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閉所恐怖症でも乗り越えた!私のMRI体験記

今日、人生2度目のMRI検査を受けてきました。今回は右肩骨折のための検査です。(骨折についてはこちらに詳細を書きました)

2度目だからといっても慣れたものではなく、9週間ほど前に整形外科の担当医に「MRIの検査をしないと治療できない」と言われてから、ずっと心にモヤモヤがありました。ここ1週間は、MRIのことを考えると緊張状態に陥っていました。


閉所恐怖症の発覚

実は、最初のMRIの時に極度の緊張と不快感があって、イヤホン越しに技師から「動かないで」と何度も注意を受けました。その時にはまだわかっていなかったのですが、15年ほど前に自宅マンションのエレベーターに閉じ込められた時に閉所恐怖症であることが判明したのです。

平成になってだいぶ経っているというのに、その頃の私は昭和のサラリーマンのように夜中までオフィスで仕事をして帰宅する毎日でした。その日も夜中過ぎに帰宅してエレベーターに乗ると、「ガタンガタン」という音とともにエレベーターが止まりました。友人に電話しようと携帯を見ましたが、密室なので電波が届きません。

「え〜、やだな〜」と思いながら、エレベーターに備えられている緊急内線のボタンを押します。今まで使ったことがなかったので、「本当に誰かが応答してくれるのかしら」と半信半疑だったのですが、すぐに女性が「どうしました?」と答えてくれました。

住所と状況を伝えると「すぐに保守係に行ってもらいます。少しお待ちください。何かあったらすぐにまた連絡してください」とのこと。やれやれと思ったのも束の間、なんの音もしない密室状態のエレベーターの中に一人でいると、自分の心臓の鼓動なのか耳の中を流れる血液なのかわかりませんが「ドックン、ドックン」と大きな音が聞こえます。そのうち、呼吸も激しくなり、過換気状態になっていくのが自分でもわかりました。

これではいけないと、床に座って持っていた単行本を読もうとページを開いたのですが、内容は全く頭に入ってこないし、同じ行を何度も読んでしまいます。待つこと3時間、いえ本当は30分ほどだったと思いますが、無事に係の人がドアをこじ開けて救出してくれました。

こうして私の閉所恐怖症が判明したのです。若い頃から飛行機に乗る機会が多く、スキューバーダイビングもしていたのに、自分が閉所恐怖症であるとはまったく気がつきませんでした。

今日のMRI検査

MRI検査に話を戻すと、今回は主治医からジアゼパムという抗不安薬を処方してもらい、MRI検査の30分前に服用しました。服用しても不安が消えたかというと、そんなことはありませんでした。ただ、リラックスできたせいか眠気が襲ってきました。

問診を終え、上だけ着替えて、誰もいない待合室でテレビを見ながら10分ほど待ちました。技師が迎えにきてくれて、隣の検査室へ向かいます。ガーガーという音が響く、あの部屋へ。

部屋の真ん中には、小さくポッカリと穴が開いた筒状の機械があります。その穴は、どう見ても人間が入るとは思えないほどの小さい穴です。機械の前のベッドに横たわるのですが、そのベッドの幅もかなり狭い。「こんな狭くて、はみ出る人はいないのかしら? 平均的な大きさのアメリカ人だとはみ出るよね」などと考えていると右肩にはアメフト選手の防御具のような機械をはめられ、パッドやらクッションが装着されます。

左手には「検査の途中で、機械から出たくなったら、これを握ってね」とエマージェンシーコールボタンを持たされます。耳栓も装着。「音楽聞く? ビデオ見る?」と聞かれて、前回はビデオで息苦しくなったので、今回は音楽を選択。「どんなジャンルがいい? 好きなアーティストは?」と親切に聞いてくれるのですが、極度に緊張している私は、そんなことどうでもよくって、「あ、POP系の音楽ならなんでもいいです」と答えるのが精一杯。ヘッドフォンもつけてもらいました。

準備が整って機械に入る寸前に、「あ、ちょっと待って。首の後ろが痒い」と言って、首を掻かせてもらいました。グゥーンと音がする機械に入ると、横の壁がピッタリとくっつく感じで、目の前すぐには天井が。天井までの距離は多分20センチほどしかないですよね。もうこの時点で「出して〜」と叫びたい状況。

ただ、今回は足元を見ると小さな空間が見えるので、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせて目を閉じます。断続的なガーガーとする音を聞きながら、ヘッドフォンからは聞いたこともないPOP音楽らしきものが流れています。

機械の中で

目をつぶっていると、少し眠ってしまったようで夢を見ていました。夢の中で、私の右手はグングンと伸びて機械の外に出ていって、停止ボタンを探していました。本能的にやっぱり機械から出たかったんですよね。夢と現実の間を行き来しながら、目を開けると、天井にテプラが貼ってあって、「PLEASE DO NOT MOVE」と書かれています。

だんだん暑くなってきて、目も冴えてきました。「あ〜、もうだめ。コールボタンを押しちゃおうかしら」とも思いましたが、「ここまで我慢したのだから、あと少し。また最初からやり直しは嫌だ、がんばれ〜」と自分を鼓舞します。でも、暑い。終了5分ほど前に「大丈夫ですか? あと少しですよ」と技師から声がかかりますが、その5分が長かったこと。本当に叫びたかったです。

解放された

「終わりましたよ〜」という声と共にベッドがグァーンと動いて、筒状の機械から出ていきます。検査室の天井に描いてある木々と青空の絵を見たときは、泣きたいくらい嬉しかったです。

抗不安薬を服用してもMRI検査はやっぱり怖かったです。もう二度とやりたくない検査。私のブラックリストの中のかなり上位に入りました。

次がないことを祈りながら

万が一、またMRI検査を受けることになったら、薄着で最初から最後まで目を閉じて臨みたいと思います。そして、次に私がMRI検査を受けるまでには、性能のいいオープン型のMRIの機械が開発されていることを祈ります。

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