年を重ねるにつれ、友人を作る機会は少なくなっていく。知り合いはできても、友人となるとその壁は結構高い。ましてや、親友となるとさらに。
会ったばかりの人に「今日から親友ね」と言われても困るし、長年付き合いがある人から「よく考えたらあなたは私の親友だわ」と一方的に言われても目を泳がせてしまう。
親友はつまり、一方通行では成り立たない友情。お互いがお互いのことを「なんでも話せて唯一心を許せる友」と認め合っている仲、とでも言おうか。
親友がいるということは、人生を歩む心強さが増すということ。いない場合と比較すると心強さは、数値に置き換えてみれば150%以上となるのではないか。場合によっては200%超えということもおおいにありえる。
ひとりじゃないということが、どれほど心強いか。家族以外で頼れる人がいるということがもたらす心の安定は計り知れない。
思春期に入った息子さんがお母さんである作者に「親友」の話をするたびに、今は会えなくなってしまった親友のことを思い出すのでしょう。思い出の中では笑顔で昔のように話している親友。だから、息子さんに
こんなことがあってね、そのときに笑っちゃってね、ふたりでよくこんなこと話してたのよ―—。
まるでつい最近のことのように話しているのでしょう。それは気休めではなく、作者にとっての親友は後にも先にも彼女だけ。このことは揺るがない事実であり、この先もずっと続いていくこと。
きっと事あるごとに相談もするし、報告もするし、同じ景色を見てはキレイだねとつぶやく。親友は、会える人に限るというただし書きはない。心を許してなんでも話せる人が親友。作者にとってはこの先ずっと、親友はまあたんだけ。
このブログでは、「あの人との、ひとり言」コンクールの入賞作品の中からランダムにチョイスした名作たちを紹介して参ります。作者の心情に寄り添ったり、自分もこういうことがあったなと思い出を探してみたり、コンクール応募のきっかけにもなれば幸いです。
ステキな作品に、どうぞ出会ってください。