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行動経済学の逆襲 要約⑨
ギャンブル中の人間心理は面白い、負ければ負けるほど損を取り返そうという気持ちになり、勝っているとそれはそれで大勝負に出たりもする。
こういった心理は、どのように記述すればよいのでしょうか。第10章「勝っているときの心理、負けているときの心理」の要約です。
【全体の要約】
ギャンブルをしているとき、人はプロスペクト理論の予想とは逆の行動をとることがある。勝っているときは「ハウスマネー効果」によりリスク追求的に、負けているときは「ブレークイーブン効果」によりリスク回避的になる傾向があるのだ。
1.ハウスマネー効果
第4章で取り上げたプロスペクト理論によると、人は利得についてはリスク回避的になるということでした。
しかし、人はギャンブルで勝っているときにはリスク追求的な行動をとるようになることが知られています。これを「ハウスマネー効果」と呼びます。
2. ブレークイーブン効果
一方、ギャンブルで負けているときには2パターンの行動がみられます。損失を取り戻せるチャンスがない場合、人はリスク回避的になります。しかし、損失を取り戻すチャンスが現れると、人はリスク追求的な行動をとる傾向にあります。これを「ブレークイーブン効果」と呼びます。
3.2つの効果はなぜ生じる?
このような2つの効果はなぜ生じるのでしょうか?ヒントは、第9章の「お金のラベル」の話にもあります。
ギャンブルで得たお金・損したお金は「ギャンブル代」という予算の中で勘定されます。そのため、勝っているときは「ギャンブル代」が潤っているため、リスク追求的に消費してしまうし、負けているときは「ギャンブル代」がかつかつなので、取り戻せるなら取り戻す、無理ならあきらめる、となるのです。
以上が第10章の要約になります。
次回予告
次回は、第3部に入ります。第11章「今消費するか、あとで消費するか」です。