見出し画像

紹介したいnote記事「絶望」

冬月剣太郎 猫詩人🐈さんの「絶望」という記事を紹介します。

彼女はいつも投げやりだった
わたしは作り笑いしながら
見守るしかなかった
彼女が自殺しようとしたときも
彼女が立ちなおろうとしたときも
わたしは見守ることしかできなかった
彼女の別れの言葉は
「あなたじゃなかったのよね」だった

あのとき
彼女は冷たい視線で微笑んだ
「あなたって絶望とは無縁なヒトね」
わたしは安易な絶望など絶対しないと心に決めていた
彼女と別れてから四十年経った
現在の彼女の趣味は乗馬だという
わたしに趣味などない
しいて言うならば
生きること自体が趣味である
彼女はいま幸せだと優しく微笑んだ
わたしは幸せだろうか
わたしは彼女と似たヒトと結婚した
わたしは病気ばかりしてきた
幸せかどうか
自分ではよくわからない
わかっているのは
わたしは絶望していないということだけ

絶望| 冬月剣太郎 ノラ猫詩人🐈

 表題は「絶望」です。この言葉は、詩の中で2回登場します。

「あなたって絶望とは無縁なヒトね」

 別れた彼女に言われた言葉です。この言葉を冷たい視線で微笑みながら言ったとありますが、何故彼女はこう言ったのでしょうか。

 絶望しない人だから「あなたじゃなかったのよね」と思ったのでしょうか。

「絶望」とは、「希望がすべて消えてしまった状態」をいいます。
まったく期待が持てなくなることです。

絶望した人は、周囲を見回す余裕を失います。
集中力が落ち、正しい判断を下せなくなります。

「愛する人との関係がうまくいかず、とうとう相手が去ってしまった。すっかり絶望的な気分だ」。
こんなときは、自分の心を守るために「あんな人、本気で好きだったわけじゃない」と否定する防衛機制が働きます。
恋人が自分のもとを去っていった事実を受け入れるのは、とてもつらいことだからです。

あまりにも深い絶望感に襲われた人は、自分を憎悪するようになります。
もっとひどくなると、自分で自分を殺すこともあります。

【精神科医が教える】「絶望した人」だけが持つ、凄まじいエネルギーとは?【書籍オンライン編集部セレクション】 | こころの葛藤はすべて私の味方だ。 | ダイヤモンド・オンライン

 「希望がすべて消えてしまった状態」って、大なり小なり誰でも経験しているような気がします。

 私の息子は大学受験の際に「ある学部」に進みたくて、いくつも受験しました。ところが全て不合格で、滑り止めに受験していた「別の学部」に進学しました。

 こういう事は他の人でもよくあります。第一志望に行く事は絶対に叶わず絶望だと言えるでしょう。気持ちはすぐに切り替えるでしょうが、少なくとも一瞬は絶望したはずです。

 高校野球経験者なら「甲子園」を目指して努力したでしょうが、ほとんどの選手は望みが叶わず絶望した事でしょう。他にも、アイドルになれなかったとか、劇の主役に選ばれなかったとかいろいろあるはず。

 冬月さんが望みを全て叶える人生だったのかはわかりませんが、何かあってもそんな素振りを見せない人なのかも知れません。

 「彼女が自殺しようとした」とありますから、彼女はかなりの絶望状態だったのでしょう。それで、挫折した事がないように見える冬月さんにイライラしたのかも知れません。

 彼女がどんな経験をして絶望したのかはわかりませんが、彼女の絶望と冬月さんは何の関係もないはず。それなのに、嫌味を言いたくなってしまったのでしょうかね。

「幸せかどうか自分ではよくわからない。わかっているのは、わたしは絶望していないということだけ」

 この言葉に、冬月さんの生き方が集約されているように思います。

いいなと思ったら応援しよう!

神野守
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!