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【書評】放課後子ども教室事業の現代的課題に関する一考察 -子どもの社会教育の視点から-

猿渡智衛・佐藤三三「放課後子ども教室事業の現代的課題に関する一考察
-子どもの社会教育の視点から」
担当:か

1.本書選択の理由
 これまで、学校を中心とした学習支援の役割と効果について研究してきた。例えば、学校や学習支援(例:放課後子供教室)により多様な教育機会を保障し、各々が情報共有等において連携強化をしていくといったことである。そして、今学期からは、学習支援の事例分析と先行研究分析を進め、教育課程等の制度についての研究も実施し、制度の在り方も見つめ直していきたい。

2.概要◆従来
・地域子ども教室(放課後子供教室): 放課後・週末等の子どもの活動を支援する学校外 教育としての意味合いが強い事業
・学童保育事業: 就労などによって保護者が放 課後に家庭に不在の留守家庭児を対象とした事業であり、家庭の代替機能が求められる事業
→目的は大きく異なっていた

◆変化
・両事業を一体的あるいは連携して実施
・教育委員会が主管部局となって、教育的要素を維持することが重要視された
・地域住民をスタッフとして積極的に活用するよう推進→新規に多様な活動場所が短期間 に提供(全国展開)

◆課題
・安全管理と居場所感とのバランス
・学校囲い込み現象
例)低学年:魅力的→子どもの生活が学校内で完結→地域に子どもの姿がより見られなくなってしまった
高学年:活動内容に限界→退屈→家に戻ってしまう
・スタッフのパート意識
・預ける意識の保護者の増加
本来子どもの自由な意思によって参加→保護者のニーズによって「参加させられている」子どもが存在→社会教育としての質を低下させる遠因となる

◆今後
①学校施設の恒久的な拠点化と学校教職員との連携の強化
②コーディネーターとしての地域住民の雇用促進と地域団体が主体となった事業運営
③保護者へ参加責任の意識化と運営への参画

3.感想・批判
 筆者は、放課後子どもプランの中で学童保育事業との一体的な実施がなされたことで、「学童保育の質の低下」と「社会教育事業としての質の低下」を引き越したと述べている。これまでの研究では、これらの一体化により両事業の連携強化が進み、早めに子どもの問題に対処できるといった効果のみしか考察していなかった。そのため、質の低下といった問題点や課題についても調べる必要がある。

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