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大学の授業は学生とともに創るもの

私が昨年、コロナ禍で大学教育の現場にいて、違和感を感じていたことは、ZOOMを使った遠隔授業などを大学の教員が必死にやり方を覚えてやっている、学生はそれを待っているという形になってしまっていたことです。

世の中も、大学に限らずですが、小中高も含めて、「学生、生徒に対して学校はなにを与えられるのか」という議論がほとんどだったと思います。

実際、大学の現場では、IT、テクノロジーに強くない高齢の教授が老眼鏡をかけて必死にZOOMとか教室のカメラとかのマニュアルを見ながら、必死にやり方を覚えようとしていました。学校は教員用の説明会を何度も開きました。

説明会で、職員さんが細かく作ったマニュアルを説明していると、もう来年定年退職だという教授がこう質問しました。「難しいマニュアルは理解できない。まず、ここを押す、次にここを押す、その次にここを押せば、カメラが動いて授業スタート、みたいな単純なマニュアルはありませんか?」と。

こんな状態の教授陣に対して、実はIT、テクノロジーのネイティブは若い世代です。新しい遠隔授業の開発は、彼らの能力、知識を生かせば、もっと簡単によりレベルの高いものができるのではないでしょうか。

僕は、IT、テクノロジーは得意ではありません。それでも、遠隔授業にはスムースに入れました。なぜなら、すでにゼミ生によって、10年前から遠隔授業を徐々に導入していたからです。

発端は、10年前、当時のゼミ長がハーレーダビットソンのような巨大なバイクで自損事故し、左足を骨折して入院。ところが病室から、パソコンを使ってゼミに参加してきたことです。僕は、どういう技術を使ったのか、当時全くわかりませんでした(笑)。とにもかくにも、ゼミ長は病室からプレゼンテーションをしたのです。このゼミ長、伝説的な女傑でした(笑)。

その後、ゼミでは交換留学中のゼミ生がドイツやカナダからゼミに参加したり、就職活動で実家に帰っていた学生が、1学期15回の授業にスカイプで出席したり、就活中の空き時間に大阪駅の待合室からゼミに参加したり、起業した学生が自分の事務所から参加したり、私はなにもわからないまま、学生がいろんなテクノロジーを覚えて、徐々に遠隔ゼミのスタイルが確立されていきました。

そして、2015年からは立命館OICキャンパスの文化祭Asia Weekで香港中文大学の学生とスカイプを使ったオンラインディベートを4年連続で行いました。留学なしの国際交流です。ここでは、大学の技術スタッフの協力を得ることで、学生はさらにノウハウを蓄積していきました。

その集大成が、コロナ禍直前に行った、香港民主化運動の周庭さんとのオンライン講演会、オンラインディベートでした。

これだけの経験を蓄積していたので、コロナ禍の遠隔授業には僕もゼミ生もスムースに入ることができたのです。

コロナ禍での大学も2年目に入りました。ただ、緊急避難的に遠隔授業を行うという発想を超えて、新しい大学を創るという気概を持って取り組むべきでしょう。そして、それは教授が学生になにを与えるのか、という発想を超えて、学生とともに、いや、学生主体で新しい大学を創るということが大事なのではないかと思います。

上久保ゼミの取り組みの詳細は、このページです。

現役ゼミ生が解説!『オンライン授業って一方的にしゃべってるだけじゃないの?』【"ハイブリッドゼミ"を目指して①】





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