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2025年初庚申は2月19日20日。19日宵庚申には、護摩木を書く方で賑わいます。20日お昼に柴灯護摩の盛大な祈祷をなさいます。タワマンの新住人は火事だと驚かれる。


四天王寺庚申堂は
70年万博の仏教館。
太陽塔と並ぶ万博遺産。

郷にいりてクレームを言う。


柴灯護摩(さいとうごま)は、屋外で盛大に燃やす、護摩木法要です。

四天王寺では、庚申堂の初庚申で必ずおこなわれます。

大都会の真ん中で、こんなことをするのは、普通許されません。しかし、庚申信仰発祥の地と伝わる四天王寺さん、伝統文化として欠かせません。地元の人たちも、誇りをもって煙を見上げます。


庚申堂は、南大門から少し離れた飛び地にあり、南大門から庚申堂を通り、一旦JR天王寺駅で途切れますが、吉野大峰山へ続く道を、庚申街道、といいます。

庚申堂から南大門へ向かうと、正面に五重塔が青空を背景に屹立していました。

ところが、背後に高層マンションが立ち、五重塔がマンションに埋もれて!みじめな光景になりました。

かって、ラフガディオ・ハーンが、亀井水の庶民の祈りに感嘆し、オオサカシティの世界にもまれな宗教文化の偉大さを証言したあと、おそらく湊町(JRなんば)あたりから、夕日にかがやく四天王寺五重塔を車窓から認めた、ランドマークとしての役割は、もはやありません。

四天王寺周辺は、歴史風致地域として、高層建築は規制されるべきだと、思います。


で、高層マンションの新住民から、庚申堂の柴灯護摩の煙を見て、消防署に通報がある。最初は、消防車が繰り出す騒ぎになりました。


それは、それで笑い話で終わりました。


新住民のクレームで、実質的な中止に追い込まれたのが、支院の勝鬘院(しょうまんいん)の愛染祭りです。

夜おそくまで騒ぐ若者たちが、危険で迷惑だと、祭りの中止を、マンション住民が求めた。

愛染祭りは、大阪の夏祭りの始まりを告げる、由緒深いお祭りです。何百年続いたお祭りが、住民のクレームで中止に追い込まれる。


郷にいりて郷にしたがえ。

因習に、同調せよというのではありません。

1400年の歴史ある寺院の、医療福祉の歴史を伝える社会の遺産で維持されてきた、お祭りをいとも簡単に中止させる。

たしかに、一部のテキヤにはた迷惑な行為があったかもしれません。

住民にとり、四天王寺は街の誇りではなくなった。


そして、二度までも、大阪市そのものを廃止する、住民投票が強いられた。

大阪市だけの、悲劇ではないかもしれません。日本全体が、郷、としての力を失いつつあるのかもしれません。


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