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亀井堂の異色の馬頭観音様
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亀井堂、特に馬頭観音について。
亀井水の亀形水盤はいつもご覧いただいてます。亀井堂の全体像を説明していなかったかもしれません。
🐢🐉🐍
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亀井堂の南側で、日本文化研究家Rheeさんとみなみ。
亀井堂の右の青い格子の中には馬頭観音がいらっしゃいます。
亀井堂はご覧のように、開放的で、お堂というより、通路になっています。知らないかたは、上ばかり見て、足下の亀井水に気が付かず通過してしまいます。
お堂のなかで立ち止まり、この写真の左手を見れば、地下に亀井水があり、正面上のお堂には木像地蔵菩薩がご本尊としておられます。
そして振り向けば、中央に聖徳太子の楊枝御影(亀井水の影向井の水に映したお顔を描かれた自画像と伝わる)の魂を祀る逗子があります。
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その左に、石像地蔵菩薩。戦後再建の折、大阪府知事と大阪市長が寄進された、昭和20年の空襲の犠牲者を供養する平和地蔵です。
右、つまりこの写真の格子のすぐ内に、穏やかで悲しみをたたえた、石像馬頭観音がおられます。
穏やかな馬頭観音は珍しい。さらに珍しいのは、頭に載せておられるのが、牛の顔なのです。
あえていえば、例のない牛頭観音です。
人間は限りない家畜の命を犠牲にして、生きなければならない。その人間が、戦争という殺戮を繰り返す。なんというおごり、傲慢、愚かさであろう。家畜たちは好んで人間に命を差し出しているのではない。
靜泌ななかに憤怒を秘めた観音様です。
戦後、亀井堂再建にあたり、いかに深い思いがこめられたか、一対の石像菩薩が表し、伝えてくれます。
どうか亀井堂を通り抜けるとき亀井水はじめ、そのわずかな空間にこめられた祈りのふかさを感じてください。