人にやさしい心があるように、犬にも人間に近い感情がある。これは、犬が人間とともに生きてきた歴史の中で、他の動物には見られない認知能力の進化を遂げたという研究結果からも明らか。
しかし、犬を飼ったことがある人にはそんな研究結果など聞かずとも、意思疎通が普通にできていると思っている人のほうが多いのではないだろうか。
従順でお茶目でやさしい。昔飼っていた犬も、今現在一緒に暮らしている犬も。それぞれが違った個性で、人間とともにコミュニケーションを取って暮らしている。なんと愛おしいことだろうか。
そういう犬との暮らしを綴ったのが、今回紹介の作品。
犬は家族に序列をつけるというのは昔の話で、実は犬との信頼関係によって犬は態度を変えているらしい。いつも散歩とエサをくれる人は信頼が厚い、というわけだ。犬同士の社会でもそれはちゃんと決まっており、人間との家族の中でも信頼の厚さで関係がおのずと決まって来る。
作者が小さい頃、何度も追い回したのに吠えなかった犬。そこには厚い信頼関係が構築されていたのだ。
吠えたことのない心やさしい犬が、作者のピンチの場面で思わず「ワン!」と大きな声で吠えた姿を思い浮かべると胸が熱くなる。本当は尻尾を巻いて逃げたいくらい怖かったかもしれない。けれど、窮地に立たされている作者を守るために意を決して吠えた。
これは間違いなく「愛」であり、作者を必死に守ろうとした行動。みえない絆がそこには確かにあった。
次に会えるのはきっと虹の橋。ふたりが久しぶりに再会している姿を思い浮かべながら胸を熱くした作品。
このブログでは、「あの人との、ひとり言」コンクールの入賞作品の中からランダムにチョイスした名作たちを紹介して参ります。作者の心情に寄り添ったり、自分もこういうことがあったなと思い出を探してみたり、コンクール応募のきっかけにもなれば幸いです。
ステキな作品に、どうぞ出会ってください。