四天王寺秘仏試みの観音
見出し写真は金堂の救世観音
金堂にいらっしゃる、四天王寺全体の御本尊である、救世観音様を造像するために、試みに造られた小像とみなされている。
七世紀末頃の作品で、半跏思惟像は、本来弥勒菩薩のお姿である。
金堂に、御本尊として弥勒菩薩をお祀りしたのは、天智天皇であったと伝わる。
663年白村江で唐・新羅連合軍に大敗を喫した天智天皇は、唐の強大な海軍の侵略を恐れ、四天王寺の四天王を西向き一列に並び替え、弥勒菩薩を寄進したという。
その弥勒菩薩が、いつしか、聖徳太子の本地仏である救世観音とみなされるようになる。
したがって、この弥勒菩薩像も救世観音とされ、御本尊造像のための、試みの観音様と信仰されるようになった。
秘仏であるが、8月9日10日のみ開扉される。四天王寺では、この両日を、観音様の千日分の功徳がいただける、千日詣りとされている。
千日詣りの信仰は、地域、寺社により、様々な日が決められている。観音信仰では、江戸の浅草寺、京の清水寺、神社では京の愛宕神社などが有名である。
以前は六時礼賛堂に安置されていたが、今は、聖徳太子の本地仏として、太子殿に遷座されている。