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岸田文雄首相の自民党総裁選不出馬について、海外メディアの取材を受けました。

岸田文雄首相の自民党総裁選不出馬について、いくつかの海外メディアの取材を受けましたので、私のコメントの要旨をまとめます。

元々、岸田首相が次期総裁選に出馬する可能性は低いと思っていたので、今回の不出馬表明に驚きはない。

不出馬表明のタイミングも、総裁選が9月に行われることから逆算し、五輪終了後のお盆期間になるだろうというのは、想定の範囲内だった。

私の注目は、総裁選で岸田首相がどれくらいの影響力を行使できるのかだ。なぜなら、支持率の低迷の一方で、岸田首相による派閥の解消で、首相の権力自体は過去最大に強力になっているからだ。

90年代の小選挙区比例代表並立制の導入などの「政治改革」によって、首相の公認権、人事権、資金配分権は強くなった。

それを牽制する機能があったのが派閥だった。だが、その派閥のほとんどが解体されて、首相の権力の歯止めになるものが自民党内になくなった。

首相に造反する行為は、選挙での公認取り消し、内閣・党役員人事での冷遇など、厳しい処遇を受けることになる。首相の締め付けを乗り越えて、推薦人を集めて総裁選に立候補するのは、かなり難しくなる可能性がある。

総裁選までの焦点は、岸田首相の意に沿わない候補(今回であれば、高市早苗、石破茂、小泉進次郎、河野太郎など)の出馬を、首相がどの程度抑えることができるかだ。

推薦人に名を連ねようとする議員に、公認権や人事権を行使して妨害する。そして、首相がコントロールできる候補(例えば、上川陽子外相など)を当選させることができるか、そして当選後も前首相が強い影響力を維持できるかだ。

岸田首相は、旧統一教会の「政治と宗教」や、「裏金問題」の対応を批判されて支持率低下に悩まされた。だが、首相自身は安全保障政策や経済対策を着実に進めたと自負しているはずだ。自分はなにも悪くないと思っているだろう。

後継の首相には、政策を引き継いでもらおうと思っているだろうし、自らの影響力を維持したいと思っているはずだ。

だから、表面的には静かにしているだろうが、本音では、新首相は「岸田傀儡」となる人物をと思っているだろう。

岸田首相が主導した、派閥の解消の効果が、どのような形で現れるのかが興味深い。

だが、あきらかに「岸田傀儡」という候補者が出てきた時、どうなるだろうか。

現時点では総裁選出馬が取りざたされる候補は皆、20人の推薦人を集められるかどうかが不透明な状況だ。

「岸田傀儡」が勝利し、首相に造反とみなされた議員が冷遇される事態になると、自民党は暗い統制的な組織となる。だが、国民はそんな自民党を見放すかもしれない。

一方、困難を乗り越えて、さまざまな候補者が出てきて、多様性のある、自由闊達な議論ができるようなら、自民党の復活はあり得る。

なにより、次の首相は、過去にない強力な権力を持つ首相となる。もし、「反岸田」の候補者が当選した場合、人事や政策で、これまでの自民党政治を破壊するくらいのことはできる。

いずれにせよ、自民党の将来が見える総裁選になるのは間違いない。

岸田首相については、まだ書きたいことがいくつかあるのですが、今日のところはここまでとします。

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