「バイオとローダ」その4
僕は、学校の教員だ。
今日は、物語を書く授業をした。
『なぜ、人間は基本や型を破った方がカッコいいと思うのだろう。』
ローダは、いつも僕に話しかけてくる。
「型破りって言葉もあるし、ね。我流でやりたいって気持ちをもつことは、よくあるよね。確かに、我流で奇抜な作品を作ってしまう芸術家とかの話を聞くと、型を学ぶことが、逆に先入観になってしまうと感じるんだね。」
『そうそう!そんな才能を発揮できる分野を探していくことの方が大切なんじゃないかって、思うぜ。』
仕事帰りのバスの中、窓の外の、対向車のヘッドライトが眩しい。
「だけど、型があるから、型破りもある。基本をマスターした上で、我流をつくりだすべき、という考え方もあるね。」
『人の言うことを聞くのは、やだナア。』
「確かに、人が敷いたレールを歩いているようで、自分が出せないむず痒さはあるよね。」
「だけど僕らは、できるだけアスファルトで舗装された道を車で走った方がラクなことを知っている。みんなと共通の場所に行くのに、わざわざ舗装されていない道路を通るのは大変だよ。大体のところは道路を通って、もう道がなくなったら、獣道を行くのが良いかもね。」
『・・・はじめから、道路を走れない者たちはどうする?』
「そうだね。周りに上手く合わせて、『普通』に擬態できるなら良いけどね。。。攻撃されないように・・・そういう人たちを見つけて、自分の道を切り拓けるように支援するのが、僕らの仕事だろ?」
『やってることは、そんな綺麗なモンじゃ、ないけどね。』