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紙すき寄席のこだわりを紹介します

カミスクでは、紙を面白く楽しく伝えていこうと、伝統芸能と、伝統産業・工芸を一緒に盛り上げることにも取り組んでいます。
そんな取り組みの1つ、紙すき寄席。先日、第二回目となる、紙すき寄席atかぞくのアトリエ(渋谷区2024.11.30)が開かれました。
当日の雰囲気と共に、とことん紙にこだわった会場づくりと、和紙に書く寄席文字のめくり、和紙の木戸銭チケットなど、私たちのこだわりをご紹介していきたいと思います。

落語は、笑福亭羽光さん。
ご自身が持つたくさんの引き出しの中から、こどもたちのリクエストに応えてくださいました。
こどもたちにも伝わるよう全力で取り組んでくださる姿、落語の迫力(身振りや声量など)は、きっと子どもたちの小さな体にもしっかりと響いていたのではないでしょうか。
トマトとイチゴの違いまで伝わる豊かな表現、秀逸でした!

紙切りは、はさみ屋紙太郎さん。
どんなリクエストにも、次々と応える巧みな芸に圧倒されました。
リクエストして作ってもらった作品がもらえるとあって、子供たちは必死です。「はい、はい。はーい!」と、大盛り上がりとなりました。
立ちながらの紙切り芸、舞い落ちる紙切りの破片もとても美しく、紙の楽しみ方を再発見しました。紙太郎さんは、私たちの思いを汲みとり、和紙を芸に取り込んで下さいました。
現在では紙切り芸人として活躍される方は十数人程度だとか。
素晴らしい芸が後世に引き継がれるよう、共に伝統文化の継承をしていけたらと思います。

紙すき寄席の空間は、出来る限り「紙」を活用しています。今回も、紙製の毛氈で高座を作り、紙提灯で会場作りをしました。
めくりは通常洋紙を使うことが多いのですが、紙すき寄席では、和紙でつくるのがこだわりです。
黒い墨をたっぷり吸い込み、繊細な和紙の表情に力強さが加わり、存在感を発揮しためくりが出来上がりました。
めくり台は、和紙の原料である楮の芯の部分(かじがら)を使って、組み立てています。

そしてさらに今回新たにこだわった一つ、木戸銭チケット。
かぞくのアトリエのモチーフとなっている丸三角四角の紙を漉き込み、家形をあしらい、オリジナルチケットをつくりました。
こちらは、いつも意欲的に和紙の可能性に取り組んでくださる、高知の紙すき職人田村寛さんと一緒に制作しました。
さまざまな思いが込められた和紙のチケット、この日の思い出と共に、皆さんの手元に末長く残りますように。

今回の寄席では、赤ちゃんの姿も多くみられました。お母さんやお父さんたちが心の底から笑っている姿をじっと覗き込んでいるのが印象的でした。
実は赤ちゃんには、周りの空気からさまざまなことを読み取る力があります。この日の温かな空気から、「楽しいな」「幸せだな」そんな気持ちを感じてくれたら、嬉しいです。
そして、大人も子どもも赤ちゃんも、みんなが笑顔を共有する空間に、そっと「紙」が寄り添えていたらいいな、、、そんなふうに感じた1日でした。

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