カミングアウトコンビニ（＃毎週ショートショートnote）

ずっと流されてきた。
小学生時代の万引き、中学校に入ったら、カツアゲや原チャリ、高校にはいかず、暴走族。お決まりのコースだ。これで本当によかったのか、たまに真剣に考える。

今日も先輩から明日まで100万円用意しろと言われている。訳が分からないが、言うことを聞くしかない。でも、5万円足りない。どうして集めよう。バイクで走りながら考えた。
 
そんな時、1軒のコンビニを見つけた。大手のチェーンではなさそうだ。よく見るとこんな夜中なのに店番はばあさん一人。チャンスだ。バイクを止めて中に入る。店の中は駄菓子ばかりでちっともコンビニっぽくない。
 
「ばあさん、金出せ！」
オレはナイフを出した。
「いくらでも持っていきな、小学生の頃、お前は昔お菓子を沢山持って行っただろう。かまわないよ、でも本当にそんな事をしたいのかい？」
そこは、小学生の頃毎日のようにお菓子を万引きしていた駄菓子屋だった。
 
 
 
 
 
「違う。自分で考えてまっとうに生きていきたい」
「じゃ、そうしな。やっと本音をカミングアウトできたね。」