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行動経済学の逆襲 要約④

 子供のころ、1000円のお年玉にあんなに喜んでいたのに、社会人になったら1000円に喜べなくなってしまった。なんていうことは誰しもが経験として感じている事かと思います。同じ1000円に関する価値の差をどのように説明するのでしょうか?
 今回は、第4章 「カーネマンの「価値理論」という衝撃」の要約です。

【全体の要約】
 価値関数のグラフより、①感応度逓減性②損失回避性③利得と損失に対するリスク態度、の3点が読み取ることができる。

1. 富の限界効用逓減 

 下のグラフは、横軸に冨の大きさ、縦軸に効用の大きさを取ったものです。「効用」とは、経済学用語で、簡単に言うと「幸福の度合い」のようなものです。

コメント 2020-05-17 124854

 
 このグラフが示しているのは、富が増えるとその変化が与える「効用の変化」は徐々に小さくなるということです。
 このことから、冒頭で紹介した、子供のころのお年玉がうれしくなくなってしまう心理について説明ができます。

2.「価値関数」のグラフ

 カーネマンとトヴェルスキーは、「富の状態」ではなく、「富の変化」に人は反応することに着目しました。
 下のグラフは、その反応のグラフとなっています。

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 このグラフで大事な点は3つです。
① 感応度逓減性
→「100円の損と200円の損の差」は、「1万円の損と1万100円の損」の差よりも大きく感じる。利益の場合も同じく。
② 損失回避性
→5万円の利得と5万円の損失ならば、損失による効用の減少のほうが大きい。
③ 利得についてはリスク回避的、損失についてはリスク追求的な行動をとる
→くじ1ではAを選ぶ人が多く、くじ2ではBを選ぶ人が多い

くじ1
A:確実に1000円もらえる
B:50%で2000円もらえて、50%で何ももらえない

くじ2
A:確実に1000円失う
B:50%で2000円失って、50%で何も失わない

3.丁度可知差異

 「丁度可知差異(JND)」とは、「変化したと感じられる最小の差異」のことです。
 例えば、自分の体重が50グラム増えたことにはきづかなくても、朝ご飯の白米の量が50グラム増えていたら気が付くでしょう。
 つまり、人間はJND以下の差異については気にしないのです。クルマを買う時にオプションで色々つけてしまうのは、「クルマの価格が高いからオプション価格がJND以下になってしまう」という人間心理につけこんで(?)います。

以上が第4章の要約になります。

次回予告
次回は、第5章「神を追いかけて西海岸へ」・第6章「大御所たちから受けた棒打ち刑」です。


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