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検閲が必要な場合とは

20年ほど前、友人のご主人が3か月海外出張することになった。
それがまた、興味深い国である。

サウジアラビア

地理の答案用紙に

「日本が一番石油を輸入している国は?」
真っ先に書くべき答え。

「イスラム教の聖地がある国は?」
メッカと書かされる引っかけに要注意である。
メッカは都市名である。

今はビザが取りやすくなっているようだが、当時は観光では簡単に行けない国であった。
大手電機メーカーに勤めていたご主人は、発電所の設営のために、応援指導で行くことになったと言う。

現地に行ってから1か月後位の時、友人に会った。
イスラム教の国と言っても、色々だ。
豚肉を食べない、飲酒をしないなどはどこも共通だと思う。
ラマダン(断食)はゆるい所もあると聞く。
でも、サウジアラビアは強烈に全てに保守的であるらしい。
女性のブルカ(体を覆う布)も徹底されている。スカーフをかぶるだけではない。目以外は完全に覆いつくす。
目も網状のもので覆うので、外からはどういう目かもわかりにくい。というか、そもそも女性はほとんど見かけないと言う。

外国人用滞在ホテルにいるので、料理はまぁまぁのものも食べられるのだが、娯楽が全くないし、超退屈だという連絡があったと言う。
規制が厳しくて、プライベートのメールの連絡もほとんどできないという。
どうしてもの場合、会社を通す。

3か月滞在予定が半年になり、友人が色々と送ってみたと言う。
気晴らしにと日本の雑誌や漫画。
アレルギー体質のご主人のために薬。
手紙も付けて。
すると、薬は得体が知れないと思われたか没収されていたと言う。
手紙も何が書かれているかわからないから没収。
「スパイちゃうでー、ったくー」
友人激怒。
雑誌は、夏の沖縄旅行キャンペーン?みたいな水着の写真ページはすべて切り取られていたと言う。
さらに、ビールの広告は、泡の部分が塗りつぶされていたと。
イスラム教は「欲を生じさせるもの」はタブーなのだ。
泡を見る⇒飲酒したくなる⇒良からぬことを考える⇒悪って、考えすぎやで」
このことについては、友人は逆に面白すぎると言っていた。

検閲した後もきれいに詰めなおしているわけではない。
ぐちゃぐちゃだったと怒っていた。

戦時中の日本でも検閲があったという。
恐ろしい言論統制だなと思う。
今の日本に生まれていることに感謝しなければならない。

ちなみの恐ろしい話だが、今現在はわからないが、その当時でも公開処刑が行われていた。
なので、「今度の週末は〇〇広場で公開処刑があるから、あまり出歩かないように」と会社からお達しがあるという。

えー、まさか、この現代に?
と思うような信じられない話だった。

~~~
夫は、少しは料理ができる。
週に一回位は作ってくれる。
段取りも、盛り付けも・・
「ぁぁ・・・っ、そこもうちょっとこう・・・うっ」
と言いそうになるのを堪える。

今夜はゴーヤチャンプルーだった。
なぜもやしが、そんなにも皿のふちからバラバラ飛び出しているのか。
まぁ、盛り付けまでは良しとしましょう。
でも、今日はなぜかスマホで写真を撮っている。
おやおやー?
珍しく今日はフライパンを洗っていると思ったら、洗っている写真も撮っている。
えー?なんで?

「今日は私が晩御飯を作りました。結構よく作ります。後片付けもちゃんとします」

予想しなくともわかる、このようなFacebookの文面。

急いで、もやしを皿のふちから内側へ寄せ、偏っていた緑のゴーヤと厚揚げをまんべんなく散りばめる。
そして写してほしくない、私の飲みかけのコップなども撤去して、撮り直す。
そしてそれを掲載するよう指示。

「今日は珍しく私が晩御飯を作りました。盛り付けはまだまだなので頑張ります。いつも後片付けしないのはまずいと思うので、今後ずっと続けていこうと思います」

現代日本でも、検閲が必要な場合はある。

あーぁ、でもねー、そこまではできてないんだなー。
夫はイイネをたくさん獲得するんだろうな。










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