奥田英朗「ナオミとカナコ」のあらすじと感想|気づけば李社長が好きになる
ドキドキハラハラの展開で、夢中になって最後まで読んでしまう奥田英朗さんの「ナオミとカナコ」。
奥田英朗さんの代表作ともいえる「最悪」「邪魔」「オリンピックの身代金」などは読んでいるのですが、こちらの作品は初めて読みました。
ということで、今回は奥田英朗さん作「ナオミとカナコ」のあらすじや感想を紹介していきます。興味がある方はぜひ!
個人的評価:70点
めちゃくちゃ面白くてキャラも素晴らしくて良かったのですが、個人的にはラストがちょっと…と思ってしまいました。でも間違いなく面白いので自信を持って人へ勧められる作品です。
奥田英朗「ナオミとカナコ」のあらすじ
タイトルの通り、主人公はナオミとカナコの2人。詳しくは後で説明しますが、個人的には女社長の李朱美も第三の主人公にしたい位に好き。
・小田直美⇒葵百貨店に勤めている二十八歳の女性。長らく独身で恋人もいない。仕事はできるが友達は多くないタイプ。
・服部加奈子⇒直美の大学の同級生で既婚者で親友。気が優しくて控え目な性格だが、強気な直美とは気が合う。
どこにでもいるような普通の2人の女性が主人公のこの話。
デパート外商部のキャリアウーマンとしてバリバリ働く直美と既婚者の加奈子は唯一無二の親友。ある日、直美は加奈子が旦那からDVを受けていることを知る。それも、かなり激しめのDVである。
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」
加奈子の旦那と瓜二つの外見を持つ中国人を使い計画を実行する2人。うまくいっていると思われた計画だが、少しずつ綻びが見えはじめ…
奥田英朗「ナオミとカナコ」の感想
ここからは、「ナオミとカナコ」の個人的な感想です。とくに凄いと思った点や印象に残った点を少々!
・二部構成が凄い
まず個人的に面白いと思ったのは、「ナオミの章」と「カナコの章」の二つに分かれている点。
ナオミの章では計画が実行されるまでを直美視点で描き、カナコの章では計画が実行された後をカナコ視点で描いている。
この視点を変えた二部構成がとにかく面白くて、ドキドキハラハラの展開で読み進めるページが本当に止まりませんでした。
とくに2人が追い詰められていく過程が描かれる「カナコの章」は必見。暇な時に一気読み推奨。
・李朱美が好きになる
そして、奥田先生といえば愛すべきキャラクターである。
今回の作品でも、李朱美が非常に良い味を出している。最初はただの盗人なんだけど、最後の方は一番の協力者であり理解者となっている。
最初は「何だこいつは!」っていう感情しかないんだけど、後半は「李社長ありがとう(涙)」となっているはず。
中国の女性はこんな風に強いんだろうな~って思った。
作中にもあるけど、「暴力をふるわれたら?ワタシナラやっちゃうよ!」みたいなテンションが好き。ただただ強い。
・隙がありすぎ問題
とにかく隙がありすぎた2人の犯行。
個人的に最も気になったのは監視カメラの存在。いやいや、マンションにカメラがあるかどうかは最初に調べておけよ…って思ったけど、殺人っていう極限状態の中ではそこまで頭が回らないかとも思った。
旦那に瓜二つの中国人が約束を破って帰国してきたり、お金の受け渡しがカメラに写っていたり、お婆ちゃんを使った偽装がガバガバだったり…
「ナオミの章」では、何この犯罪!完璧やん!って思ってたけど、それがどんどん暴かれて詰められていく過程はドキドキです。
まとめ
後半になるに連れて、どんどん追い詰められていく2人を知らずに応援してしまっている。
頑張れ!逃げろ!みたいな感じで。
でも、人を殺すのに脇が甘すぎやんって思ってしまう。あと、殺した旦那の妹さんのバイタリティがえげつない。間違いなく出世するタイプ。
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