持久系スポーツのトレーニング原則①
トレーニング=刺激と適応
トレーニング、日本語で鍛錬。鍛錬を辞書で引くと「金属を火で熱し、また水に入れて打ちその密度を細かくし強くする」。トレーニングとは刀作りとイメージが似ている。丁度いい強さ、タイミングで継続して刺激を与えることで徐々に強くなっていく。刺激が強すぎると壊れてしまうし、弱すぎると強くならない。刺激とセットで意識をもっと向けないといけないのが適応。トレーニングセッション後に起こる身体が回復&強化されるプロセスのこと。刺激を与えると疲労によって一時的にパフォーマンスは低下する。しかし人間は素晴らしい能力を持っていて、次回は同じような刺激に耐えられるように体をより強化させよと身体を強化する。これにより一時的なパフォーマンスの低下とそれを上回る回復を繰り返しながらパフォーマンスは徐々に高まっていく。つまり実際にトレーニングの効果が得られるのはインターバルをやったその瞬間や直後ではなくその後の数時間〜数日にかけての適応期間である。この間にミトコンドリアが増えたり、筋繊維が太くなったり、毛細血管がより隅々まで伸びたりする。どれだけ良い練習をこなせたとしても適応がうまく起こらなければ成長しないどころか疲労によってパフォーマンスは低下してしまう。では適応を阻害する要因はどんなものがあるか。
強度の違いによるパフォーマンスの変化
緑のラインが理想の状態。適度な強度と回復期間でパフォーマンスの向上がもっとも効率的に起こっている。青のラインは刺激不足。強度が弱いので得られるトレーニング効果も小さい。余暇が目的だったり、オフ期間のトレーニングとしてはもちろん問題なし。赤がいちばん避けないといけないパターン。いわゆるオーバートレーニング。強度が高すぎるためダメージが大きく、中々パフォーマンスが回復してこない。刺激が強い分効果も大きいかと思うと、そうではない。身体の許容範囲を超えた刺激はもはや害でしかなくなんとか回復させるだけで精一杯。高強度練習やレースを頻繁に入れてこの状態が慢性的になると身体が適応を諦めてパフォーマンスは下へ下へと下がっていく。これがオーバートレーニング症候群。
オーバートレーニングの原因3つ
1.強度が高すぎる
元のパフォーマンスに戻るまで時間がかかりすぎてしまう。必要な休息が長いためトレーニング頻度も下がり、その間に筋力だったり心肺機能だったり使われてない機能は衰えていく。
2.適応期間が短い
たとえ練習強度が適切であったとしても適応期間が十分でなく、回復しきっていない状態で刺激を加えるとこれもやはりパフォーマンスは下向きに進んでいく。上のグラフの緑のラインだったとしても身体が適応するのを待たずに新たな刺激を入れるとやはりパフォーマンスは右下へ。
3.休養、栄養不足
適切な練習強度でセッション間に十分に適応期間を設けたとしても栄養不足、睡眠不足、精神的ストレスなど適応を阻害する要因があればパフォーマンスは上がらない。