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北辰テスト攻略:国語(読解概要)編


北辰テストの国語に必要な能力を大きく分類すると、
(1)速読力
(2)要約力
(3)知識
(4)その他(能力と言うよりも事前の対策・準備)
になる。これまで小中学校の国語で言い聞かされてきた「読解力」を上げるための読書や、授業を通じた「みんなで意見を出し合ってみよう」的な経験や体験を通じた独創性やマネジメント(リーダーシップ等)は、極論を言うとほぼ役に立たないと思っていい(出題形式としては、学校の授業で先生や級友と意見交換をする場面設定が、公立入試の大問②で出されることはあるが形式的で表面的な物じゃ)。

そして書店に行けば読解力を上げる(らしい)参考書や問題集が積みあがっておるが、北辰テストや埼玉県の公立受験の視点から言うと無駄なので「買わない」「やらない」でよい。

いきなり過激な決めつけからの導入で済まんが、こと北辰テストの国語に関しては、最初にこのくらいの強烈なマインド・チェンジをして勉強方針を立てないと、多くの時間を無駄にして結果が出ないことになる。その理由と効果的な対策について、以下に説明していこう。

(1)速読力

北辰テストの国語は埼玉県の公立入試と同じ50分間じゃ。慣れない生徒さんが解き始めると、十中八九、時間切れになるか最後の5分くらいで頭が真っ白になる。そう、埼玉県公立入試の国語は「時間との勝負」じゃ。主人公の気持ちになったり、筆者の仮説に思いを馳せるような時間は微塵もない。

はい。もう一度思い出して欲しい。学校の国語は、時間をかけて日本語を味わったり、多様な視点で意見を交換したり、多くの作品の複雑な表現や構造に触れるのが読解力に通じるから「本を読みましょう」という宗教のような流れになる。確かに、普段から本を読んでいる子の中には、速読力が身についていて試験の点数が高い子もおるじゃろう。しかし、普通の生徒さんは、ストレートに速読力を直接鍛えないと、試験時間としても受験準備期間としても「時間切れ」になるぞ。

では、速読力を鍛えるとは具体的には何をするのじゃろうか?斜めに読めんだり、目に入ったページを映像として記憶する天才のような能力を開花させるのじゃ!では怪しいハウツー本や機材の通販かスピ系になってしまうな( ´艸`)。速読力、それは本文から必要な部分を捉える能力。もっというと要約力になるのじゃ。

(2)要約力を鍛える

大問1の小説も、大問3の論説も、基本的には要約する意識で速読する点で、対策としては共通している。イメージとしては、こんな感じじゃ。

ひろし、中2、夏休み、陸上部、記録が伸びない、親友のたけし登場、そのひとことに怒り、家で考える、父の経験、たけしの言葉の裏に気づく、そして迎える記録会の日、結果はかわらなかったが、たけしの笑顔に、人として何かを得たひろし、風がさわやかに感じられた

これが要約じゃ。この要約の間には、20倍、30倍の日本語がある。綺麗な表現(主に修飾節)に目を奪われている時間はない。このくらいの、5W1H(What, Where, Who, When, Why & How)と呼ばれる情報をまずは読み取れれば良い。その上で、下線がひかれた各問題の前後や、少し離れた個所との因果関係(いわゆるフラグ回収)に時間を割けば良い。

ちなみに脱線情報じゃが、最後の「風がさわやかに感じられた」は「情景」といわれるものじゃが、この情景から登場人物の「心情」を読み替える(パラフレーズ)のが、実質的な読解力の大事な柱の一つになって来る。これについては長くなるので別の機会にしよう。

ではどうやって要約力を鍛えるか。これは埼玉県の過去問や北辰の過去問を、時間制限を課して解くのがベストじゃ。他の問題集や都道府県の過去問では出題形式が違うのであまり効果的ではない。そして時間じゃが、一般的には小説も論説も15分を目安にして欲しい。最終的には12分、13分を目標にして解かないと、作文・古文・大問2の小問もあるでな。

(3)知識

いきなり読書を否定したが、もちろん意味はある。受験というより人間としての厚みにつながる一般常識が増えるし、その中から自分の「好き」が見つかるかもしれんしな。そういう意味では、読書に限定せず、小さい頃から経験してきた旅行での出来事や、示唆のあるYoutube動画でも同じじゃ。

海外の空気を肌で感じた人と、知識で「アフリカには貧しい子供たちがたくさんいて」というのをうのみにするのでは、一つの文章に接した場合に、浮かんでくる情報量や情報の質が圧倒的に違うからな。そういう意味では2次元で知っているつもりになる体験は、タイパ的には良いのじゃが、まだまだデメリットも多いと、昭和脳の神は思うのじゃが、笑

いろいろな書籍や経験に触れている生徒さんは、短い時間で初見の小説や論説に触れた時、事前知識や理解力の速さと言う点で有利になることはある。ただし「わぁ!イルカの話。私イルカのこと知っている💓」となると、逆に先入観が入って危険なケースもあるでのう。これはケアレスミスを起こす一つのパターンなのじゃが「見たことある」「知ってる!」となった瞬間こそ、深呼吸して慎重に問題と向き合って欲しい。解きながら、落ち着いて「やっぱりね」とほくそ笑むくらいがベストじゃな。

とはいえ、中3の子羊さん達は、この忙しい1年で読書に費やせる時間は限られている。その時間は、過去問を解くことに費やして、そうした問題を通じて知識やパターンを身につけていけるとよいな。

(4)その他

今回は国語の読解のうち、概要に留めておる。細かく見ると、小説や論説でも対応が違うし、問題(選択問題、語句指定問題)によっても対策は変わって来る。また別の機会じゃな。それから古文や作文もあるな。

国語は選択問題がないので、全員がうけることになる。北辰テストの場合は、上位校の受験者であれば90点前後を狙って欲しいが、意外に難問が多い。とくに小説の最後の2問や、論説の内容に関しては県の過去問で「超難問」と呼べるレベル題材(哲学分野)が出されていることもある。したがって運悪く難問にあたることもあるので、頭が真っ白になりつつも「これは他のみんなもやばいぞ」と冷静になって、取れるべき問題を取って欲しい。

もし余裕があったら解いてみて欲しいのじゃが、大学入試共通テストの国語の現代文は、内容だけ見ると埼玉県の国語よりも読みやすく、中学生でも普通に7割くらい取れしまうからのう。

ということで結論としては、読解力=要約力だということ。そして、問題を解く際には時間を測りながら、時間のプレッシャーの中で速読できる感覚を鍛えていくこと。そのための教材は北辰や県の過去問。もし、題材が無くなっても市販の読解力を上げる問題集には頼らず、少しでも埼玉県に毛色の似た出題をしている他の都道府県の過去問をWEBで探して取り組んでみてはと思う。もちろん、塾に通っている生徒さんは、塾の教材が埼玉県の公立に対応していれば、それを使っても良い。気を付けて欲しいのは、埼玉県に特化せず、一般論で読解力を上げようとする塾の場合には、自分で対策を打たないと点は上がらない。その意味では学校の授業も、公立受験のみに限って言えば、あまり役に立たんからな。

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