「定年したら何しようかな…」
「腹を割って話せる友達なんて、もうこの歳になるといないよな…」
アラフィフ、アラカンの男性がよく口にするこのセリフ。当てはまる方は結構多いと聞く。
家族のために一生懸命に働き続け、いつの間にか定年間近。これといった趣味もなく、飲みに行くプライベートの友達もいない、ということにあらためて気づく。さてどうしたものか。
新たな趣味を見つけ、その趣味を通して仲間ができたり。バイクの免許を取ってバイク旅をするなどひとりで完結する趣味もまたよし。
歳を重ねて分かるのは、人とのご縁の大切さ。孤独になるか否かは、自分自身の行動範囲によるものかもしれないが、ご縁もまた大きな要因。
ご縁がある方とは、不思議とつながる。ひょんなところからご縁がつながる。一旦離れてしまっても、ご縁がある限りいつかはまたつながる。
作品の手を合わせるお相手を見ると「共同経営をした親友」とある。ともに苦楽を共にした、いわば戦友だ。そんなお二人が、還暦を過ぎたころから月に一度、少し贅沢な食事会をしていた。
美味しいものを食べながら、これまでの苦労を笑い話に変えて懐かしんだり、これから迎える老後の話をしていた様子を思い浮かべる。
古希になる前だから、二人の食事会は10年も続かなかった。けれどその時間は濃密だったことが分かる。
月に一度、美味しいものに舌鼓を打ちながら弾む会話。さぞかし楽しいひとときだったのだろうと想像する。食事会が終わる頃には、次は何を食べようかという話題になっていたのかもしれない。この日のために美味しいお店を探すのも、日々の張り合いになっていたのかもしれない。
再会して笑い合っているお二人の笑顔が見えた。
このブログでは、「あの人との、ひとり言」コンクールの入賞作品の中からランダムにチョイスした名作たちを紹介して参ります。作者の心情に寄り添ったり、自分もこういうことがあったなと思い出を探してみたり、コンクール応募のきっかけにもなれば幸いです。
ステキな作品に、どうぞ出会ってください。