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遠視メガネの小デブでちょい色黒のちょいロン毛天パ。が人生で本当に大切な事に気づき始めている。
なんと男にモテ始めている実感がある。
工場初早番ウィークも折り返しを迎え、良い感じに身体がバキバキになってきた。
今日で群馬に来て2週間。
群馬に来てからは仕事中ずっとメガネをしている。
このメガネのというのが、目が大きくなるレンズが分厚い、いわゆるケント・デリカットのやつで近くのものが見えにくい遠視の人用。
普段は全然付けなくても生活できるのだが、工場の細かい作業も多いし、なんといっても男だらけだし何も気にせずいこう、と2週間前の研修中からずっとこのスタイル。
遠視メガネの小デブでちょい色黒のちょいロン毛天パ。
そんな見た目のやつに訓練を指導してくれる歳下の先輩はよく質問してくる。
亀山さん、東京で何やってたんですか
ー浅草で人力車やってた
やば、英語とかペラペラですか
ー英語と中国語はまあまあいけるで
なんで京都で人力車やらなかったんですか
ー東京で俳優として一旗上げようと思っててのアルバイトやってん
聞かれると聞かれるほど全てに対して相手をそそるアンサーはあるし、東京の女性の話もたくさんある。
そんなよくわからないアラサーのやつがにズドンと休憩中に読書してても、周りは自然と寄ってきては質問する。
仕事覚えも割と良く、人力車稼業の足腰が効いていて、車の乗り降りするタフな工程も自分でもビックリするほど意外とこなせている。
こうなると新人だろうが、全く気を遣わずにいれ、なんだったら歳下の先輩達が知らぬ間に率先して記入しなくてはいけないものとかもやってくれている現状。
そしてなによりも一番言われて嬉しい言葉がある。
「亀山さん、面白い。」
大阪で生まれ、イキってはいるものの面白くない自分に高校生くらいから気付き始めていた。
ワイワイするグループにいたが、ボケもツッコミもできない自分はなんとなくここにいても良いのだろうか、までは思わないまでも、要所要所で気を遣われているようなシーンも今になってみると多かったように思う。
「亀山は大丈夫やから。」
よくこの言葉を言われて不思議と当時は何も思わなかったが、今考えると確実に気を遣われている。
そして逃げるように東京に出てきたものの状況は変わらず、周りにたくさん面白い人はいても自分はそんな存在になれることなんて思っていなかったし、全く眼中になかった。
高校、大学、東京俳優時代、約10年、そんなステージに立ったことはなかった。
メガネ歴史としては、幼少期から目が悪く、常に牛乳瓶の底のようなレンズのメガネをかけていた。
中学もずっとかけていて、高校入学前にメガネを外してみると意外と見えるし、なんといっても意外と顔が整っている自分に気付き始めた。(その勘違いで突っ走る東京俳優への道、はまたする)。
何故か女子がキラキラした目で自分を見ているような錯覚が気持ちよく、思う存分酔ってみた、10年間の泥酔期間。
高校生イキりスタートから10年の泥酔期間を終え、ようやくほろ酔い程度になってきたのではと思える。
10年間たくさんの女性を捨ては捨てられ、色んな経験してきたこんな自分にも、しぶとくいつまでも待ってくれている男の友情というものが全国各地で待っているのかもしれないと気付き始めた。
Bros before Hoes
ー女以上に友達を大事にする