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お決まりフレーズ
今日は歯医者に行った。
人生初のマウスピース。
7月から数回に分けて虫歯の治療をしていて、全ての治療が終わった。
でも虫歯以外に問題点があった。
それは喰いしばりがきついので、歯にヒビが入っていること。
夢をよく見る。
だからなのか、目が覚めたときに、歯を喰いしばっている自覚はあった。
でも、それが原因で歯にヒビが入るとは。
そこで、今後の予防のため、マウスピースを作ることにしたのだ。
担当の女医さんは腕が良い。
入れたセラミックの調整も毎度完璧。
マウスピースもかみ合わせを調整する。
「ねこにゃんさんはね、親知らずが全部あるから、普通の人より奥行きがあって(ピースが)大きくなるんですよ」
聞けば、Uの字が長いマウスピースを作るのは、最近では私とワニくらいらしい。
というわけで、調整にも時間がかかる。
色のつく紙?を当てて
「はい、ギリギリして下さいー」
「カチカチしてー」
何度も何度も言う。
「はい、お口開けて下さいー。楽にして下さい」
繰り返す。
当たり前だが、私以外の人にも同じセリフを言っているはず。
毎日毎日。
先生もお仕事とはいえ大変だー。
もう、足のペダルとかで同じセリフを言わせてはどうだろう?
そんな名案を思い付く。
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どこの会社か忘れたが、コールセンターに電話すると、
「お電話ありがとうございます。〇〇(社名)の※※(名前)です」
の部分を録音した音声で応答するところがあった。
「あ、もしもしー」
前のめりに機械にしゃべってしまった。
でも、合理的で良いのかもなと思った。
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先々月、CTスキャンをしてきた。
八つ橋型のベッドに横たわる。
両手を上げて
「息を止めて下さい」
ずいーーんと中へスライドされる。
「楽にして下さい」
セリフは、機械の音声だった。
(機械音と言っても元は美声の人間の録音か?)
これは、かつては毎度技師さんが実際言っていた。
スライドとのタイミングを確実にするためにも、機械音だと確実だ。
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同じセリフを言うのは、他の職業にもある。
接客業は特にそうかもしれない。
私のよく行くスーパーは、昼間のレジは主婦と思われるパートの方が多い。
正社員と思われる男性もいる。
接客マニュアルにあるのだろうけど、丁寧すぎるほどとても丁寧。
きっちりと、
「ありがとうございました」
の意味が伝わってくる挨拶、笑顔付。
遠い昔、短期だがウィーンに住んでいたことがある。
ウィーンのスーパーのレジの接客は、日本と全然違う。
まず、挨拶。
レジ「こんにちは」
客「こんにちは」
品物の値段を読み取っては、ベルトコンベヤにポイポイ投げる。
投げないでーー。
レジ「〇〇ユーロ」
値段だけを叫ぶ。
「~~です」的な丁寧表現はない。
客「ありがとうございます」
レジ「どういたしまして」
挨拶もする。
客「さようなら」
レジ「さようなら」
そして、コンベアにランダムに流れていく商品を慌てて集める。
驚くのは、会計後は基本的に客からの声掛けなのだ。
しかもレジを通している間、別のレーンのレジの人と思いっきり雑談していたりする。
ガムも噛んでいたりする。
日本ではあり得ない。
今よく行っている上記のスーパーは、たまに夜行くと、昼間には見かけない高校生のアルバイトと思しき子たちがレジにいる。
「あーとー、ぁーしたー」
気の無い音程。後半の音声は消え行っている。
しかも完全にあさっての方を見ている。
私がかごの取っ手を持つタイミングで、心のこもらない接客時間は終わり、自分の爪を見る時間になる。
もう店長もいないしね。
ウィーンのことをふと思い出す。
ええ、許しましょう。南無~~。
でもこうなったら、もう感謝の意は無くても良いし、音声装置でも良いと思う。