『感性の限界』を読んで
久々に脳みそに汗をかいた気分。
高橋正一郎著『感性の限界』を読み終えた。ずいぶん前にkindleで購入した本だが、ディベート形式の文体に慣れず3%ほど読んで諦めずっと放置していた。
そのことをつぶやいたツイートが著者の高橋正一郎氏の目に留まり「たった3%(笑)」と煽っていただけたので、こうして読み終えることが出来た。高橋さん、ありがとうございました。
さて、肝心の内容についてだが実はあまり理解できていない。なので正確には読み終えてなどいないのだ。何度も繰り返し読み、各トピックごとに自分なりの考えを巡らせて読むべき本だと思う。時間をかけてゆっくり読み返そう。
「読みにくいなぁこの形式…」と3%で諦めた私が、読後には「また読み返そう」と思っているのだから、間違いなく面白い本である。お勧めです。私は大学に行っていないので、大学の授業ってこんな感じなのかなぁ、いいなぁと思いながら読んだ。大学というところは私にとって憧れの場所なのである。
個人的には『おわりに』と題された著者あとがきにハッとさせられた。
”しかも、どちらの方向に進む理論も、いくらでも「論理的」に構成できることに注意してほしい。ここで「論理的」というのは、どちらの理論も与えられた情報を矛盾なく織り込み、整合性を保ちながら、並立的に構成できるという意味である。そうなると、人間は、「論理」や「情報」とは別のアプローチによって、結論を導いているという可能性が出てくる。”
これ、めちゃくちゃわかる。
私にとって身近な話題でいうと、トランスジェンダー風呂トイレ問題である。
『トランスジェンダー女性は、女性専用スペースを使ってもよいか?使うべきでないか?』
これをテーマにトランスジェンダー女性擁護派とフェミニストが毎日ツイッター上でバチバチにやりあっている。
トランスジェンダー女性擁護派は「トランスジェンダー女性は女性なのだから女性スペースを使って問題ない」といい、フェミニストは「身体が女性の人の安全が脅かされるので使用すべきではない」という。
ロジックと罵詈雑言が飛び交い、これぞツイッターの醍醐味やでぇ!と唸ってしまうこの界隈。
結局は「トランスジェンダーがより生きやすくなるにはどうすればいいか?」から出発している人々と「(身体的)女性がより生きやすくなるにはどうすればいいか?」から出発している人々がやりあっているので、議論は平行線のまま。
そして文章のところどころに漂うお互いの本音。相手への侮蔑感情。よくわからない存在への恐怖など。その本音の感情というウンコを、ロジックやエビデンス、社会通念といったチョコレートでコーティングし、あたかも絶品のチョコレートのように仕立て上げお互いの主張を展開する。
見た目はチョコレートでも一口かじればウンコと気づくので、お互いの感情を逆なでしあい、それぞれのフォロワーを巻き込んで、見るに堪えない罵詈雑言合戦が繰り広げられるのだ。
最後には互いの人格否定、存在否定のようになり引用RTとブロックと通報の嵐。お互いにウンコを投げあっている感じが実にプロツイッタラーという感じである。
やっていることは、感情という名のウンコの投げ合いなのだが、どちらの陣営も見事にロジックを展開する。とてもロジカルなんだけど、その文章はとてつもなく早口で、キーキー金切り声を上げて喋ってるように感じられる。
原発問題と同じで、トランスジェンダーをめぐる問題も人間の感情が大きくかかわってくるだろうから、人間同士で話し合って最適解を出すなんて多分無理なんだろう。人間は最後には感情を何より優先する生き物だと思う。様々な社会問題の解決は、結局は世の中の大多数が感情的に納得できるやり方に落ち着けていくほかないのだ。
そうなると、空気や同調圧力というものが世の中に蔓延するのはもう仕方ないんじゃないの?と思った。それを作っているのは我々自身なので、そこに文句を言うのもおかしな話ではある。
感情や感性というものは人生の華だと思う。それがなければ生きている意味などないようにすら感じる。
ただ、その感情や感性というものに流されすぎると、知らぬうちに相手を傷つけ追い込み、時として相手の命すら奪ってしまう。そして、感情に支配されているときはそのことに気づけない。
誹謗中傷やいじめ、日本社会特有といわれる同調圧力やムラ社会。これらもまず感情や感性からスタートしているとすれば、いじめを防いだり社会を変える方法は法による取り締まりと厳罰化しかないのだろう。
”理性や知性とは別の感性によるアプローチとは、いったい何なのだろうか?"
いったい何なのだろうか?はよくわからない。
感性、感情、感覚っていったいなんなんだろう?自身の経験や社会の刷り込みなどから作られるっぽいのだが、確固たる答えはわからない。
自分なりの答えが見つかるよう、また読み返してじっくり考えよう。
※まだ考えがふわふわしているので、随時加筆修正すると思います。
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