恋愛をクジャクに例える漫画『あくまでクジャクの話です。』
「こんな例え方があったんだ」と思わせてくれた漫画を紹介します。
『あくまでクジャクの話です。』というタイトルで、現在は2巻まで発売されています。
以前にも軽く紹介したのですが、もともと『iメンター すべては遺伝子に支配された』という漫画が好きです。
作者の小出もと貴さんが描く、女性キャラクターの線は特に綺麗だと思います。
そして、『あくまでクジャクの話です。』も同じ作者です。
最初にXで見つけたときは、「これ、あの作者じゃないか?」とすぐに気づきました。
『あくまでクジャクの話です。』のあらすじ
モテない理由を生物学的に解説する
『あくまでクジャクの話です。』は、日常の出来事や恋愛を、生物学をもとに解説する漫画です。
♯1「性淘汰」では、「なぜ自分たちはモテないのか」とはじまります。
それに対して、生物学部の部長である阿加埜が、「メディアのせいではない」と指摘する、大胆な切り口が印象的でした。
そこから、恋愛をクジャクに例えて解説します。
このご時世においては炎上しそうな内容ですが、生物学をもとに解説する設定は、とても面白いです。
この漫画は、しっかりとしたコンセプトを持って描かれており、パターンとして完成されていると思いました。
『あくまでクジャクの話です。』の系譜
この漫画を読んで、思ったことは二つあります。
一つは、漫画としての独自の立ち位置です。
『あくまでクジャクの話です。』を読んでいると、「ああ、こういう例え方ってあるんだな」と感じました。
そこから連想したのが、コンテンツの楽しみ方を伝える手法についてです。例えば、昔のテレビ番組では「ワイプ」がよく使われていました。
また、最近だと千鳥の『相席食堂』や、Netflixの『トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』も、手法が印象的な番組です。
これらの番組では、映像を見ながらツッコミを入れ、視聴者を巻き込みます。
あれこそ、千鳥の芸風だと思いました。
他には、作品内で解説するという手法もあります。
具体的には、アニメ『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』の「説明しよう!」というナレーションです。
これが解説パートのはじまりではないでしょうか。
また、同じような手法は、漫画にも取り入れられてきました。
たとえば、『範馬刃牙』で刃牙がカマキリを想定して戦うシーン。
これも解説が印象的なコマです。
さらに、わかりやすい例は『テラフォーマーズ』だと思います。
その系譜に、生物学と恋愛を掛け合わせて解説する『あくまでクジャクの話です。』も位置すると、僕は感じました。
また、掛け合わせという点では、「人間×チンパンジー」の『ダーウィン事変』も思い浮かびます。
どちらの作品からも、世の中の出来事を、生物学的な視点で捉えようとする姿勢が感じられました。
加えて、『あくまでクジャクの話です。』は、「生物学」の真っ当さをコメディにすることで、表現を和らげていると思います。
これはドラマ『不適切にもほどがある!』で、不適切表現の注意喚起するテロップを2回流していたことと、通ずるものを感じました。
生物であることのシンプルさ
もう一つは、生物のシンプルさと、社会の複雑さとの対比です。
人間は道具を使う動物だと言われますが、それは猿も同様だと僕は思います。
また、人間は思考によって多くの良い判断を下せる反面、物事を複雑にしているようにも感じてきました。
また、僕がこういうことを言うと批判されるかもしれませんが、生物にとっては、「子孫を残し、種族を存続すること」が大命題だと考えています。
動物は本能的にそれを実行していますが、人間というカテゴリーになると、そこに複雑さが増していると思いました。
たとえば、「結婚して子どもがいないといけないのか」といった話題から、ダイバーシティの在り方や、LGBTQの課題も絡み合い、
結果として、議論が炎上に発展したりと、難しい世の中です。
しかし、生物学的に捉えると、その複雑さを吹き飛ばす視点が見えてきます。
この漫画からは、「生物であることのシンプルさ」というメッセージが、伝わってきました。
複雑な現代社会において、こうした視点も重要ではあると感じます。
一方で、それを実際に実行できるのかは疑問です。
漫画だからといって綺麗事を言っているわけではなく、その通りだと思える点もあるからこそ、
今の世の中は、生きやすいようで生きにくいかもしれない、と思いました。
そんなことを考えるきっかけになった本作は、生物学の例えが興味深い漫画です。
ぜひ読んでみてください。
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