マーケターの理性と感性のあいだ ~プロフェッショナルを目指すための社長講義記録まとめ⑧
今日もわたしたちが所属している、トライバルメディアハウス社長池田(@ikedanoriyuki)の社内講義記録をあくせくまとめます。
不定期更新なので、また少しお久しぶりです。
本日のテーマは「コミュニケーション戦略」。
情報爆発が人にもたらしたもの
絶対的な価値観(普遍的で、周囲がみんなそうだと信じているもの)が崩壊した。あらゆる面で他人と自分の相対比較が可能になったため、幸せ、あるいは不幸と感じやすくなった。後者に感じる人のほうが多いかもしれない。
移動することも減ったと言われている。追体験が容易になったから、
つまり、情報に人の人生が左右されやすくなったといえる。これはいいことなのか悪いことなのか、見方によって異なる。
「答え」はすでにどこかにある時代
疑問は、Googleで調べればすぐに解消できる。知らないこと・知りたいことの答えは大体インターネット上にある。でも、情報を取捨選択し、正誤や正義や悪を見極める・判断するスキルは属人的であるし、必要である。
知識を蓄えることと同等以上に、着想ができるかどうかが大切
どれだけ多くのことを知っているか、はあまり価値を発揮しなくなった。おそらくこれからの時代、それはさらにAIの力で加速するだろう。だから、大切なのは知識の編集と着想のスキル。
「本当に人は、そのように行動しますか?」
コミュニケーションを考える立場にいると、消費者の行動モデルやカスタマージャーニーを描くことも多いが、企業本位になっていないか。
たとえばECの発展によって「リアル店舗は消滅する」と言われていた時代もある。しかし、実際はなくなっていない。人間は便利だけで動かない。理性だけで動かない、感情を持った動物なのだ。
マーケティングに携わる人間として、コミュニケーションを通じて人の意識や行動を変えるには、感性的なところ(幸福感とか行動原理とか)そういった視点や知識も根底に身に着けておくべき。
すぐに生まれて消える「トレンド」
トレンドは情報大爆発の今、短命化したと言われる。それはなぜか?情報伝達スピードが早まったため、トレンドの普及スピードが急速に加速したためである。
トレンドが生まれる背景には、ある人たちの「最新なことを知っていたい」「先進的でいたい」などの気持ちがある。そして、トレンドを追う人たちはこう考える。「遅れたくない」と。
しかし、トレンドが普及すると「先進的でいたい」人たちはそう感じられなくなる。「もう先進的じゃなくなったね。」そして人が離れ、トレンドが終焉する。そのサイクルが早まっている。
いつの間にか一般化したモノやコトの共通点
そのトレンドがどんな文脈を内包しているか。つまり、イジりがいがあって、何度でもコスれるかどうかが重要である。
「これが流行っていますよ」の世の中ゴトの形成はマスメディアが一役買っている。そのマスメディアが、あるトレンドを毎回同じような取り上げ方ではなく、様々な切り口で取り上げられること。それがいつの間にか一般化した「元トレンド」の共通点なのかもしれない。
マーケターに求められる変化
・徹底的に消費者本位であれ
・課題ドリブンで動け
・兆しを感じ取れ(そして増幅できるようになろう)
マーケティングコミュニケーションを設計するときに大切な考え方
マーケティングコミュニケーションのゴールは、態度・意識を変えることと、行動を変えることである。
どこまでが可変できる領域なのか?が定まっていないと、測定が難しくなる点も注意が必要である。
そして消費者にユニークと認識されないものは、Unique Selling Proposition(USP)ではない。マーケティングコミュニケーションは万能ではなく、良くないプロダクトを最高に売り上げて最高にリピート購入させられることはできない、という認識をもつことが重要である。
また、一般的にあるAIDMAやAISASのフレームワークに踊らされないことも重要。先述したとおり、「本当に◯◯を買うとき、人はそうしますか?」を感性と理性の両面で捉えられるかが大切。
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