地震は太平洋側で起きやすい!?気象庁のデータからひもとく地震発生のメカニズム🔍
最近「南海トラフ地震」というワードがニュースで取り上げられる頻度が高くなり、はるか遠く北海道に住んでいるにもかかわらず、不安が首をもたげてきます😔
南海トラフ地震の話を聞くたびに、胸の中に重たい不安が広がってしまうのです。まあ、私は心配性なところがあるから仕方ないんですけどね😅地震って、どうしようもない自然現象だってわかってはいるんですけど、やっぱり怖いものは怖いですよね😱
一級建築士として、耐震・制振・免振構造について学んできているのですが、学べば学ぶほど「限界」というものが見えてしまいます。特に、南海トラフ地震みたいな巨大な地震が来たら、どうなってしまうのだろうって思うと、夜中に目が覚めることもあるくらいです💦
だからこそ、少しでも安心できるように、地震がどうやって起きるのか、そのメカニズムをしっかりと理解することが必要なのです💡
そうすることでハード対策の限界と個々がとるべきソフト対策が見えてきて、地に足の着いた安心感を得ることができるのです。
私たちの生活を守るために、そして少しでも安心して暮らせるように、一緒に地震について学んでみませんか❓
❶地震とは
地球の表面を覆っているプレートは動いており、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいるため、ひずみが生じます。 このひずみが解放されることによって起こる振動が「地震」です。
日本で地震が多発するのは、日本列島周辺が、ユーラシアプレートと北米プレートという2つの大陸プレート、フィリピン海プレートと太平洋プレートという2つの海洋プレートがひしめくプレートの境界部に位置しているからです。
「震度」は、地震時のある場所の揺れの大きさを表します。
「マグニチュード」は、地震のエネルギーの大きさを表し、マグニチュードの数値が 1増えると、地震のエネルギーは 約32倍、2増えると、地震のエネルギーは1000倍になります。
日本付近で起きる地震は、発生するメカニズムによって「海溝型地震」「活断層型地震」「火山性地震」の大きく3種類あります。
①−1海溝型地震とは
日本の周辺には、太平洋プレートの沈み込みに伴って形成された日本海溝、千島海溝、伊豆・小笠原海溝や、フィリピン海プレートの沈み込みに伴って形成された南西諸島海溝、南海トラフ、相模トラフなどがあります。
海洋プレートの沈み込みに大陸プレートが引き込まれ、ひずみが生じます。ひずみが限界まで蓄積されると解放され、この時に地震が発生します。
海底で大きな地震が起きると、海底で隆起や沈降などの地殻変動が起き、変動に伴い海水が持ち上げられるか、引き下げられます。この海水の変動が津波となります。海溝型地震が津波を伴いやすいのはこのためです。
海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む箇所は「海溝」と呼ばれ、水深6000m以上の深海底にある細長い溝上の地形です。
「トラフ」というのは海溝の一種で、海溝よりも浅く幅が広い海底の溝状の地形を指す言葉です。船底のような形状から、舟状海盆とも呼ばれます。英単語の「trough(トラフ)」は、谷、溝、細長いおけ、などを意味する言葉です。
太平洋側には日本列島に沿って海溝が形成されているため、太平洋側は地震が起きる可能性が高い、と考えることもできます。
①−2活断層型地震とは
活断層型地震は大陸プレート内部での断層運動により発生する地震です。
大陸プレートは海溝で海洋プレートにぶつかるため圧縮力がかかります。圧縮力により生じたひずみが限界に達すると、活断層などの弱い部分で割れて地面がずれます。この時、力が解放されて地震が起こります。
板チョコに力を加えると溝でパキっと割れますよね。同じイメージで、一度断層ができたところはまたそこで力が解放されやすく、地震が起こりやすくなります。
ただし、発生間隔は数千年程度で、数百年間隔で発生する海溝型地震に比べて間隔が長いという特徴があります。
海洋プレート内でも同様に、断層運動により地震が発生することがあります。陸地で起こる活断層型地震と区別して「海洋プレート内地震」と呼ばれます。海底での地殻変動により津波を伴う場合があります。
①−3火山性地震とは
火山性地震とは、火山活動において、地下に溜まったマグマが地面を押し分けて破壊しながら上昇してくるときに起こる地震です。
マグマの粘り気が強い場合に地震が起こりやすく、噴火を知らせる前兆現象として考えられています。
私が住んでいる洞爺湖町にある有珠山は、噴火の前に有感の火山性地震を起こし、噴火が近いことを知らせてくれます。
