそうな「読書感想を呟くべきか呟かないべきか?」の予定です。

 ちなみに今回の話は、どなたにも含むものはございませんよ!

 ご期待ください!


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神家正成 (ミステリー作家、小説家)
第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞して自衛隊ミステリー『深山の桜』で作家デビューしました。 プロフィールはウェブサイトにてご確認ください。 https://kamiya-masanari.com/Profile.html 皆様のご声援が何よりも励みになります!