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144年に一度のガンジス川での沐浴

先週のインド旅行の一番の体験は、ヒンドゥー教の聖地、バラナシでのガンジス川での沐浴でした。

日の出前にも関わらずガンジス川に向かう人々が多くてびっくり。

なんと、ツアーの企画者も意図したわけではなかったとのことですが偶然にも沐浴することになった日は、インド全土で祝われる最も古いヒンドゥー教の祭りの1つで、「マカル・サンクランティ」と言うお祭りの日で、特に1年の中でも特に聖なる川での沐浴が重要とされている日でありました。

ちなみに「マカル・サンクランティ」とは太陽が射手座から山羊座(マカル)に移動する瞬間を祝う日ということだそうです。

また、これは帰国後に知ったのですが今年はヒンドゥー教の沐浴の祭典「クンブメーラ」がちょうど私が沐浴した前日の1月13日から2月26日まで、バラナシの上流にあるプラヤーグラージを会場に12年ぶりに開催しておりました。

クンブメーラ」は4つのヒンドゥー教の聖地(プラヤーグラージ、ハリドワール、ウッジャイン、ナシック)を3年後ごとに開催場所を変えながら行っており、それぞれの場所は12年ごとに行なっています。

4つの開催地は星の配置条件によって決まるとのこと。
今年は、木星が牡牛座、太陽が山羊座にあるので、プラヤーグラージでクンブメーラは行われます。

4つの開催地と星座の配置条件

  1. プラヤーグラージ(アラハバード)

    • 木星が牡牛座(Vrishabha)にあるとき

    • 太陽が山羊座(Makar)にあるとき

  1. ハリドワール

    • 木星が水瓶座(Kumbha)または牡牛座(Vrishabha)にあるとき

    • 太陽が牡羊座(Mesha)にあるとき

  2. ウッジャイン

    • 木星が獅子座(Simha)にあるとき

    • 太陽と月が特定の位置関係にあるとき

  3. ナシック

    • 木星が獅子座(Simha)にあるとき

    • 太陽が特定の星座に位置するとき

そして更に今年の2025年の祭典は特別で、太陽、月、木星、土星が144年に一度しか訪れない配置となるため、特に貴重な「マハー・クンブ(偉大なクンブ)」と呼ばれるとのこと。


144年に一度、、
そして4億人。。


世界最大規模のヒンドゥー教の宗教行事を、身近に感じる時と場所で、そして、ヒンドゥー教徒にとって1年の中でも重要な「マカル・サンクランティ」と言う日に沐浴をさせていただけた幸運なご縁に感謝です。

本当に有り難い。。

ちなみに今回、沐浴することができたのは、50年ほどインドに通っている真清浄寺の吉田日光猊下がツアーを企画してくださり、沐浴を先導して下さったおかげで思い切ってやってみることができました。
猊下ありがとうございます!


ガンジス川での沐浴

罪が清められ、魂が浄化されるというガンジス川の沐浴体験後は、
自分の中で何か吹っ切れる感じがしました。


紀元前数千年にまで遡る歴史があると言われる「沐浴」や「クンブメーラ」がこのように天体の配置に影響されて実施されていることが大変興味深く、古代インドの叡智の奥深を改めて感じます。

その後のインド旅は、インドがイスラム教の支配下となっていたムガル帝国時代に建てられたタージマハール、アグラ城にも伺いました。

タージマハル
アグラ城


ムガル帝国は、1526年から1858年まで存在したインドのイスラム王朝です。インド史上最大で最後のイスラム王朝で、インド全域を支配しました。

タージマハルは、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設したお墓。

そしてアグラ城はムガル帝国の第3代皇帝アクバルによって築かれ他とのこと。

イスラム文化の時代のインドに触れられたのもの今回の旅の貴重な体験にもなりました。


改めて、調べてみると、今や世界一のインドの人口は、約14億4千万人。
そして、イスラム教徒の人数は世界で3番目で、人口の14%で約1億8000万人(日本の人口より多い)。

さすが多民族、多宗教、多言語の国インド。

※2011年国勢調査によるインドの宗教分布は以下

  • ヒンドゥー教:79.8%

  • イスラム教:14.2%

  • キリスト教:2.3%

  • シク教:1.7%

  • 仏教:0.7%

  • ジャイナ教:0.4%


現在0.7%となっている仏教が、インドで人口割合が最大だったのは、紀元前3世紀ごろ、マウリヤ朝のアショーカ王(Ashoka)の時代と言われ、その時は仏教が王室の支援を受け、民衆の間でも広まっていたので、インド人口の20~30%程度が仏教徒であったと推測されています。

しかしその後、ヒンドゥー教が復興し、15世紀には、ムガル帝国としてイスラム教の支配下になり、その後は、キリスト教のイギリス帝国の植民地にもなりました。

その後、第2次世界大戦を経て、植民地が解放され、インドとして独立してした後、それまで民衆に根強く根付き続けていたヒンドゥー教が現在は多数占めていて、ヒンドゥー徒の人口割合は79.8%(2011年国勢調査)


古代インドに起源を持ち、脈々と民間信仰として受け継がれているヒンドウー教の文化の根強さを改めて感じたのが今回のインド旅での大きな印象となりました。


ヒンドゥー教の起源は、紀元前2600年前からのインダス文明や、紀元前1500年頃からのアーリヤ人のヴェーダ文化、そしてその後の哲学的発展や地域文化の融合に基づいて、一人の創始者がいる宗教ではなく、数千年にわたる歴史の中で多様な思想や信仰が発展してきた結果として形成されたと言われています。

自然崇拝と多神教であり、日本の神道との近さを改めて感じるところがあるのではないでしょうか。

そして、ヒンドゥー教の起源がある紀元前の古代インドにおいて、紀元前1500年から紀元前1200年頃の「リグ・ヴェーダ」と言う最古の宗教文献が作られた時代には既に、「宇宙は音(振動)から始まる」と言う認識につながる表現がありました。

また、黄道十二宮(星座)の基礎となる天体の位置が暗示されていて、太陽が天球上を移動する様子が詩的に表現もあり天体の運行と地上の出来事を結びつける占星術的な視点の基盤も見られているます。

古代にある宇宙的な視点の知見の深さにびっくり。

更にリグ・ヴェーダの時代には、水による浄化の文化としての「沐浴」も既に存在しており、天体の配置に関わる宇宙観も合わせて、後にクンブメーラのような行事として発展していったと言われています。

ガンジス川での沐浴は、単なる儀式ではなく、魂の救済と宇宙的な秩序への参加を象徴する行為として、古代から現代に至るまで重要な役割を果たしていると言われていることが大変興味深い。


そして、リグ・ヴェーダの時代から瞑想的な精神修養が存在されていることが言われていて、後のウパニシャッドや仏教における瞑想実践の基盤が作られたと言われています。

「音」「宇宙」「天体」「水」への知見と共に、坐禅にもつながる「瞑想」の文化の起源があったと言われる古代のインドの叡智が益々興味深います。

貴重なご縁に感謝🙏

シヴァ神とパールヴァティー女神


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