(➡️詳しくは、前回の記事で)
なお、「火山性微動」とは火山性地震とは異なるもので、振動が数十秒から数分、時には何時間も継続する、始まりと終わりがはっきりしない振動の総称で、地下のマグマやガス、熱水などの流体の移動や振動が原因と考えられています。
❷地震は予測できるのか
どの地震もプレートテクトニクスが要因であり、ひずみやマグマが溜まれば地震が起こる確率は上がります。また、海溝付近や既存の活断層、活火山など、地震が起こりやすい場所もある程度明確になっています。
しかしながら、ひずみやマグマが溜まって地震が起こるのは、地球という長大なタイムスパンにおける話であり、人間のタイムスパンはその中の点に過ぎず、人間が行う地震の発生確率計算は、予測と呼べるか定かではありません。
また、地下に隠れていて地表に現れていない活断層もたくさんあり、現在は活発な火山活動が見られない火山において活動が再会するなどの可能性も有ります。
残念ながら、生きて活動を続けている地球の上に、絶対に安全な場所はありません😭
でも、地球が生きているからこそ、美しくダイナミックな自然現象と出会うことができるのですね🌏✨
❸南海トラフの現状
駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海トラフ」といいます。
この南海トラフ沿いのプレート境界では、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、海溝型地震が発生します。これが南海トラフ地震です。
海溝型地震のため、津波が発生する可能性も考えられます。
南海トラフ地震は、概ね100~150年間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから70年以上が経過した現在では次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。
南海トラフ地震の想定震源域である四国や紀伊半島では年間4cm程度のひずみが溜まり続けているとみられ、毎年このペースでひずみが溜まっているとすると、既に大きな地震を引き起こすエネルギーがあると考えられています。
南海トラフ地震は過去の事例から、その発生過程に多様性があることがわかっています。広い領域で同時に地震が発生したケースや、隣接する領域でマグニチュード8クラスの大規模地震が続発したケースがあります。
宝永地震(1707年):駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生
安政東海地震(1854年):32時間後に安政南海地震(1854年)が発生
昭和東南海地震(1944年):2年後に昭和南海地震(1946年)が発生
❹事前準備と対策
地理的特徴から、日本においてはどこであっても地震による災害を避けることは難しいと言えます。しかし、リスクを正しく理解して事前の準備と対策を行うことにより、不安を和らげ安心して生活することができます。
【現在の住まいでできる準備】
住んでいる地域に大きな被害をもたらす可能性のある地震について知る。
都道府県などが公表している想定地震や被害想定の資料を参考にしましょう。
例)北海道 地震被害想定等調査結果報告書(胆振地域)災害発生時のタイムラインを作成する(避難場所も確認)。
便利なアプリを活用しましょう。
Yahoo!防災速報建物の耐震診断や補強、家具の固定を行う。
市町村や都道府県が補助を行っている場合がありますので、チェックしてみましょう。
例)北海道胆振振興局 木造戸建て住宅 無料耐震診断
例)洞爺湖町商工会 住宅等リフォーム・住環境支援事業災害用備蓄用品や備蓄食をローリングストックする
避難用リュックを準備する
【新たな住まいを検討する際の事前準備】
住んでいる地域に大きな被害をもたらす可能性のある地震について知る
災害発生時のタイムラインを作成する(避難場所も確認)
土地の履歴を知る(過去にどのような使われ方をしていたか。例えば水田であれば家を建てるには地耐力が不足している可能性がある)
住宅を新築する場合は、地盤に十分な地耐力があるか調査する。必要に応じ地盤改良などを検討する。
想定される地震に対し倒壊しない強度のある構造とする。必要に応じ、制振、免震構造を検討する。
❺未知の災害に対してコツコツ備える
ある程度の予測ができたとしても、残念ながら絶対に安全な居住地はありません。
今ある情報を正しく理解し、できる準備と対策を行うことで安心して生活しましょう✨
📚参考ウェブサイト
気象庁
政府 地震調査研究推進本部
国土地理院
地震ハザードステーション