近ごろは大勢が参加する飲み会を敬遠する人も多いと聞く。特に若い年代でその傾向はよくみられるのかもしれない……。大宴会で思い浮かぶのは「THE 昭和」の風景。サラリーマンが頭にネクタイを巻き、踊り狂う阿鼻叫喚の世界。平成生まれのZ世代には到底受け入れられない光景かもしれない。
しかし、だ。参加している人々の趣味嗜好の最大公約数を求めて幹事が奮起したとて、みんなが「面白い」と感じてもらえる飲み会が、どうすれば実現できるのだろうか。
まず、幹事になる人がいない。今の世の中、幹事に率先して手を挙げる人は稀である。幹事に仕方なく就任したとして、ただ無難な店を選んでみんなから会費を徴収するのが関の山。
そこに、エンターテインメントの要素は一切加味されず「〇時まで飲み放題です」とだけ告げて、あとはそれぞれ好きなように飲んで話してくださいの120分フリースタイル。
つまり、この作品に描かれている作者の会社の先輩はまぎれもなく「宴会のスター」だったことが分かる。
ともすれば、冷ややかな視線を集めてしまいかねない「陽気な歌声」。
それでも気にせず「陽気なダンス」。
みんなが思わず笑顔になってノリノリになり、いつの間にか会場から一体感が生まれる「陽気なキャラクター」。
そう。まさに、宴会のスター。
前段で書いたように、飲み会をひとつ開催するにも大変なご時世。様々な注意事項が網の目のように張り巡らされ、それらをかいくぐって皆を楽しませることができるのは、きっと選ばれし者だけ。
選ばれし者だけが知る「影の苦労」を知ることとなった作者は、酒を飲むたびに思い知っているのだろう。先輩がいかにスターであったかを。
にぎやかな笑い声が遠くに聞こえてくる気がする。宴会のスターの笑顔とともに。
このブログでは、「あの人との、ひとり言」コンクールの入賞作品の中からランダムにチョイスした名作たちを紹介して参ります。作者の心情に寄り添ったり、自分もこういうことがあったなと思い出を探してみたり、コンクール応募のきっかけにもなれば幸いです。
ステキな作品に、どうぞ出会ってください。