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弁護士論

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弁護士はいかにあるべきか。思索のまとめです。
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2023年10月の記事一覧

法曹の役割

法曹の役割

法曹の役割は法律を形ばかり守ることではない。その先にある人権と正義を守ることだろう。

「市民の基本的権利も法律で保護されない今矢面に立たねば。それが法曹人の義務です。」(映画「弁護人」より)

初出2018年7月28日Twitter

弁護士 布施辰治

弁護士 布施辰治

「生くべくんば民衆とともに。死すべくんば民衆のために。」

この名言を残したのは、自由法曹団の創設者・布施辰治弁護士。

彼は、朝鮮独立運動の若者たち等を弁護して、戦後、韓国から大韓民国建国勲章を受けた初めての日本人だ。
 
彼こそ我々日本人の真のヒーローである。

韓国から建国勲章うけた弁護士の布施辰治とは? (jcp.or.jp)

弁護士費用と「カンパ」

弁護士費用と「カンパ」

1 カンパ裁判の問題点

弁護士費用をカンパ(クラファンでも同じ)に無闇に頼る風潮は、とても問題だ。 最大の問題は、弁護士業務による受益者と出捐者が一致しない点だ。 弁護士は依頼者の利益を守るのがその使命。ところが、カンパに頼ると弁護士は依頼者とともに出資者の顔色を見ざる得なくなり、弁護士倫理と矛盾する。

裁判当事者にカンパする人間は、単に裁判の当事者を守りたいからカンパするとは限らない。むしろ

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弁護士倫理の射程

弁護士倫理の射程

若い弁護士で、時々、刑事弁護士の倫理を民事事件にまで一般化しようとする者がいるが誤りだ。

むしろ刑事弁護の倫理は国家との対決が迫られるという特殊な状況下で求められるものであり、それ以外の状況下では、弁護士は一般市民と同じか、より厳しい倫理的義務を負うと解すべきである。

とりわけ「どんな悪い奴でも弁護するのが弁護士である」という倫理が適用可能なのは刑事弁護のみである。

刑事弁護で被告人の情状を

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弁護士の本懐

弁護士の本懐

いつも言うのだが、正しいことをしたのに世間から袋だたきにされている人々の側にたち、彼らに学び彼らとともに歩むことこそ、弁護士の本懐である。

自己の尊厳を守るために毅然として立ち上がる人々の姿に学ぶとき、弁護士は、人として、職業人として、初めて成長できるのである。

初出 2020年2月18日Twitter