この宇宙はゲームのカセット!?
いきなり「はあ?」なタイトルだと思いますが、最近考えている「宇宙の真理」がこれです。
もう少しわかりやすく言うと、この宇宙が誕生した瞬間に①過去・現在・未来という「すべての時間」と②「すべての可能性」ができあがったという仮説です。
「すべての時間」は宇宙誕生時にできあがった
まず①に関して、「時間が流れる」という普段われわれが感じている感覚は幻で、物理学者や哲学者の多くは「過去・現在・未来は同時に存在している」と考えています。
20世紀初頭にアインシュタイン博士が発表した相対性理論では「高さ・幅・奥行」という3つの次元に4つ目の時間を加えて「4次元時空」と呼びます。
3次元空間を2次元の平面に省略して、「過去・現在・未来が同じ空間内に存在する」ことを説明するのが「ブロック宇宙論」です。
ブロック宇宙論
しかしブロック宇宙論だけでは、時間が過去から未来へ進む「時間の矢」を説明できません。
ブロック宇宙を進む時間の矢を説明するのが、アメリカの名門・マサチューセッツ工科大学(MIT)の哲学教授ブラッドフォード・スコウ博士が提唱する「スポットライト理論」です。
スポットライト理論では、ブロック宇宙論をもとに、過去から現在、現在から未来へ、瞬間瞬間スポットライトが移動していく様子が、「時間」が一方向に進むように見えるのだと主張します。
スポットライト理論
すべての可能性は宇宙誕生時にできあがった
もう1つ、②のすべての可能性ですが、現在の宇宙は、今から138憶年前に誕生したとされています。
宇宙が誕生したとき、「特異点」という密度無限大の1点に押し込められていた領域がゆらぎ、インフレーションと呼ばれる急激な膨張によって高温高密度のビッグバンに膨れ上がりました。
それからインフレーションのときに生まれた密度の偏りによって、だんだん冷めて広がっていく間に物質が集まり、銀河や星を形成していったと考えられています。
このインフレーションは、沸騰するお湯の泡に近いイメージです。
泡と泡の間にある空間は、泡自体が膨らむ速度よりも速く広がってしまいます。
泡同士がぶつかれば、そのエネルギーがビッグバンを引き起こす引き金になりますが、泡自体が膨らむスピードよりもその間の空間がひきのばされるスピードの方が速いと、いつまでたってもインフレーションが止まりません。
この永遠に続くインフレーションは「永久インフレーション」と呼ばれます。
永久インフレーション
沸騰するお湯の泡ならぶつかってはじけて消えてしまうこともありますが、永久インフレーションで誕生する泡宇宙は無限に増えていきます。
この増殖する宇宙をマルチバース(多元宇宙)と呼びます。
このマルチバースには理論的な次のメリットがあります。
われわれの宇宙は、まるで「神」が自ら作った作品を観測する生物を存在させるために調整したと思えるほど、膨張の速度や物質の質量比などのバランスが人間にとって都合よくできています。
これをマルチバースの理論で説明すると、「人間にとって都合よくできている」のではなく、「無数にある宇宙の中で、たまたま条件のよいこの宇宙に人間が誕生したのだ」と考えることができるのです。
マルチバースを無限の可能性ととらえれば、「すべての可能性は宇宙誕生と同時に誕生した」と考えることができます。
この宇宙はテレビゲームのカセットのようなもの
さて、いよいよタイトルの説明ですが、テレビゲームをはじめると、敵が出現して、戦うとか逃げるとか、
宝箱を開ける、開けないとか、
いろいろな選択肢を選んで進めていきます。
すべての選択肢は、あらかじめこのカセットの中にプログラムとして入っていますが、プレイする人によって、ゲームの進め方やたどりつくエンディングは違います。
宇宙も誕生した瞬間に、すべての時間、可能性ができあがりましたが、われわれの意識が選択することで、瞬間瞬間スポットライトに照らされるように過去から未来へと進んでいくのです。
これをもう少し詳しくしたのがこちらの動画です ↓
興味のある方はぜひご覧ください。