
それぞれのRPG
私のRPG体験で最も古いものが「貝獣物語」というファミコンソフトだと記憶している。
ファイナルファンタジーやドラゴンクエストは、友人やいとこのお兄ちゃんの家などで見たことがあるが、自分1人でチャレンジしたことはまだ無かった。
私は可愛いキャラクターが当時から好きで、貝獣物語に出てくるキャラクターがサンリオのハンギョドンににていることもあって、気に入って購入してもらったのだと思う。人間の男の子は剣を持ち、可愛い貝獣3匹と悪者と戦うというゲーム。
少し変わっていたのは、普通のファミコンソフトの箱よりも大きい箱で、この4つのキャラクターのキン消しのようなものと、マップ、あるイベントまでは開けてはいけない封筒、説明書が入っていた。
ゲームも始めはそれぞれのキャラクターがバラバラで行動をしていて、とくぎを生かしながらマップを進む。困難やら何かあれば、違うキャラクターにパスする事が出来て、なかなか独特の世界観だった。
敵に遭遇する確率も多く、根気のない私には最後までゲームをクリアすることはできなかった。
ゲームをクリア出来なかった言い訳として、この貝獣物語には私個人的にもうひとつお話がある。
誰かとワイワイやるゲームでないので、小学校から帰ってきては、少しずつお話を進めたり、レベルを上げたり楽しんでいた。しかし、ある日、問題が起こったのだ。
小学生の頃などは、クラスメートに危険なヤツってのがいたと思う。いじめっ子っていうか、強いヤツ。逆らえないようなヤツ。その子を中心に仲間外れが起きたりするような台風みたいなヤツ。そんなY君が遊びに来たいと言うのだ。私は学校でゲームの話なんてしていないと思うが、Y君はそのゲームを嗅ぎつけたのだ。
RPGのゲームは1人でやるものだがら、やってるのを見ているだけにしかならない。でも、そのゲームをやれと言う。ヤレだと!私も渋々、説明しながらやるわけなのだが、やっぱり箱を見つけた、人形見つけた、はい、開けちゃいけない封筒見つけた。
家には私とY君2人だけ。
この人形が欲しいと言うのだ。
私はダメだと言う。
では、この封筒を開けろと言うのだ。
私は嫌だと言う。
どちらかにしろと言うのだ。
これには参った。こんな交渉術あるのかと思った。
力づくでもないイヤらしい発想。知恵とか賢いとかの表現さえもY君には使いたくない。腹が立つ。
これがリアル人生RPG。5人目の勇者は何のとくぎも持っていないし、パスも出来ない最悪の事態だ。
辛かった。でも、人形をあげるなんて出来ない。お風呂にまで持っていってるくらい気に入っているのだ。悔しかった。封筒を開けることにしたのだ。だが、この封筒は、ゲーム内のあるイベントと連動しているため、今ここで開けても意味がわからないのだ。でもやっぱり悔しくかった。そして、Y君の何だ面白くないみたいな顔も忘れられない。
そのあとのことは覚えていないので、恐らく帰っていったのだと思う。このゲームの記憶はこのイベントで全て嫌なものになってしまったのだ。
泣ける。