美しい日本語に出会った話
わが家の長男はとても華やかな顔立ちをしている。
濃くも薄くもない凛々しい眉毛に、まるでまつ毛エクステのようなふさふさで長くカールしたまつ毛。幅広のくっきり二重に、すっとした鼻筋。
親バカだと言われても仕方ないが、実際、長男と出掛けると、老若男女問わず振り返り、声をかけてくださることが本当に多いと感じる。
ある日、ベビーカーへ乗せた長男と、街の中心部へ買い物に出かけた。
この日も何人もの人々が長男を見て声をかけてくださり、ご機嫌な私が帰りの駅のホームに立っていた。
そこへ一人のご婦人がいらした。
「赤ちゃんかしら?」
「はい、ご覧になりますか?」
私は、ベビーカーのサンキャノピーを開いた。
「んまぁ、玉のような男の子ね!」
"まんが日本昔ばなし"でこそよくあるが、現実の世界では一度たりとも聞いたことのないこの表現に、私は驚くとともに嬉しくなった。
「ありがとうございます。」
反射的にお礼の言葉が口をついて出た。
なぜなら、私が幼いころに毎週のように見ていたあの"まんが日本昔ばなし"から、この言葉こそが最高の誉め言葉だと瞬時に感じとったからだ。
今どきの言葉は、略語や和製外来語によりテンポが良く、ニュアンスで感じ取れる便利なものが多い。
一方、古めかしい表現は、ちょっと回りくどかったりするのだが、日本古来からの奥ゆかしさが感じられ、また、その言葉の直接的な意味のみならず、言葉が生まれた背景などの様々な意味がこめられたものが多い印象だ。
しかし、だからこそ、この令和の時代にここぞとばかりに使いたい、映えるフレーズではなかろうか。
私もいつか、あのご婦人のような気品を纏ったのちに、ここぞという場面で使ってみたい。
そう。まだ"まんが日本昔ばなし"をご存じない方がいらっしゃるとしたならば、是非ともご覧いただきたい。
今回のお話は、とあるご婦人からいただいたお言葉が、あまりにも美しく、魅力的であったことから、こちらを私の赤ちゃん誉め言葉の最終兵器にしたいと思ったお話でした。
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