「人間椅子」はなぜ怖いのか?
「人間椅子」を読むとゾッとする。
何回読んでも、結末を知っていても、
ゾッとしてしまうのである。
いつもなんでこんなに
怖いのだろうかと思う。
ある日、
家にある
大好きな映画のE.T.の巨大ぬいぐるみ
(首が伸びたり、縮んだりする)
を見ていてはっとした。
人間椅子が怖いのは
物体をめでるという
気持ちが皆、理解できるからではないか。
(※めでる :
その可愛さに惚れ惚れしながら大切にすること)
「奥様」はとても教養ある女性で
美しいものを感じることのできる人である。
「奥様」が「人間椅子」を
美しい居心地のいい椅子として
純粋な気持ちで、愛用し、
めでていたのではないかと確信してしまう。
「ありえない」と「あるかもしれない」
の境界線を描く乱歩の世界。
さらに、色彩鮮やかで、描写も細かく
映像にしやすい作風で
脳みそシアターが開場する。
読書で心をもてあそばれる
そんな純粋な心を
持ち続けたいなと思うこのごろである。
#江戸川乱歩