伝書鳩パーティ(#毎週ショートショートnote)
「“平和の象徴”なんて呼ばれるようになってから、若い奴らの帰巣本能が年々低下しているよな」
「俺らなんか、届けるか死ぬかの世界を生きてきたからな、先の戦争では多くの戦友を亡くしたな」
「若い奴らは人間からエサもらって、公園でポッポー、ポッポー鳴いてるだけ、戦争があったことや我々が戦ったことも知らない」
伝書鳩たちは口々に最近のハトたちの平和ボケした生きざまについて愚痴っていた。ここは由緒正しい伝書鳩のみが集まる伝書鳩パーティだ。みんなまだ現役で伝書鳩の役目を果たすことができるが、通信手段や交通の発達により、伝書鳩は世界的にその役目を終えていた。全員が時代の変化に対応できず、高い能力を持て余していた。
突然、会場の扉が開き、足環をつけた若いハトが現れた
「来年からハトの大会が開催されます。沢山のレース鳩の力が必要なんです」
「俺らはレース鳩じゃない、伝書鳩だ」
「先輩達の帰巣本能が必要なんです、お願いします」
「1回だけだぞ」
話す言葉とは裏腹に伝書鳩達の目は輝いていた。